(1/4) '02/07/24初版,'03/09/13更新 |
[はじめに]
(実はまだ完成していないんですぅ!)0xF9C7
今回は、「移植」ではなく、「製作」です。
すなわち、単に他のクルマのパーツを埋め込むのではなく、職人なりの工夫をいくつか加え、これまでにないオリジナリティー溢れるドアミラーウィンカーを作ってしまおうという、壮大な(?)計画です。
CIMAの複眼移植はマネできても、さすがに、ここまではマネできないでしょう。0xF9F8
まさに、
『独創は独走なり』 (西澤潤一教授;元東北大学総長)
です。
製作にあたっての目標は、
1. 高輝度黄色LEDを多数実装し、これまでにない業界最高レベルの明るさを実現すること
2. 同時に、ドアミラーウィンカーの本来の目的である、後方からの高い視認性を確保すること
です。
はてさて、それでは、どのようなドアミラーウィンカーができあがるのでしょうか。
それはこれからのお楽しみということで。0xF9CE
[ドアミラーウィンカーの比較]
まずはじめに、お手本となるMercedes-Benzさんのドアミラーウィンカーの比較をしてみましょう。
[写真1] | |||||||||||||||
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[写真2] | |||||||||||
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[写真3] | |||||||||||
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ところで、「なんで、E-classとC-classのドアミラー、2つも持ってんの?」とお思いでしょうが、それは「両方買ったから」です。
(またもやムダ遣いをしてしまった。)0xF9C7
Mersedez Benzの正規代理店さんに行って、「E-classのドアミラーください!」と言っても、まともに取り合ってくれるはずもないでしょうから、インターネットで「SPEED JAPAN」さんという純正部品輸入商社を発見しました。
この会社の設立理由には、非常に興味深いものがあります。日本国内において、輸入車の整備部品やアクセサリーパーツが非常に高価であることに疑問を持ったオーナーさん達が、自ら有志を募って出資金を集め、設立した会社です。
今回のE-classとC-classのドアミラーも、ドイツ本国より直輸入したため、国内価格よりもかなり割安に手に入れることができました。0xF9CE
(参 考)
「東京オートサロン2002」に出展されていたクルマのドアミラーです。
(えっ? なんで2002年かって? それは、構想からすでに1年以上経過しているからです。)0xF9C7
[写真4] | |
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オートサロンでは、ドアミラーばかり撮っていました。なんか、「ドアミラーマニア」みたいですね。0xF9C7
でも、こんな写真やこ~んな写真も、偶然撮れたりします。普段はこんなカメラ小僧みたいなことはしないのですが、“鈴木杏樹”さんによく似たモデルさんがいたので、思わずシャッターを押してしまいました。
(お茶目な仕草がグー!)0xF9CE
[保安基準上の規定]
つづいて、サイドウィンカーに関する保安基準上の規定について調べておきましょう。
(アイデア一発で、単純にドアミラーウィンカー作っても面白くないでしょ?)
ご存じのとおり、自動車に関わるさまざまな規定は、国土交通省の「道路運送車両の保安基準」(以下、保安基準)に細かく定められています。施行が昭和26年と、非常に由緒正しき法律(?)ですが、時代時代の流れに合わせて、これまでに少しずつ改正されてきています。
最近では、「カーブ走行で進行方向を照らす新しい前照灯を導入するための道路運送車両の保安基準の一部改正」について(長い!)、パブリックコメントの募集をしていました。
これが通過すると、「KOITO」さんが、2001年の東京モーターショーでARISTOのカットモデルを使って展示していた「AFS」(Adaptive Front Lighting System;配光可変型前照灯)が、いよいよ市販車に導入できることになります。
(注: このレポートを書き始めた当時はまだパブコメ中だったのですが、その後保安基準が改正され、現在では新型HARRIERを皮切りに、AFSの標準装備が始まっています。)
サイドウィンカーは、保安基準では「補助方向指示器」とされ、「第四十一条の二」に定められています。
(職人は、根っからの技術系なのですが、仕事柄、総○省対応もやっていたので、「お上からのお達し」の読み方も、妙に詳しかったりするのでした・・・。)0xF9C7
道路運送車両の保安基準(抜粋) |
昭和二十六年七月二十八日運輸省令第六十七号 最終改正:平成一五年七月七日国土交通省令第八一号 |
(方向指示器) 第四十一条 自動車には、次に掲げるところにより方向指示器を備えなければならない。 (略) 2 方向指示器は、次の基準に適合するものでなければならない。 (略) 二 方向指示器の灯光の色は、橙色であること。 (略) 3 方向指示器は、前項(略)に掲げる性能を損なわないように、かつ、次の基準に適合するように取り付けられなければならない。 (略) 二 方向指示器は、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられたものであること(車体の形状が左右対称でない自動車を除く。)。 (略) 五 (略)自動車に備える方向指示器は、その指示部の上縁の高さが地上二・一メートル(略)以下、下縁の高さが地上〇・三五メートル以上(略)となるように取り付けられていること。 六 二輪自動車、側車付二輪自動車並びにカタピラ及びそりを有する軽自動車に備える方向指示器の指示部の中心は、地上二・三メートル以下となるように取り付けられていること。 (略) 4 自動車の両側面に備える方向指示器は、非常点滅表示灯を作動させている場合においては、当該非常点滅表示灯と同時に点滅する構造とすることができる。 (補助方向指示器) 第四十一条の二 自動車の両側面には、方向指示器と連動して点滅する補助方向指示器を一個ずつ備えることができる。 2 補助方向指示器は、前条第二項第二号並びに第三項第二号、第五号及び第六号の基準に準じたものでなければならない。 3 前条第四項の規定は、補助方向指示器について準用する。 |
〔サイドウィンカーの個数〕
まず第四十一条の二第一項ですが、「自動車の両側面には、方向指示器と連動して点滅する補助方向指示器を一個ずつ備えることができる。」とあります。
ここで、サイドウィンカーの個数は、「一個ずつ」であって、「一個以上」ではありません。
(お上が「一個」といったら「一個」なんです!)
したがって、新たにドアミラーウィンカーを取り付けた場合には、フロントフェンダーにあるサイドウィンカーを取り外さなければならないことになります。
(取り外さないでいると、保安基準に違反していることになります。また点灯しない状態としていると、整備不良となってしまいます。)
〔サイドウィンカーの取付位置〕
つぎに、第二項には、「前条第二項第二号並びに第三項第二号、第五号及び第六号の基準に準じたものでなければならない。」とあります。
そこで第四十一条第二項第二号を見ると、「方向指示器の灯光の色は、橙色であること。」とあります。これは当たり前なので、特に問題はないでしょう。
(厳密には、「橙色」の波長範囲の規定もあるのですが。)
第三項第二号を見ると、「方向指示器は、車両中心面に対して対称の位置に取り付けられたものであること。」あります。これも一見当たり前のよう見えますが、実はここに注意しなければならない大きなポイントがあります。
[図面1] | |
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実は、このサイドウィンカーに関する保安基準上の規定は、トヨタさんの「オリジナルアクセサリー」の新商品ニュース(2002年10~12月版)を見るまでは、まったく知りませんでした。
(「以外と知られていませんが、現在ほとんどの市販品のターンランプが左右非対称の位置にあり、保安基準を満たしていません」と、図解入りで紹介されています。)
オートサロンの参考出展を見たときは、「なんでこんなに不格好にするのだろう?」と思ったのですが、さすがはトヨタさん、ちゃんと意味があって分厚くしていたのですね。
(なお、その他の規定、第三項第五号および第六号は、補助方向指示器の取付高さの規定ですので、特に問題はないでしょう。また第四十一条第四項も、非常点滅表示灯(ハザード)との同時点灯の規定ですので、特に問題はないでしょう。)
ということで、ドアミラーを製作するにあたっては、法的にもポイントがあるようです。なお、ここで保安基準について確認したのは、別に法律を持ち出してきて、これまで自作または市販されているものが「法律違反だ~!」と言っている訳ではありません。
(「ドアミラー付けたけど、ちゃんと車検に通ったよ」と言われるかも知れませんが、それは‘たまたま’検査官が気付かなかっただけであって、厳密に考えると車検不適合です。)
(でも、たとえ取付位置が左右非対称であったとしても、わずか数cmの違いであって、とりたてて問題にすべきほどではないでしょう。それ以前に、「お前はバックするんか!?」というような下品なクリアテールや、「眩しいんだよ、お前!」というような意味なしバックフォグなどを、路上でビシビシ取り締まるべきです!)0xF9C5
[製作上の問題点の整理]
さらに、これまでにあったドアミラーウィンカーの製作方法について、その問題点を整理しておきましょう。
ドアミラーウィンカーの製作方法をいくつかのパターンに分け、それぞれのメリット/デメリットをまとめると、つぎのようになります。
方法 | 概要 | メリット | デメリット |
〔作製方法1〕 貼り付けるタイプ | フレキシブルな発光部を純正ドアミラーに貼り付けるもの |
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〔移植方法1〕 発光部を 埋め込むタイプ | 他車の発光部を純正ドアミラーに埋め込むもの |
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〔移植方法2〕 一体交換するタイプ | 他車の発光部をFRPで成型したドアミラーに埋め込み、純正ドアミラーと交換するもの |
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(参考) 被せるタイプ 〔純正オプション〕 | 発光部が埋め込まれたカバーを純正ドアミラーの上に被せるもの |
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*1 〔加工精度の問題〕
発光部を埋め込む穴を開けるために、ルーターやホットナイフ等を使って純正ドアミラーを切削することになりますが、左右対称となるように加工するためには、かなりの技術と時間が必要となります。精度よく仕上げるためには、専用の治具から作ることが必要でしょう。
職人の場合は、左右で寸分の狂いも許さない性格なので(笑)、納得いくものができるまでは、試作用と本仕用とで何度も作り直さないといけないでしょう。
(そんな面倒くさいことはやってられません!)0xF9C8
*2 〔耐候性・耐衝撃性の問題〕
*1を解決できたとしても、発光部と純正ドアミラーとの間に微妙な隙間ができてしまいます。通常は、この隙間をパテ埋めすることになります。
純正ドアミラーは、障害物にヒットした時のために、対衝撃性の高いABS樹脂で作られています。これに対し、外装用のパテは、硬度の高いポリエステル系やエポキシ系の樹脂が多く使われています。
(対衝撃性の高いポリプロピレン系やウレタン系の特殊なパテもありますが、目が飛び出るほど高く、しかも入手しにくい。また、硬化中に有害なガスが発生するものがあるため、DIYとしては扱いにくい。)
ここに大きな問題が潜んでいます。ドアミラーは、直射日光による高温下や降雪による低温下にされされることになりますが、このような温度変化が大きなところに、膨張率の異なる2つの素材を接合したらどうなるでしょう? 最初は、いくらきれいに整形されていたとしても、経年変化によって、必ずヒビ割れやうねりが発生してしまうことでしょう。
(実際にヒビ割れが発生し、クレーム交換となった事例があります。)
大きな温度変化や強い衝撃が加わる部分に、パテ埋めによる整形方法を用いるべきではないのです。0xF9C5
*3 〔FRPの成型精度の問題〕
FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)とは、簡単にいうと、ガラス繊維で強化したプラスチック樹脂のことです。成型しやすく、また(薄さの割には)軽く硬いという特徴を持っています。これらの特徴から、多くのエアロパーツメーカーから出されている製品に用いられています。
FRPの成型には、積層法というものが用いられます。これは、プラスチック樹脂とガラス繊維を交互に重ね合わせて形作っていくものです。原型と同じものを作るためには、原型を‘正確に’反転した型が必要となります。したがって、FRP製品の仕上がりの良し悪しは、この型の成型精度に大きく依存することになります。
(‘てきとー’に仕事してるエアロパーツメーカーは、型の成型精度も‘てきとー’なので、できあがった製品の仕上がりも‘てきとー’なのです。)
(皆さんは、面(ツラ)がウネウネうねっちゃってる‘粗悪な’エアロパーツを見たことありませんか? 頭にタオル巻いたにーちゃんが、「うぜぇ~」とか言いながら、イヤイヤ仕事している工場(こうば)では、やはりそれなりの精度しか出ない訳です、はい。)0xF9CA
原型を反転した型は、石膏や樹脂等を使って比較的簡単に作れますが、しかし、そこはやはりアナログなコピーな訳で、完全には原型を写し取ることはできません。さらに、量産するために何度も型取りを繰り返すうちに、型自体の精度が落ちていってしまいます。いわゆる、形が‘なまってしまう’ということです。
FRPで成型された製品を見た時に、「だいたいの形は似てるんだけど、何となく違うんだよなぁ」と思うのは、ここに理由があるからです。
(職人は、この微妙な‘なまり’が許せないのです!)0xF9C8
*4 〔取付精度の問題〕
これは、純正ドアミラーの構造チェックのため分解した時に分かったのですが、純正ドアミラーのヒンジ部(ドアミラー本体と基部とを接続する部分)は、太いボルト3本を使って信じられないくらいのトルクで締め付けられています。(危うくボルトをなめてしまうところでした。)
すなわち、ドアミラーのヒンジ部は、それだけ大きな力が加わるということです。これには、走行中の風圧による定常的な力や振動による周期的な力、さらには障害物にヒットした時の瞬間的な強大な力を考慮したものでしょう。したがって、この力を受け止めるボルト穴には、かなりの強度が求められます。
ところで、FRPは、前述のように成形しやすく硬いのですが、これだけの力に耐えられるような強度は、もちろん持っていません。(障害物にヒットした時は、一発でパァでしょう。) また、常に振動しているところにボルトを使うと、硬いがゆえに、すぐにユルユルになってしまいます。長期間走行しているうちに、風圧や振動によってガタつきが発生してしまうことでしょう。
(実際に、走行中にカタカタ音がするという事例を聞いたことがあります。)
定常的な力や周期的な力が加わる部分に、FRPによる成形部品を使うべきではないのです。0xF9C5
ということで、これまでドアミラーウィンカーの製作方法をいろいろと見てきましたが、職人の厳しい眼でチェックすると、デメリットばっかり気になってしまうんですね。
(「イチャモンばっかり付けてるじゃん!」と言われそうですが・・・。)0xF9C7
職人がE-classやC-classの発光部を手に入れておきながら、これらの方法を採らなかったのには、ここに挙げたような多くの問題点が見えていたからです。単に一発勝負でなんとか形作っても、それが耐久性を持って長く安心して使えないようであれば、何の意味もありません。なので、これらの問題点を踏まえつつ、製作に入ることにしましょう。
[ドアミラーウィンカーの選定]
能書きはこれくらいにして、いよいよドアミラーウィンカーの製作に入りましょう。まずは、すべての基本となる、ドアミラーウィンカーの発光ユニットを選定します。
国産車でも、CIMAを皮切りに、新型ACCORDや新型LEGACYなどで、ドアミラーウィンカーの標準装備が始まっています。また、その他のクルマでも、純正オプションとして、後から装着することが可能となっています。
これまで、ドアミラーウィンカーを装着した新型車が発売される毎に、その発光ユニットをつぶさにチェックしてきました。しかし、どうも純正ドアミラーのハウジングにアールが合わなかったり、発光ユニットの光量が不足しているように見受けられました。
ここはやはり、「第三世代」まで改良が進んでいる、ご本家、Mersedez Benzさんのドアミラーウィンカーを採用することにしました。
(これで3ユニット目の購入。ほとんど「ドアミラーコレクター」?)0xF9C7
[写真7] | |||||||||||
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S-classの発光ユニットと新型E-classの発光ユニットとは、いずれも「第三世代」のもので、一見同じように見えますが、実は少し改良が加えられています。
S-classの発光ユニットは、新型E-classの発光ユニットに比べて2割ほど横幅が長くなっており、実装されているLEDが5個から7個に増えています。LEDの追加による光量の拡大によって、前方および後方からの視認性がかなり改善されているものと思われます。
[写真8] | |
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[写真9] | |
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(参 考)
2003年2月ににフルモデルチェンジした、新型HARRIERのドアミラーウィンカーと、注目のAFSについて紹介します。
[写真10] | |
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[写真11] | |
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