前回の続きです。
BMW Performance Strips(以下、BPS)の施工に使用する道具一式です。特殊なものは、特にありません。
当然ながら、「マイペット」に入っているのはマイペットではなく、「水貼り」用の霧吹き器として使います。
中に入っているのは、界面活性剤です。(という程の大げさなものではありませんが)
界面活性剤の作り方も含め、カッティングシートの基本的な施工方法については、こちらに詳しくまとめてありますので、各自勉強してください。
まずはじめに、カッティングシートが、アプリケーションシート(カッティングシートを保持する裏紙)の上に一体となって供給されているため、カッティングシートを各パート毎に切り出します。
幼い時に作ったプラモデルのデカール貼りと同じ要領で、カッティングシートの縁ギリギリのところ(2mm程度)でカットします。
#大人になった現在は、1/1モデルでデカール貼り?0xF9C7
ここで切り損じると、すべてが台無しになってしまうので、あくまで慎重に。
入念に洗車します。
カッティングシートを貼るのにベストな日は、曇りの日です。晴れた日だと、ボディー表面の温度が上がり、カッティングシートの粘着力が強くなり過ぎてしまい、作業性が悪くなります。
#職人の場合には、慣れているので、微妙に晴れた日に施工しましたが。
カッティングシートを貼り込む前に、ボディー表面を脱脂しておきます。
画像は、かなり以前にTOYOTAのディーラーさんからいただいた、業務用の脱脂剤、「プレップゾル」(デュポン社製)です。
ペイントシーラントの前処理用として使うもので、ボディー表面を痛めずに、ピッチやタールなどが、面白いほど綺麗に取れます。非常に重宝します。
普通は持っていないと思いますので、タミヤさんの「エナメル溶剤特大」(X-20)で代用します。
化粧用のコットンで、カッティングシートの貼付予定位置周辺を、入念に脱脂します。
まずはじめに、フューエルリッド(給油口)のある右側から施工します。
(左側から施工すると、カッティングシートの位置が、左右非対称になる可能性が高くなります)
サイドパネルのプレスラインを目印にして、マスキングテープで、カッティングシートを仮止めしていきます。
プレスラインのエッジに対して、カッティングシートの縁のラインが、完全に平行になるように調整します。
フューエルリッド周辺です。
フューエルリッドの隙間に対して、カッティングシートのマージンが、左右それぞれ3mm程度になるように微調整し、この位置を基準とします。
いよいよ貼り付け開始です。
まずはじめに、ボディー表面に、散水器で、ジャカジャカと水を掛けます。
さらに、カッティングシートの貼付予定位置に、霧吹き器で、シューシューと界面活性剤を吹き掛けます。
これ以降、少しでもボディー表面が乾いてきたと思ったら、散水器でジャカジャカ、霧吹き器でシューシューします。
(良い仕事をするためには、手間を惜しんではいけません)
カッティングシートを持ち上げて、カッティングシートのほぼ半分の長さのところで、ハサミで、アプリケーションシートを切り落とします。
#アプリケーションシートを、一気に剥いちゃうヒトもいますが、たいてい失敗します。
アプリケーションシートを切り落としたカッティングシートの裏側にも、霧吹きしながら、カッティングシートをボディー表面に戻します。
再度、カッティングシートを、プレスラインに合わせて、位置決めします。
(この段階では、ボディー表面とカッティングシートとの間に界面活性剤が入っているので、まだカッティングシートを動かすことができます)
残り半分のアプリケーションシートも、カッティングシートの裏側に霧吹きしながら剥がし、カッティングシートをボディー表面に戻します。
ラインが決まったら、スキージを使って、ボディー表面とカッティングシートとの間の界面活性剤を追い出していきます。
スキージは、カッティングシートの中央から、左右端点に向かって、水平方向に動かします。最初は優しく、徐々に力を入れていきます。
(あまり力を入れ過ぎると、カッティングシートの表面にキズが入ってしまうので注意)
ドアパネルも同様に、カッティングシートを貼っていきます。
パネルの継ぎ目のところは、ラインの延長線がぴったり重なるように、細心の注意を払って位置決めします。
(コンマ何mmでもラインがズレていると、非常にみっともなくなります)
パネルの隙間に対するカッティングシートのマージンは、左右それぞれ2~3mm程度になります。
フロントパネルまで終わったところです。
フロントからリヤに掛けて、ピタ~ッとラインが出ているのが分かると思います。
つづいて、エッジ部の処理です。
カッティングシートは、熱を加えると、加工しやすくなり、また粘着力が増します。
ヒートガンを使い、エッジ部を暖めながら、徐々に形状に合わせていきます。といっても、普通はヒートガンは持っていないと思いますので、ヘヤードライヤーで代用します。
(あまり暖め過ぎると、形状に合う前にクタ~ッとしてしまうので、注意)
カッティングシートの先端の位置は、フロントパネル上端から、25mmの位置となりました。この位置を覚えておき、左側も左右でシンメトリーとなるよう、施工します。
#非常に細かくて、誰も気付かないと思いますが、イーグルアイの眼球(?)の側面に入っているラインと、ピッタリ合わせてあります。
ドアのエッジ部も、慎重に折り曲げていきます。
ドアの反対側のエッジ部です。
折り曲げのマージンは、3mm程度です。この程度あれば、ワックス掛けをしても、引っ掛かることはありません。
さて、最大の難関、フューエルリッド周辺部の処理です。
まず、フューエルリッドのフタを開け、ヒートガンを使って、外側のエッジ部を折り曲げていきます。
拡大すると、こんな感じです。
焦らず、ゆっくりと、カッティングシートの中央から、左右端点に向かって曲げていきます。
つづいて、フューエルリッドのフタの部分に、カッティングシートを貼り込みます。
こちらも、ラインの延長線がぴったり重なるよう、細心の注意を払います。
ヒートガンを使って、内側のエッジ部を、徐々に徐々に折り曲げていきます。
フューエルリッド周辺部の処理、完了です。
左側も、右側の位置関係を参照しながら、左右でシンメトリーとなるよう、施工します。
こんな感じで、完成しました。