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Research and Development Archive

 先日の投稿の続きです。

 たびたび参照させていただいている、この方のblogから。

ときは今、天が下しる、五月哉
(2006年6月6日:ITmedia +D blog)

 志すらなくても自分の思い通りに政策を作りたがる政治家や学者。いずれ歴史の中で再評価される日が来る。大馬鹿者として。昔ならば政治家になるのだって大変だったという。家族ぐるみでの選挙活動がいかに大変かは、昔ながらの友人のエピソードを聞くだに思う。とても自分にはできない。

 テレビがお手伝いをしたら簡単に有名になれるので、選挙活動をせずに政治家になれる。それに続くには大学教授の地位を手に入れ、テレビのコメンテーターになることだ。専門は関係ない。その週のニュースが幼児殺害であっても、ただのネタとして神妙にコメントを述べる。そんな姿勢を嘘っぱちだと糾弾する声も小さい。そして、講師の身分から頑張りもせず、誰もが中途採用の教授になりたがる。

 「消費者の視点」は格好良いセリフだが、出したプランは経済学者の案でしかない。ラジオを楽しみにしている人、離島でBSしか見られない人、そうした声の小さなところを平気な顔で踏み潰していく。昨夜の村上代表の話の方が余程、人間味もあり頷けるところもあった。

 ネット時代は人間のコミュニケーションを全て変えてしまった。匿名で他人の悪口を書いて喜んでいる人間が、大人の在り方として許されていたら、将来を担う子供のためにもならない。本当に何の志もなく、気分がせいせいしているのだろうけれども、そんなところで満足できてしまうから、国はバカを相手の施策をうち続けることができる。今はネットという発言場すら与えておけば、そこでガス抜きが出来てしまう。情けない国になってしまった。

 実名を出さないのは、会社での立場があるからというが、昼日中からネットの書き込みなどしている人間に、会社での重要な立場など永遠に与えられ得ない。卑怯者が正論らしきことを述べているのを見ると鳥肌が立つ。何よりも、そんな人間が社会でのうのうと生きていることに腹が立つ。卑怯者が胸を張って生きられるから幼児殺害が増える。

 「評価は他人がする、満足は自分がする」という言葉がある。そのものだろう。卑怯なる人を指差して「卑怯者だ!」という声がいずれは出るに違いない。卑怯者は紙媒体は読まないようだ。それならば続きは紙媒体で書くだけだ。以上。インターネットは亡国のメディアに成り下がってしまった。

 いやはや、ワイン0xF9FBでいうと「Very Dry」って感じですか。0xF9C7

竹中懇 独自路線貫く
(2006年6月7日:Yomiuri Online)

 竹中総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)が6日にとりまとめた最終報告書は、1日に示された座長案に比べ、NHKのチャンネル削減対象を明記するなど、より踏み込んだ内容となった。(田中左千夫、清岡央)

 その結果、通信・放送改革について、すでに報告書を公表している自民党の小委員会との見解の違いが際立つ形となった。今後、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」がとりまとめられる7月上旬に向け、自民党との調整は難航が予想される。

 竹中懇の最終報告と自民党の通信・放送産業高度化小委員会(委員長・片山参院幹事長)で見解が異なるのは、NHKとNTTの改革案についてだ。

 NHKのチャンネル数削減をめぐっては、自民党は「各チャンネルが果たしている役割を十分に検証する必要がある」との観点から、削減数の明示を見送るように再三、説得したが、竹中懇はFM放送と衛星放送の計3チャンネルを2011年までに削減する具体案を示した。

 また、NTTの組織改革やNTT法などの改正は、自民党が2010年ごろに検討すべきとしているのに、竹中懇の報告書は、速やかに検討を始め、2010年までに持ち株会社廃止などを実現するように求めている。

 最終報告書が、自民党との妥協を避けて、独自性にこだわった背景には、竹中総務相の閣内での影響力低下を見透かすように、自民党側が発言力を強めていることへの抵抗があるとみられる。

 竹中総務相は6日の最終会合後の会見で「与党と意見を調整していきたい。個別の問題には隔たりがあり、議論を重ねて政府・与党の合意できる点を見いだしていきたい」と語ったが、自民党は「最終的にどうするか決めるのは国会だ」(片山氏)と、与党主導との姿勢を崩していない。

国民の視点ない

 服部孝章・立教大教授(メディア法)

 「『国民の視点で議論する』と言っておきながら、通信と放送の経済的な環境を見ただけで、国民の視点がどこにもない結論だ。『NHKの肥大化』と言うが、衛星放送もFMラジオも、行政や国会が認めたもので、NHKが勝手にやってきたわけではない。肥大化を言うのであれば、行政や国会の責任も論じるべきだ。有識者が8人も集まったのに、少数意見への配慮も欠けていた」

議論 わずか5か月

 竹中懇は、今年1月下旬からわずか5か月間の議論で、通信・放送の抜本改革について最終報告をとりまとめた。

 しかし、NHK、NTTという巨大な組織の抜本改革にとどまらず、通信、放送、著作権など様々な法律にまたがる複雑な問題に一定の結論を出すには、十分に議論が尽くされたとは言えない。

 松原座長は竹中懇の狙いについて当初、「国民の視点から通信・放送の在り方を検討する」と説明していた。

 しかし、実際には、懇談会は、関係業界からのヒアリングを行った2回を除いては、非公開で行われ、詳細な議事録も公開されていない。

 松原座長や竹中総務相の懇談会後の記者会見の内容と、発言者が明記されないA4判で2枚の議事要旨が、総務省のホームページで公開されるだけだ。

 政府の税制調査会などの諮問機関は議論が公開されている。議事録は発言者も明記した詳細なもので、運営方法は原則公開が時代の流れだ。

 竹中総務相周辺は「議論の途中で委員の意見は変わることもあり、自由な議論を確保したい」と説明したが、「密室での議論」(民放幹部)との批判はくすぶり続けた。

 イギリスでは、英国放送協会(BBC)の事業内容を規定する特許状の更新にあたり、3年近くを費やして数千通に及ぶ国民の意見書や、放送局の独立規制機関や議会の調査書や勧告書などを集約して政府の報告をとりまとめた。

 通信・放送全般の改革をめぐる議論は、NHK、NTTなど当事者ばかりでなく、テレビの視聴者である国民、NTTの株主など多くの関係者の意見が集約されたうえで、とりまとめられるべきものであるはずだ。

 それが、わずか5か月間の議論では、拙速との批判は免れないだろう。(石井誠)

 ってことで、テレビ出演のお好きな“御用学者”さんは、自らが依存してきたテレビから無慈悲な仕打ちを受け、
 数ヶ月も経てば、「あぁ、そんなこともやってたね」、数年も経てば、「誰?それ?」みたいに、跡形もなく情報消費されていることでしょう。0xF9CA

〔関連情報〕
   ・子供に見せられない議論の仕方
   (2006年3月24日:ITmedia +D blog)
   ・タレント学者の罪
   (2006年4月1日:ITmedia +D blog)
   ・「神の見えざる手」では。。。
   (2006年4月17日:ITmedia +D blog)
   ・通信・放送懇が最終報告・松原座長「十分議論できた」
   (2006年6月6日:Nikkei Net IT+Plus)
   ・規制改革会議と竹中懇が公開討論,NTTやNHK問題で方向性一致
   (2006年6月5日:NikkeiBP ITpro Network)
   ・通信・放送懇が最終報告、活性化にアメとムチ
   (2006年6月6日:asahi.com)
   ・NTT再々編:通信・放送懇提案に自民は反発強める
   (2006年6月6日:Mainichi Interactive)

 先日の投稿の続きです。

総務省の竹中懇談会が報告書案,NTT組織改革への意欲鮮明に
(2006年6月1日:NikkeiBP ITpro Network)

 竹中平蔵総務大臣が主催する「通信と放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇談会)は6月1日,第13回会合を開催した。今回の会合では,座長の松原聡東洋大学教授が提示した報告書案を基に議論を展開した。

 報告書案は,NTTのあり方に関して前回の骨子案よりも踏み込んだ内容になっている。懇談会がNTTの組織改革への意欲を鮮明にした形だ。

 竹中懇談会では,以前からボトルネックであるNTT東西地域会社のアクセス部門を機能分離すべきと主張してきた。しかし,前回の骨子案からは「機能分離」という文言が消え,NTT組織改革への勢いは減速したかに見えた。

 今回提示した報告書案では,ボトルネック設備(アクセス設備)の機能分離を一層強めるために,現行の会計分離の徹底に加えて,接続ルールの遵守強化を図るための体制整備,ボトルネック設備へのアクセスの真の同等性確保などの措置を速やかに実施すべきと記述。さらに,アクセスの機能分離が徹底され公正競争が促進されれば,2010年には通信関係法制の抜本的見直しを行い,NTT東西の業務範囲規制の撤廃や,持ち株会社の廃止などの措置を講じるべきと明言し,そのために必要な検討を早急に始めるべきだとした。

 持ち株会社の廃止は,すなわちNTT法の廃止を意味する。NTT法に手を付けるとなると,3~5年の期間を要すると言われる。2010年に間に合わせるためには,すぐにでも検討を始めなければ間に合わないというわけだ。

 懇談会終了後の会見で松原座長は,「NTT改革の方向感は構成員で一致している。若干の文言修正をして次回会合で固める」考えを明らかにした。政府は,2010年のブロードバンド・ゼロ地域の解消と2011年の地上波放送のデジタル化の完了という二つの政策目標を掲げている。これを踏まえて報告書案に,“2011年は完全デジタル元年”という文言を持ち出した。松原座長は「(2011年に間に合うように)有効で公正な競争ができる環境を整備したい」と意気込みを語った。

 あっ、そう。ふ~ん。0xF9D1

 いっぽう、これら日本の“シカゴ・ボーイズ”を気取る「破壊主義者」たちに対して、コンサバな「抵抗勢力」(「破壊主義者」たちから見れば)たちもいる訳で。
(どちらがシュアーな解であるかどうかはさておき)

#“シカゴ・ボーイズ”たちが、これまでに「良かれと思って」(←ここが一番重要であり、しかも、だからこそ最悪)やらかしてきた仕業については、別の機会に述べることにします。

NTT見直し 先送り案 総務相懇と溝深く
(2006年6月3日:日本経済新聞 朝刊)

 自民党の通信・放送産業高度化小委員会は2日、通信・放送規制の改革案を了承した。光ファイバー網の独占が競争を阻害するとの声が出ているNTTの改革では、「NTTのあり方を2010年ごろに検討すべきだ」と事実上、議論を先送りした。NHKに関しては受信料の義務化など総務相懇談会と改革の方向性はほぼ一致した。ただ、NTT問題では組織見直しに前向きな総務相懇談会との溝も深く、政府方針の集約に向けてなお攻防が続きそうだ。

【国際競争力を重視】

 NTTグループに対しては電話局から家庭までの加入者回線網をNTT東西がほぼ独占する現状を懸念し、ライバル会社などから持ち株会社の廃止による“解体”を主張する声が出ている。しかし、同日午前の自民党小委員会の会合では「NTTはグループ一体で国際競争力を強めるべきだ」との意見が多数だった。
 これを受け、片山虎之助委員長は「NTTの見直しは2010年に検討し、早期に結論を得る」と議論を引き取った。「拙速に結論を出すべきではない」との慎重論も盛り込んでおり実質的には4年後に議論を先送りした。

 一方、同時並行で議論している竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が1日に議論した報告書案には、2010年にはNTTの持ち株会社を廃止し、グループを解体する案が示された。
 「メンバーでまだ議論が必要」(松原聡座長)として、懇談会でも結論が出ていないが、自民党との溝は深い。

 総務相懇談会は6日に次回の会合を開き、最終報告書をまとめる予定。経済財政運営の基本奉方針(骨太方針2006)への反映を目指し、今後、それぞれの主張を調整する作業を進めるが、NTT改革などでの歩み寄りは難しいとの見方も多い。

 まぁ、決められない時の常套手段である「先送り」攻撃もいいんですが、2010年には、すでに時代の趨勢が決まっちゃってる訳で。
(なので、無理して早く決めることないですから~)0xF9D1

 ぜんぜん関係ないのですが、この「学者さん大臣」の私的“御用”懇談会の始まった当時の、意気揚々としたご尊顔と、先日の懇親会後の記者会見のご尊顔とを比べると、そーとー“お疲れ”のご様子が伺えます。

 ちょうど、湾岸戦争が始まった当時の舛添要一センセイの、開戦直前(使用前)、戦線長期化時(使用後)のお顔を見ているようです。

 いろいろあったんでしょうねぇ、いろいろ。0xF9D1

   「ご疲弊さまです」

〔関連情報〕
   ・「通信・放送の在り方に関する懇談会
   (総務省 情報通信政策局 総合政策課)
   ・「通信・放送の在り方に関する懇談会終了後の記者会見の概要
   (総務省)

 先日の投稿の続きです。

総務省の竹中懇談会,NTTのアクセス部門の分離方法に進展なし
(2006年5月16日:NikkeiBP ITpro Network)

 竹中平蔵総務大臣が主催する「通信と放送の在り方に関する懇談会」(竹中懇)は5月16日,第12回会合を開催した。今回は,座長を務める松原聡東洋大学教授が,報告書の骨子案を提示。これを基に議論を展開した。だが前回会合で明らかにした,NTT東西地域会社のアクセス部門を分離する方針についての結論は出なかった。

 懇談会終了後の会見には,竹中総務大臣と松原座長がそろって登場。NTTのあり方の議論に多くの時間を割いたことを明らかにした。しかし具体的な議論の内容に関しては,「NTTの問題点が経営形態とアクセス部門のボトルネック性にあることを構成員で再度確認した」(松原座長)と述べるにとどまった。

 松原座長は「1999年の再編時に選択した持ち株会社の配下に事業会社を置く組織形態は電話の時代の発想。IP化が進む現状にはふさわしくない」と発言。NTTの組織形態に見直しが必要なことを改めて強調した。また,「組織改変は(デジタル化とブロードバンドが全国に浸透する)2010年代初頭までに完了しないと,日本の通信と放送の発展にとってマイナスになる」という考えも明らかにした。

 アクセス部門のボトルネック性については,NTT東西地域会社のDSLと光アクセスのシェアを引き合いに出し,「DSLでは5割を大きく割り込んでいるのに光アクセスは6割に上る。メタルから光ファイバに移行するとボトルネック性は強まる」(松原座長)という見解を示した。ただしアクセス部門の分離方法に関して,機能分離にとどまるのか,さらに踏み込んで別会社に分離する,もしくはNTTの持ち株会社を廃止しNTTの事業部門ごとに資本分離するのかまでは結論が出ずに終わった。

 当初は今回の会合が最終会合になると見られていたが,NTTのあり方を含め複数の論点が次回持ち越しとなった。次回会合の日時は未定だという。しかし,懇談会の結論を政府の経済財政運営の基本方針である「骨太方針」に盛り込むことを考慮すれば,5月中の取りまとめが濃厚だ。

チャンネル削減やNTT再編 「決着不透明に」
(2006年5月17日:日本経済新聞 朝刊)

 竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」は16日の会合で、公共放送であるNHKが制作した過去の番組をインターネットで全国に配信する仕組みを整えるべきだ、との意見で一致した。だかNHKのチャンネル削減やNTTの組織見直しなど、自民党などから反対が強い論点では意見がまとまらなかった。主要論点で具体策をどこまで報告書に盛り込めるか、不透明になってきた。

 懇談会は当初、16日に報告書をまとめ、与党と調整したうえで、政府が打ち出す経済財政運営の基本方針(骨太方針2006)に盛り込む段取りだった。しかし主要な論点で詰めるべき課題が多く残ったことで、会合後に会見した松原聡座長(東洋大教授)は「報告書が今月中にまとまるかどうかは未定」と述べるにとどまった。

 NHKとNTTともにそれぞれ大きな課題となっている業務・組織の見直しの具体案では結論が出なかった。

 NTT改革では「携帯電話やインターネットが普及した時代に、固定電話の競争促進を目指して再編した今の組織を前提にした状態でいいのかどうか」(竹中平蔵総務相)と、議論の論点を確認するにとどまった。

 NTT再編で常に話題となるのは、固定電話のNTT東西や携帯電話のNTTドコモが持ち株会社にぶらさがる現在の体制を解体し、各社を競争させる「分離・分割」論。だが「NTTを解体すると経営体力が弱くなり、地方への光ファイバーの敷設が遅れる」といった懸念が強く、早急なグループ解体の副作用を心配する声に押されている。

 竹中総務相は報告書の内容をあくまで骨太方針に反映する方針だが、与党との最終調整が難航するのは必至だ。

 アメリカかぶれの経済学者さんや、日曜コメンテーター学者さんには、ちと命題が難しすぎたかな、と。0xF9D1

 「持ち株会社にぶらさがる現在の体制を解体し、(云々)」とありますが、そもそもこの形態は、アメリカからの内政干渉に負けて、当時のお役人さん達が考えたもの(というか、AT&T解体の愚策をそのままコピーしたもの)だと思うのですが、違いますか?0xF9CA

 と言ってるそばから、内政干渉。

米、NTT強化を憂慮…総務省に意見提出
(2006年5月16日:YOMIURI ONLINE)

 総務省が15日発表した通信分野の競争政策に関する意見募集(パブリック・コメント)の結果で、米政府が「NTTグループが、有線・無線通信の統合を自社の利益のために不当に利用して、競争を妨げることがないよう求める」との意見書を提出していたことが明らかになった。

 米政府は、NTTが昨年11月に発表したグループ各社の連携を強化する内容の中期経営戦略について、「競争環境に有害」との懸念を表明。日本政府に「新規参入事業者や(KDDIやソフトバンクのような)競争事業者、外国の端末供給会社を妨げない競争環境の確保」を求めている。

 また、竹中総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」が、NTTがほぼ独占している電話局から家庭までの加入者線を、NTTグループから実質分離することを検討している点についても「注視している」とあえて言及し、関心の高さを示した。

 大失敗に終わった自分たちの愚策を、何食わぬ顔で押し付けてくるアメリカの厚顔ぶりにも、いい加減呆れてしまいますが、0xF9CA

 AT&Tもズタズタに切り刻まれ、かつて世界最高レベルの研究開発力を誇ったベル研究所も、あっちこっちのベンダーで売り買いされている間に弱体化し、いまや見る影もなし。
(アメリカは、国立研究所系が発達しているのと、海外から優秀な人材が流入してきているので、何とか持ち堪えていますが、日本ではそうはいきません)

 いまさら「アメリカ陰謀説」を唱えるほどアホではありませんが、それでも、「日本の国力を減退させようと、わざとやっているんじゃないか?」と勘ぐりたくなるほどのしつこさです。

 受けて立つ監督官庁も、旧帝大出の非常に優秀なエリート集団を多数擁しておきながら、出てくる具体策といえば、両極端な両者の案を、足して2で割ったようなステキな案。

 「骨太方針」が、「骨抜き放心」にならないように、牛乳飲んでがんばってくださいね~。0xF9D1

 昨日の投稿の続きです。

「受け入れられないものは明確に主張する」,竹中懇をNTT和田社長がけん制
(2006年5月12日:NikkeiBP ITpro Network)

「到底受け入れられない」NTT和田社長、竹中懇に反論
(2006年5月12日:Nikkei IT-PLUS)

「通信・放送懇 各所から突き上げ」 NTT資本分割 自民など慎重論
(2006年5月12日:日本経済新聞 朝刊)

 竹中平蔵総務相の私的懇談会「通信・放送の在り方に関する懇談会」(座長・松原聡東洋大教授)が議論しているNTTグループの経営形態見直しに、自民党などから慎重論が強まっている。懇談会はNTT東西などグループ各社の資本関係を切り離して独立させることまで視野に入れているが、11日に開かれた参院総務委員会などで「国際的に競争力のある通信企業をつくるのには逆行する動き」などの批判が続出した。

 11日の国会審議でも「米国では通信企業は二強に集約されており、NTTを分割するのはおかしい」などの質問が続出。これに対して竹中総務相も具体案は「実際の政策は多様な選択肢の中で考えなければならない」と述べるにとどまった。

 同日午前に開かれた自民党通信・放送産業高度化小委員会の会合でも、慎重な対応を求める声が相次いだ。

 安心しました。自○党の中にも、たまにはまともな意見を言えるセンセイ方がいらっしゃるようで。0xF9D1

 ただし、いい加減、「AT&Tがどうだったから」、「BTがどうだから」という、比較まねっこ議論は止めて欲しいものです。「日本はどうすべきなのか?」を、常に問うていただきたい。ジャパン・オリジナル。

 そう言えば、だいぶ前に読み終わって、いつかご紹介しようと思っていた「国家の品格」が、最短で200万部を突破したようです。

#ちなみに、この本との出会いですが、“アナログ・ハイビジョンにおける政府の愚策ぶり”を勉強しようと「電波利権」を買った際に、横に一緒に平積みになっていて、実は、前から読まなきゃと思っていた“某・国内最大の情報通信企業を題材とした小説”である「社長の品格」という本と、タイトルだけ見て間違えて買ったのがきっかけです。0xF9C7

 以下、紹介文から。

   ・日本は世界で唯一の「情緒と形の文明」である。
   ・国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、この誇るべき「国柄」を長らく忘れてきた。
   ・「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。
   ・いま日本に必要なのは、論理よりも情緒、英語よりも国語、民主主義よりも武士道精神であり、「国家の品格」を取り戻すことである。
   ・すべての日本人に誇りと自信を与える画期的提言。

 とかく「国家の~」という言葉を使うと、なにやら“右”っぽくて避けて通るような世の中ですが、また逆に、経済学者や歴史学者が「国家の~」という言葉を使うと、なにやらうさん臭く聞こえますが、この本の著者、藤原正彦氏は、数学者(理学博士、教授)でいらっしゃいます。(ご両親は著名な作家、新田次郎・藤原てい夫妻)

#ちなみに、ワタクシは、いわゆる“右”でも“左”でもありません(と思ってます)。てんびん座なので、中立というか、曲がったことが嫌いです。ついでに、“hawk”でも“dove”でもありません。信条は、“Not be fierce like hawks, not be coward like doves. Be wise like owls!!”です。

 数学者がなぜこのような本を書かれるに至ったのか、というところも興味深いのですが、注目すべきは、やはりその内容です。

 数学者であるがゆえ、なによりもまず「論理」を基底にされているのかと思いきや、「論理や合理性に頼っていてはダメで、すでにアメリカ型論理世界は破綻しつつある」、「古来からの美しい日本の姿を取り戻すために、子供には論理よりも情緒や惻隠、民主主義よりも武士道精神を、小さい時から徹底的に叩き込むべきだ」と熱く説かれています。

 文章は非常に明快で、すっと入ってきます。さらに、その辛口度合いたるや、ワタクシの100万倍ぐらい上手(うわて)です。0xF9C7

#読むと元気が出てくるので、ワタクシはいつも、カバンの中に忍ばせています。

 ここしばらく読んだ本の中で、最もお薦めできる本です。皆さんも是非、読まれてみてはいかがでしょうか。0xF9EB
(同じ著者に、「この国のけじめ」などもあります)

 さて、これまで、「シリーズ:研究開発力の将来について」(勝手にシリーズ化)にて、いろいろと追ってきた訳ですが、

#何を?0xF9C7

 今回は、ちょっと趣向を変えて、数値をナナメに読んでみたいと思います。0xF8A3

ソフトバンク、通期で最終黒字に転換
(2006年5月10日:ITmedia News)

「ボーダフォンを買って良かった」,ソフトバンクが決算発表
(2006年5月10日:NikkeiBP ITpro Network)

 通期で黒字に転換、ボーダフォンの買収も終え、ホクホク顔で会見されたところ、水を差すようで悪いのですが、以前から気になっていたことについて述べたいと思います。

 いままで、どこのネットニュースでも書かれていない(と思う)内容です。0xF9C5

 まずは、数値の確認です。

 速報値ベースで、

   経常利益: 274億9,200万円 (前期:452億4,800万円の損失)
   純利益:  575億5,000万円 (前期:598億7,100万円の損失)

   売上高:  1兆1,086億6,500万円 (前期比:32.5%増)
   営業利益: 622億9,900万円 (前期:253億5,900万円の損失)
となっています。この数値、よ~く覚えておいてください。

 つぎに、その成績表を見てみましょう。

〔2006年3月期〕

 決算短信【連結】

 ダラダラと書かれている中で、いくつかマークアウトしたいものがありますが、まずは30ページ、「(2) 重要な減価償却資産の減価償却の方法」です。

(以下、抜粋)

(2) 重要な減価償却資産の減価償却の方法
(2006年3月期決算短信【連結】より)

(耐用年数の変更に伴う追加情報)
 「通信機械設備」のうち、日本テレコム㈱で使用している伝送設備、交換設備、電源設備について、最近の除却実績に基づき実際稼動年数を調査し検証したところ、一部の設備について、これまで採用していた耐用年数との乖離が明確になりました。これを踏まえ、当該設備を利用して提供される基本的サービスの継続年数ならびに電気通信業界の技術革新サイクル等を総合的に勘案した結果、耐用年数をより実態に即したものとするため、主に6年としていた耐用年数を10年に変更しました。
 この結果、従来の方法と比較して売上原価に含まれる減価償却費が14,125百万円減少したことにより、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益が同額増加しています。

(減価償却方法の変更)
 当社およびソフトバンクBB㈱等における「建物及び構築物」および「その他」に含まれる社内資産(主として建物付属設備及び器具備品)の減価償却方法は、従来、定率法によっていましたが、当期より定額法に変更しました。
 この変更は、同社等において前連結会計年度に行った本社移転により発生した多額の社内資産購入によって、その金額的重要性が増加したことを契機に、より適正な費用配分方法を検討した結果、その投資効果が平均的に生ずると見込まれるため定額法がより合理的であると判断したことによるものです。
 この結果、従来の方法と比較して売上原価が317百万円、販売費及び一般管理費が705百万円減少したことにより、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益が1,023百万円増加しています。

(下線部は、筆者注記)

 記載されている内容から、まずは単純に、事実だけをまとめます。

   ・耐用年数の変更に伴う減価償却費の圧縮により、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益が、14,125百万円(141億2,500万円)の増加
   ・減価償却方法の変更に伴い、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益が、1,023百万円(10億2,300万円)の増加

 2つを合計すると、減価償却費の圧縮により、利益が151億4,800万円も、「見掛け上」増加していることになります。

 ちなみに、2006年3月期の経常利益は、「274億9,200万円」でした。
(ってことは、半分以上?)

 気になる方は、前年度分も見てみましょう。

〔2005年3月期〕 決算短信【連結】

 22ページです。

(以下、抜粋)

(2) 重要な減価償却資産の減価償却の方法
(2005年3月期決算短信【連結】より)

(当期における耐用年数の変更に伴う追加情報)
 主にADSLサービス用の設備として使用しておりましたバックボーン設備については、耐用年数を5年として減価償却を行ってきましたが、本年度10月より本格的にサービスを開始した「光ファイバーによるインターネット接続サービス(「Yahoo! BB 光」)」にも使用するため、他の光ファイバー用通信機械設備と同じく耐用年数を10年として、減価償却を行うことといたしました。
 この結果、従来の方法と比較して売上原価に含まれる減価償却費が3,034百万円減少するとともに、営業損失、経常損失および税金等調整前当期純損失が同額減少しております。
 なお、当該バックボーン設備は、連結貸借対照表上「通信機械設備」に含めて表示しております。

(下線部は、筆者注記)

 以前からやっていた訳です・・・。

 これが、何を「意味」するものなのか、いや、何を「意図」したものなのか、分かる方には分かると思いますが、分からない方には分からないと思います。

#まぁ、数値の目利きを無理矢理やらされている、ずぶのトーシローのワタクシだからこそ、気になったのかも知れません。例えば、某・中○青○監査法人のようなロープーな先生方からすると、まったく気にならないのかも知れません、ある意味、当たり前過ぎて。0xF9D1

 企業会計としては、「禁じ手のひとつ」を(理由は後述)、通信事業者としては、「暴挙に出た」ことになります。

 何が気になっているかというと、以下の2点。
(資産取得と減価償却費の基本については、めんどくさいので省略。自分で勉強してください)

(1) 通信機械設備の償却年数を、「10年」もの期間とした

 ふつう、パソコンでも、1年も経てば、機能的にはどうであれ、性能的には陳腐化し、前世代の機器となってしまいます。通信事業者が設置する「通信設備」についてはどうでしょうか。わずか3~4年前に爆発的に拡大したADSLサービスも、数Mのサービスは一部のルーラルエリアを除いて、主流は10数Mのサービスに取って代わりました。(そして、今や光サービスの時代)

 通信事業者としては、移り変わるユーザのニーズに応えるため、常に最新の機器を設備投資しなければならないのですが、実際のところ、投資の回収を十分にする前に、つぎつぎに次の世代の機器に更改しなければならない、というのが実情です。数年後にユーザの囲い込みができている(であろう)ことを見越して、先行して投資している訳です。(決して、「左うちわ」ではなく、「臥薪嘗胆」事業なのです)

 償却年数を長くすると、どうなるかと言うと、単年度で見たときの減価償却費の負担は軽くなりますが、陳腐化して、もはや使えなくなった機器に対しても、償却期間が終わるまでは、脈々と費用が立つ訳です。(途中で除却して、特損でも上げれば別ですが)

 電気通信設備の一般的な償却年数は「6年」ですが、ただでさえ更改サイクルが短くなってきている機器に対して、「10年」もの長い期間を設定するとは、通信事業者としては、もはや「常軌を逸している」としか言えません。(法的には問題ないのですが)

 短信には、「電気通信業界の技術革新サイクル等を総合的に勘案した結果」とありますが、どこをどうやって考えると、そういう結論に達するのか、まったくもって理解不能です。

(2) 償却方法を、「定率法」から「定額法」に、いつの間にか切り替えた

 取得した資産が残存価格に達するまで、「定額法」では、毎年同じ額を脈々と、「定率法」では、初年度は重く、後年度は軽く償却していきます。

 一般に、土地建物など、価値の変動が年度によって大きくなる場合があるけれども、長期のアベレージで見れば同じようになる資産については「定額法」で償却し、通信機器など、購入してから、陳腐化により一方的に価値の逓減が進むような資産については、早めに費用化するために「定率法」で償却します。

 本来、「定率法」で償却すべき資産を「定額法」に切り替えることによって、何が起こるかというと、
      「夏休みの宿題現象」0xF89F
が起こる訳です。

 どういうことかと言うと、日々コツコツ天気予報を見ていれば、大したことないはずなのに、間際になって焦ってやるので、本来、1で終わる苦労が、2にも3にもなってしまうという、例のアレです。

#もちろん、ワタクシは、後者の「イッキ型」だったですが。0xF9C7

 だいぶ脱線してしまいましたが、要は、前述の(1)と(2)の合わせ技で、何をしているかというと、本来支払うべき費用(この場合、減価償却費)を、“償却期間の長期化”と“償却比率の平均化”によって、「先送り」していることに他なりません。

 よって、2006年3月期においては、会計上は、151億4,800万円もの巨額の費用が、「浮いた」形になったのです。

 皆さん、0xF9C5

 このような、「会計手法による数値の変更」(「会計操作」とまでは言いませんが)、どこぞのネットベンチャー企業でも、同じようなことやってませんでしたっけ?
(粉飾決算指示で、最高経営責任者たちがみんなパクられちゃった、某社です)

 しかも、当期利益の半分以上をですよっ!

 さらに、ワタクシは意地悪なので、深読みします。0xF9D1

 足の短い通信機器の償却期間を、土木設備と同じように「10年」に変更したのが、2005年3月期の決算。

 ちょうど、携帯電話事業に新規参入するとかで、「オレにも電波よこせっ!他は不公平だっ!」とか言って、日経新聞に意見募集の一面広告まで出して、お上にご意見申し上げた(監督官庁にタテ突いた)ころに一致します。
(通信事業者のそれまでの常識では、考えられないようなことをやってくれました)

 某・損さんとしては、短期でも黒字化してお上に認めてもらって、何としても800MHz帯を確保したかった訳です。
(これには、さすがに同じ「愚連隊」のメンバーでさえ、反発してますが)

#その後、あれだけギャンギャン騒いで、さんざん引っかき回した挙げ句、ボーダフォンを買収したら、「もう要~らない」とか言って返上しちゃいましたが、どうせなら、「もらったもんは、放さないっ!」とか言って、もうちょっと世間と戦って欲しかったです、意固地になって。0xF9D1

 つづいて、半死半生の日本テレコムを叩きまくって買収し、「電気通信業界の技術革新サイクル等を総合的に勘案した結果」が、2006年3月期の決算。

 ちょうど、ボーダフォンを買収するために、小手先三寸、LBO(レバレッジド・バイ・アウト)による資金調達のために躍起になっていたころに一致します。

 某・損さんとしては、なりふり構わず黒字化して、何としてもパトロンからごっそり資金を集めたかった訳です。

 そう言えば、どこぞのネットベンチャー企業でも、球団やらテレビ局やらを買収するとかで、同じようなことやってませんでしたっけ?

#「業界の常識は、非常識。常識を破壊するっ!」はいいんですけど、自らの業で破壊されなければいいんですけどね、周囲を巻き添えにして。0xF9D1

 さて、0xF9C5

 物語は、まだまだ続きます。

 さきほど、「巨額の費用が浮いた」と言いましたが、単に支出を「先送り」しただけであって、「なくなった」訳ではありません。自ら設定した償却期間が終わるまで、粛々と払い続けなければなりません。

 「禁じ手のひとつ」と言った理由は、ここにあります。すなわち、儲かっているときはさほど大きな負担ではないのですが、儲かっていなくても、かなり以前に取得した資産にも関わらず、費用として出て行く訳です。しかも、それを払いつつ、他の通信設備をパラレルに更改していかなければいけないのです。

 それは、「夏休みの宿題現象」など、生易しいものでありません。ちょうど、拳法の「隠し打ち」のように、後から、じんわりと、しかし確実に効いてきます。

 数年後の決算公告が、ひじょ~に楽しみです。(ニヤリ)
(数年後が「あれば」の話ですが)

#まぁ、他人の庭のことなので、チューリップ植えようが大根植えようが、ど~でもいいことなのですが、某・平○電電のように、向こうからガチンコ勝負を仕掛けてきたにも関わらず、「潰れちゃったんで何とかしてください」とか後から言われても、ほとほと困りますので。0xF9D1

 どこぞの、可愛らしい動物やお姉ちゃんたちを使った「高利貸し」(←侮蔑的発音で)の宣伝ではありませんが、減価償却費の「操作」についても、
      「ご利用は計画的に」

 お後がよろしいようで・・・。0xF9C7

#あっ!

 そう言えば、短信に出ている「連結有利子負債」の額、見といてくださいね。目ん玉、飛び出ますから。0xF8F2
(これだけの額、試しに某・ア○フルから借りたらどうなるんでしょうね?一気に見たこともないような天文学的数字に? まぁ、借りれないですけれども、営業停止で)

〔関連情報〕
   ・研究開発力の将来について(その1) ~ものづくりの力~
   ・研究開発力の将来について(その2) ~静かに、そして着実に~
   ・研究開発力の将来について(その3) ~ファイナンシャル・マジック~
   ・研究開発力の将来について(その4) ~子供に見せられない~
   ・研究開発力の将来について(その5) ~タレント学者の罪~
   ・研究開発力の将来について(その6) ~決戦は木曜日~
   ・研究開発力の将来について(その7) ~珍妙な改革案~