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Chinema Archive
2007/12/14

 遂に、この日がやってきました!!

 「『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション・プレミアム」(SDY14484)、本日12月14日、発売です。

blade_runner01.jpg

 既報のとおり、ピクチャーレーベル5枚組、ユニコーンの折り紙その他、いろいろ付いて限定10,000セット、24,800円です。

 これは、古くからのブレラン・ファンにとっては、感涙モノ。さっそく購入して、永久保存版にしないと。

blade_runner02.jpg
(動画は、公式サイトのEMBEDタグより)

 さらに、この「究極の最終版」には、リドリー・スコット監督からの手紙が同封されています。

リドリー・スコットからの手紙

 「ブレードランナー ファイナル・カット」の製作の作業が始まったのは、2000年のことでした。それから7年間、様々な紆余曲折を経て現在に至ります。細部までこだわり抜いたレストレーション(復元)、技術的なチャレンジ、数々の驚くべき発見、その全てが、このファイル・カットという形に結実しました。

 「ブレードランナー」は、これまでに4種類のバージョンが作成されました。その間には、アナモフィック(スクイーズ)・ワイドスクリーンへのトランスファー、6トラック音源から起こした5.1chサラウンドなどを実現してきました。皆さまのお手元に、最高の映像と音声クオリティをお届けする、それが常に私の最終目標でした。そして、その考えは、このファイル・カットにも受け継がれています。

 映画に関して言えば、35mmオリジナル・ネガティブ素材からの4kスキャン、特殊効果シーンは65mmからの8kスキャンを実現。これによって、かつてない驚異の映像クオリティを実現するとともに、1982年公開当時は見ることのできなかったシーンが蘇りました。音声に関しては、現時点で最高峰の技術を駆使し、6トラックの音源からリミックスを行うことで、こちらもまた最高のサウンドを実現しました。

 そして最後に、充実した映像特典についても言及しなければなりません。深い洞察に富んだ各種ドキュメンタリー、音声解説、未公開シーン、そしてこの作品を愛してくださった皆さまに対する感謝の意を込めて、作品をより深く理解するために欠かせない、レアなアートワークの数々をご用意しました。

 今こそ、私は胸を張って断言することができます。この「ブレードランナー ファイル・カット」こそが、「ブレードランナー」の真の意味でのディレクターズ・カットであり、究極の最終形態であると。

リドリー・スコット

〔関連情報〕
   ・公式サイト:「Blade Runner

2007/08/19

「ブレードランナー ファイナル・カット」ベネチア映画祭でプレミア上映
(2007年8月8日:eiga.com)

 SF映画の金字塔「ブレードランナー」の製作25周年を記念して、リドリー・スコット監督が再編集に取り組んでいた「ブレードランナー ファイナル・カット」がこのほど完成。今年の第64回ベネチア国際映画祭(8月26日より開催)にてワールドプレミアが行われることが決定した。

 「ブレードランナー ファイナル・カット」は、82年公開のオリジナル、92年公開の「ディレクターズ・カット」に次いで公開される「ブレードランナー」の“最終版”。公開25周年にあたる今年にDVD発売の照準を合わせて、監督のリドリー・スコット自ら、82年のオリジナル版フィルムにデジタル・リマスターや再編集を施したもので、部分的に追加撮影された箇所もあるというファン垂涎の“新作”だ。

 完成したことを受けて同監督は、7月下旬に米サンディエゴで行われたComic-Conに登場し、「ファイナル・カット」版について全米の映画サイトCinematicalなどに語っている。また、YouTubeに出回ったオープニングタイトルを見る限り、オリジナル版との違いは明らかだ。

 同作は、全米では10月5日にニューヨーク、ロサンゼルスで限定劇場公開され、12月18日に映像特典を盛り込んだDVDとして2枚組、4枚組、5枚組がそれぞれ発売される。

 ベネチア映画祭では、9月2日深夜12時よりメイン会場サラ・グランデでワールドプレミアとして上映され、リドリー・スコット監督以下、ルトガー・ハウアー、ダリル・ハンナ、ショーン・ヤング、ジョアンナ・キャシディ、エドワード・ジェームズ・オルモスら、ハリソン・フォードを除くメインキャストが駆けつけ、同日昼には記者会見も予定されている。

 ちなみに日本でも、全米とほぼ同時にDVDが発売される予定。劇場公開されるかは未定だが、出来れば最新の映写設備がある劇場で見てみたいものだ。

 ということで、「Blade Runner Final Cut」(2007年版)の予告編です。↓

Blade Runner: The Final Cut (1982/2007) - Trailer

   ttp://www.youtube.com/watch?v=VvPB_6HiA_Q
   (頭にhを付けてコピペしてください)

 さらに、2007年版のオープニングです。↓

BLADE RUNNER 2007, Opening Titles, NEW

   ttp://www.youtube.com/watch?v=fT590N74r5o
   (頭にhを付けてコピペしてください)

 もはや、SFという枠を超えて、古代の叙述詩のようなオープニング。

 人間より人間らしく造られた有機アンドロイド。神に近づき過ぎてしまった人間。その一方で、人間以下の存在に成り下がってしまった人間たち(というか、人間型の生物)。

 現代の荒ぶれた世の中を見ていると、まさに25年もの昔に、この映画が予見していたように思えます。

2007/08/18

 すんごい情報をキャッチしましたっ!!

 私の最も好きな映画「Blade Runner」に、遂にBlu-ray Disk版が発売されることになりましたっ!!

 しかも、ものすごいラインナップで。

#いや~、公開から25年。あの頃、私も若かった。。。

Blade Runner (Five-Disc Complete Collector's Edition) [Blu-ray] (2007)
(Five-Disc Complete Collector's Edition [Blu-ray])

 まずは、「Five-Disc Complete Collector's Edition」。↑

Blade Runner (Five-Disc Ultimate Collector's Edition) [Blu-ray] (2007)
(Five-Disc Ultimate Collector's Edition [Blu-ray])

 つづいて、「Five-Disc Ultimate Complete Collector's Edition」。↑

 こっ、これは、デッカードが持っていた「フォークト・カンプフ測定器」が入っていたアタッシュケースではないかっ!!

Blade Runner (Five-Disc Ultimate Collector's Edition) [DVD] (2007)
(Five-Disc Ultimate Collector's Edition [DVD])

 で、なぜに「Five-Disc」なのかというと、DVD版では5枚ものディスクが付いているからなのだ。↑

〔Disk 1〕

 ・RIDLEY SCOTT'S ALL-NEW "FINAL CUT" VERSION OF THE FILM
 ・Restored and remastered with added & extended scenes, added lines, new and cleaner special effects and all new 5.1 Dolby Digital Audio. Also includes:

〔Disk 2〕

 ・DOCUMENTARY DANGEROUS DAYS: MAKING BLADE RUNNER

〔Disk 3〕

 ・1982 THEATRICAL VERSION
 ・1982 INTERNATIONAL VERSION
 ・1992 DIRECTOR'S CUT

〔Disk 4〕

 ・BONUS DISC - "Enhancement Archive": 90 minutes of deleted footage and rare or never-before-seen items in featurettes and galleries that cover the film's amazing history, production teams, special effects, impact on society, promotional trailers, TV spots, and much more.

〔Disk 5〕

 ・WORKPRINT VERSION
 ・This rare version of the film is considered by some to be the most radically different of all the Blade Runner cuts. It includes an altered opening scene, no Deckard narration until the final scenes, no "unicorn" sequence, no Deckard/Rachel "happy ending," altered lines between Batty (Rutger Hauer) and his creator Tyrell (Joe Turkell), alternate music and much more. Also includes:

 おまけディスクには、なんと、英国のテレビ局「Channel 4 Television」が放送したドキュメンタリー番組、「On the Edge of Blade Runner」(日本未公開)も収録されているらしい。

 く~ぅ、そそるなぁ。Ultimateですよ、Ultimateっ!!

#ちなみに、BMWは、「Ultimate Driving Machine」。(関係ないか)

 その他、ラインナップには、「Four-Disc Collector's Edition」、「Two-Disc Special Edition」があります。

 しか~し、日本で発売となるかは、いまのところ不明。北米では、今年12月8日に発売予定とのこと。待ちきれないヒトは、Amazon.comで予約だっ!!

 ってことで、フルハイビジョン・ホームシアターは、12月までに完成させないとっ!!

2006/10/20

 ふと川崎駅を歩いていたら、「九転十起」という文字の踊るポスターを発見。“これ”は“あれ”しかないと思っていたら、やはりそうでした。0xF9CF

実業家・浅野総一郎の青春が映画化…26日、川崎で公開
(2006年9月5日:YOMIURI ONLINE)

 「京浜工業地帯の父」や「セメント王」などと呼ばれた明治時代から戦前期の実業家、浅野総一郎(1848~1930)の青春時代を描いた「九転十起の男」が完成し、26日、川崎市幸区の「109シネマズ川崎」で封切られる。

 川崎市に事務所を置く市川徹監督(58)と原作の「その男、はかりしれず」(サンマーク出版)を執筆した同市宮前区在住の新田純子さん(63)が2年ほど前、知人を介して出会い、「軽く見られがちなものづくりの大切さを浅野の姿を通して知ってもらおう」と意気投合して、映画化の動きになった。

 しまつた、わたくとしたことが・・・。0xF9FC
(しかも、試写会は母校の講堂で)

 このほど新たに川崎駅にオープンした「ラゾーナ川崎」内にある「109シネマズ川崎」にて、9月26日(火)より一般公開されています。

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 監督の市川徹氏は、浅野学園のご出身とのこと。

 これは、卒業生、必見ですぞ。 > E9○Lifeさん0xF9CE
(ぜんぜん伏せ字になってない)0xF9C7

〔関連情報〕
   ・川崎市ゆかりの映画「九転十起の男」

2006/09/10

私を惹きつける二つの根本的な問題とは、
「現実とは何か?」、「真正の人間を形作るものは何か?」
というものです。

フィリップ・K・ディック

 以前に、リドリー・スコット監督の「Black Rain」(1989年)をご紹介しましたが、今回は、「Blade Runner」(1982年)をご紹介します。

#Bladeとは「手術用のメス」、Runnerとは「密売人」の意のスラング。Blade Runnerとは、医療用品の密売業者のこと。

 この作品、これまで私が観てきた映画の中で、「最高の傑作」だと思います。私の最も好きな映画です。映像も、音楽も、ストーリーも、キャスティングも、すべて「完璧」です。0xF9C6

 同年代に初回作品が公開された「Star Wars」が、万人にも分かる、いわば“お子サマ向け”の映画だとすれば、「Blade Runner」は、まさに“大人向け”の映画といえるでしょう。

 それは、単なるSF映画の域に留まらない、深くて重いテーマ、「現実とは何か?」、「人間とは何か?」を扱っているからです。

 中学生のころに初めて観た時は、ジ~ンとくる感動で、しばらく動けなくなってしまいました。

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2019年のロサンジェルス
炎を吹き上げ大気を汚す高層タワー群の向こうに
ピラミッド(あるいはマヤの神殿)を思わせる巨大建造物
(空中には、スピナー(飛行自動車)が飛び交う)

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タイレル・コーポレーションの巨大建造物の中
デッカード(ハリソン・フォード)とレイチェル(ショーン・ヤング)とが
初めて出会うシーン
(巨大なテーブルの上には、なぜかBONSAIが。映画中、随所に東洋嗜好が見られる)

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雨の中の決闘のあと、ロイ・バディ(ルドガー・ハウアー)が
最期にデッカードに語り掛けるシーン
(背景には、TDKの巨大なネオンサイン。その他、日系企業の看板多数)

 もっとも印象に残るシーンは、やはり映画のクライマックス。酸性雨の降りしきるブラッドベリー・ビルの屋上で、最期の時を迎えたロイ・バディが、デッカードに語り掛ける、禅問答のようなシーン。

   俺たちは、お前ら人間が信じられないようなものを見てきた。

   オリオン座のふちで燃える宇宙船、

   タイホンザー・ゲートの暗黒できらめくオーロラ。

   その想い出も、   やがて消える。

   涙のように、   雨のように。

   その時が、   来た。

〔原 文〕

   I've seen things you people wouldn't believe.

   Attack ships on fire off the shoulder of Orion.

   I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser Gate.

   All those moments will be lost in time.

   Like tears in the rain.

   Time to die.

 う~ん、すばらしいっ! すばらし過ぎるっ!0xF9CF

(原文では、「雨の中の涙のように・・・」になりますが、吹替では、「雨のように・・・、涙のように・・・」となっています)
(ちなみに、「Like tears in the rain.」は、元々のスクリプトにはなく、ルドガー・ハウアーのアドリブとのこと)

 で、以前にBMWの映像を探すために、Google Videoをググっていたら、なんと、このシーンが収録されていることを発見っ!
   ttp://video.google.com/videoplay?docid=4176679811538561619
(さすがに、直リンクをを張るとまずそうなので、hを付けてコピペしてください)

 「Blade Runner」の奥行きの深さついて、私がいくら言葉を重ねても説得力がないので、村上龍氏と坂本龍一氏との対談集「EV. Cafe ~超進化論~」(講談社:1985年)から、その一節をご紹介します。
(新書版は、すでに入手不可)0xF9F8

evcafe01.jpg

「ブレードランナー」における神の復活

村上:

       「ブレードランナー」がすごく面白かったのは、もう一回、神の問題が復権してくるということだと思うんだ。

     神はいるか。今度は人間自身が神になってくるわけだね。リドリー・スコットという監督はそういうことを無意識に言っているわけでしょう。だから「ブレードランナー」を見て、ジーンと思わず涙がにじむのは、たぶんそういうことだと思うんだな。

坂本:

       「ブレードランナー」の映画自体の最後はわりと陳腐なんだけど、あの陳腐さを取り除いてもなおいいものとして残るのは、あそこで死んでしまうレプリカントと、僕たち人間というのは全く同じということだよね。

       レプリカントの場合は記憶を企業によってプログラムされていて、寿命が4年しかない。人間の場合も、DNAというシステムや、文化というシステムによって記憶がプログラムされているわけで、寿命が70年であるというだけの、数値の違いでしかないわけ。全くわれわれと同じなんだ。あのレプリカントが、われわれはどうやって生まれて、アイデンティティはどういうもので、なぜ死ななくてはいけないかと、深刻に考えるわけだけど、全く僕たち人間の問題だよ。

     それはいま龍が言ったように、まさしく宗教の問題でもあるし、神の問題でもある。テクノロジーが限りなく発達することによって、われわれが限りなく神に近づいていくことで、そういう問いがテクノロジーの側から出てきてしまう。つまり、レプリカントでさえ神を問うてしまうというようなものをもたらすものが、われわれのテクノロジーでしょう。まさにそういうところまで僕たちの能力が行っちゃってるわけね。

村上:

     レプリカントが死ぬとこ、いいもんな。「時が来れば、思い出も消え去る。涙のように、雨のように・・・」って言ってさ。

坂本:

       ハトが飛んでいくのもすごいけどね。笑っちゃうね。

(脚注: 西洋ではハトは魂の象徴。はたして、人造レプリカントにも魂が宿っていたのか?)

村上:

     自分をつくったやつに会いに行ったりさ。それは俺たち自身が神を殺したり・・・。

坂本:

       神殺しだよ。

(脚注: 古代の神話には、人間(または半神)が自らの創造主である神を殺すという伝承がいくつかある)

村上:

       まったく同じなんだよね。ハリソン・フォードのことはほとんど何も覚えていないもんね、あいつのことばかりだよ。(笑)

(脚注:“あいつ”とは、逃亡レプリカントの首領、ロイ・バディを演じる、ルドガー・ハウアーのこと)

 ちなみに、この二人の“龍”、村上龍氏、坂本龍一氏とも、当時34歳(1952年生まれ)でした。
(いまの私と、ほぼ同い年)

#う~ん、二人の龍も、この私も、ずいぶん年を取ったなぁ。0xF9C5

 さらに、Google Videoをググっていたら、なんと、「On the Edge of Blade Runner」を発見っ!

   ttp://video.google.com/videoplay?docid=3807826142091223684
(同じく、hを付けてコピペしてください)

 この映像、英国のテレビ局「Channel 4 Television」が放送(2000年7月10日)した、Blade Runnerに関するドキュメンタリー番組で、日本では未公開のものです。

 番組では、リドリー・スコット監督をはじめとして、映画の関係者、出演者が続々と登場し、Blade Runnerについて約1時間にも渡って語り尽くすとととに、本編からカットされてしまった未公開シーンも紹介されています。

 さらには、なんと、原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」(ハヤカワ文庫、講談社ワ-ルドブックス)の作者、フィリップ・K・ディック氏の生前の映像を見ることができます。
(講談社ワ-ルドブックスの新書版は、すでに入手不可)0xF9F8

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(監督のリドリー・スコット氏)

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 さらに^2、20年近くの時を経て、リドリー・スコット監督自らの口から明かされる、デッカードに関する「衝撃の真実」。
(やっぱり、そうだったか・・・)

 ブレラン・ファンにとっては、まさに、激・激レアモノの映像です。
(削除される前に、ゲットしておこうっ!)

 さらに^3、Blade Runnerを極めたい方は、「メイキング・オブ・ブレードランナー」(ソニー・マガジンズ:1997年)があります。撮影の舞台裏から、“なぜ2つで十分なのか?”が分かります。(笑)
(ただし、すでに入手不可)0xF9F8

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 現在入手できる書籍でいうと、「ブレードランナーの未来世紀」(洋泉社:2006年)などがあります。なお、この本では、私がBlade Runnerと並んで好きな映画、テリー・ギリアム監督の「Brazil」(邦題:「未来世紀ブラジル」)が紹介されています。
(レイチェルの表紙が目印)

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 ということで、この作品、ぜひともタイムワーナーさんに、Blu-ray化をお願いしたいところです。0xF9CE

#次回は、「未来世紀ブラジル」か。