まずは、この記事から。
●「ヒデ的引退」「カズ的現役」に見る美学 ~29歳と39歳の究極サッカー人生~
(読売ウイークリー:2006年7月23日号)中田英寿が29歳という若さでスパイクを脱いだ。サッカーだけに執着せず、次の目標に進む潔さは華麗だった現役時代と重なって、より一層、自らの価値を上げた。また、完璧に人生をセルフ・プロデュースする様は、アスリートでありながら彼のビジネス的センスが卓越したものであること証明している。今回の引退表明で、改めて中田の人間としての幅の大きさを感じた。
従来、一時代を築いたアスリートの引き際は、おおむね二つのパターンに分類されてきた。ひとつは、現役に固執し、ボロボロになるまでプレーするタイプ。もうひとつは、余力を残し、輝きを放ったまま引退するタイプ。サッカーに例えるならば前者はカズ、後者はヒデだ。
なかなか辛辣な書きっぷりです。(とても参考になります)0xF9C7
その昔、「EV.Cafe'-超進化論」という、村上龍氏と坂本龍一氏との対談集の中で、たしか、
「ミック・ジャガーみたいには、なりたくない」
みたいなことが書かれていたように思います。
その理由は、
「あれだけいい歳がいっているのに、いまだに若い連中と同じように(汗かいて)やっているから」
です。
#もしかすると、坂本龍一氏ではなく、高橋幸宏氏が別の場で発言した内容かも知れませんが。
「汗かいてる」ヒトを、日本のロック界でいうと、矢沢永吉氏がこれに当たるでしょうか。
ただし、この場合は、「汗臭さ」というよりは、「粗野」「粗暴」な感じが、好きになれないのかも知れません。少なくとも、私が感じる「格好良さ」とは大きく異なります。
同じ「粗野」な感じでも、今は亡き名俳優の松田優作氏とは、だいぶ違います。
#っていう、「ミック・ジャガー」ファンも、「矢沢永吉」ファンも敵に回すこの発言・・・。0xF9C7
それに比べると、Nakata選手は、いつもピッチでは全力疾走していますが、決して「汗かいてる」ようには見えず、とても「クール」な感じがします。
(前述の記事の続き)
それにしても、中田の引き際のタイミングといい、引退声明のインパクトといい、挑戦的で華麗だったサッカー人生にも似て圧巻と言うしかない。しかも絶頂期での引退は長く人々の記憶に残り、いずれ伝説となっていくはずだ。そうなれば中田は永遠に生き続ける。それはサッカーを続けることで得られる富や名声よりも、中田にとっては遥かに名誉なことなのかもしれない。
まさに、そのとおりだと思います。人間、諦めずに続けることも必要ですが、男としては、それ以上に、「引き際」が肝心だと思います。
Nakata選手のビジネスセンスには、突出したものがあると思います。「自分探しの旅」に出て、いつか、必ずや、別の場で、大成功を収めるのではないでしょうか。
仕事柄、私より下の世代には、残念ながら、あまり良い印象を持てないのですが、Nakata選手だけは違います。良い意味での「とんがった格好良さ」が感じられます。「クールさ」、「クレバーさ」といっても良いかも知れません。
ピッチを離れても、別のフィールドで、是非とも、大成功を収めてもらいたいものです。