本日、発売予定日より1日早く、手元に届きました。
公開は、1984年ですから、いまから四半世紀も前のことになります。ナウシカを初めて観た時のことを思い出すと、ずいぶん前だったような気もしますし、あっという間だったような気もします。
いまでこそ、環境問題が普通に論じられていますが、四半世紀前の当時は、多くの人間が、「なに言ってんの?」という感じだったと思います。ほんとうに、人間というものは、日和見的なものが多いものです。
Blu-ray化にあたっては、「最新のディジタル技術を使って、お化粧直しをする」のではなく、「フィルムの劣化を修復し、公開当時の状態を再現する」ということをコンセプトにされたそうです。
ということで、さっそく我が家の100インチスクリーンにて鑑賞会です。
地上波でも、幾度となく放送されていますが、Blu-ray化によって、当然ながらかなりの解像度感が増していますが、それ以上に、「当時観た色は、こんな感じだったのかぁ」という新たな印象を受けました。
ところで、スタジオジブリが発行している「熱風」という小冊子において、宮崎駿監督は、インタビュアーが手にするiPadについて、こんな指摘をしています。
「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」
あなたが手にしている、そのゲーム機のようなものと、妙な手つきでさすっている仕草は気色わるいだけで、ぼくには何の感心も感動もありません。嫌悪感ならあります。その内に電車の中でその妙な手つきで自慰行為のようにさすっている人間が増えるんでしょうね。電車の中がマンガを読む人間だらけだった時も、ケイタイだらけになった時も、ウンザリして来ました。
「資料探しの道具として使いこなせば良いのでは?」という質問の流れで、「時間をいただけるなら、文献を調べて取り寄せることもiPadで出来ますよ」というインタビュアーの言葉に対し、
あなたの人権を無視するようですが、あなたには調べられません。なぜなら、安宅型軍船の雰囲気や、そこで汗まみれに櫓を押し続ける男達への感心も共感もあなたは無縁だからです。世界に対して、自分で出かけていって想像力を注ぎ込むことをしないで、上前だけをはねる道具としてiナントカを握りしめ、さすっているだけだからです。
一刻も早くiナントカを手に入れて、全能感を手に入れたがっている人は、おそらく沢山いるでしょう。あのね、六〇年代にラジカセ(でっかいものです)にとびついて、何処へ行くにも誇らしげにぶらさげている人達がいました。今は年金受給者になっているでしょうが、その人達とあなたは同じです。新製品にとびついて、手に入れると得意になるただの消費者にすぎません。
あなたは消費者になってはいけない。生産する者になりなさい。
最後の一文、重いですね。宮崎駿監督ならではのお言葉かと。
「調べもの」はそつなくこなすけど、自ら「創り出すこと」、「考え出すこと」の歓びを知らない学生を大量生産してきたこの国の行く末は、一体どうなってしまうのでしょう。
〔関連情報〕
・「ナウシカ」Blu-ray完成、26年前公開当時の色を再現
(2010年5月27日:Impress AV Watch)
・『熱風』今月号のご案内
(2010年7月12日:スタジオジブリ出版部)
・「ルパン三世 カリオストロの城」