すでに通算、何機種目のドラレコなのか忘れましたが、今回はミラー型の前後ドライブレコーダーを取り付けます。
#以前に改造したVantrueの「X4S Duo」も、まだリヤカメラの取り付けが終わっていませんが。0xF9C7
NEOTOKYOの「Mirrorcam 3」(MRC-2024)です。
開封の儀。
左側が、フロント用のカメラ。右側の、エイのような形をしているのが、リヤ用のカメラです。
リヤ用は、車外にも設置できるよう、防水タイプ(IPX7)となっています。
通電し、動作を確認したら、さっそくリヤ用のカメラを分解します。
左側が外枠で、アルミダイキャスト製のようです。
右側はその中身で、シリコンシーラント(充填剤)で、基板や光学系が丸ごと封止されています。
防水性や放熱性(熱伝導性)を保つため、できれば元の状態を残したいところですが、このままでは超高輝度赤色LEDを埋め込めないため、充填剤をすべて剥ぎ取ってしまいます。
Sony Semiconductor Solutions製のCMOSイメージセンサ、「IMX307」が搭載されています。
光学系は、一眼レフと同じで、絶対にホコリや指紋などを付けないよう、細心の注意を払って取り扱います。
また、マイクロレンズも、フォーカスを調整してある(と思う)ので、基板への取り付け天地を間違えないよう、慎重に戻します。
リヤ用のカメラが分解できたところで、超高輝度赤色LEDを埋め込むための穴を加工します。
例によって、Autodeskの「Fusion 360」を使って、治具を設計します。
「Snapmaker 2.0 A350」で、5mm厚のアクリル板を削り出し、リヤカメラ本体を固定できるようにした上で、φ4.8mmの穴を切削します。
左右対称となるよう、0.1mm単位で調整し、センターを出しました。手加工では出せない精度です。
ちなみに、以下、これまでの加工方法の変遷です。
「超広角ドライブレコーダー(DataSystem DVR3000)の改造」(2017年12月23日)
フライス盤を使って、φ4.8mmの穴を、左右シンメトリーとなるよう、精確に開けます。
ちょうど、2.5mmピッチでディンプル加工が施してあるため、これを目印とすれば、「テプラ技」を使わずとも、正確に位置決めができます。
「前後2カメラドラレコ(CA-DR03TD)の取付(1) - Audi R8編」(2020年1月25日)
はじめにφ0.5mmのエンドミルで前後左右の位置を精確に合わせ、φ3.0mmのエンドミルで切削位置が合っていることを確認し、最後にφ4.8mmのエンドミルで仕上げます。
「前後2カメラドラレコ(Vantrue X4S Duo)の取付(1) - Audi R8編」(2023年12月16日)
「Snapmaker 2.0」で、5mm厚のアクリル板を削り出し、「X4S Duo」のフロントカメラ本体を固定できるようにします。
「Fusion 360」と「Snapmaker 2.0 A350」を駆使し、カメラ本体を押さえる治具を作るようになってから、加工の精度が飛躍的に向上しました。
と、いうことで、
このような感じで、超高輝度赤色LEDを埋め込むことができました。
で、ですね、
リヤカメラ本体を、リヤウィンドウに取り付ける訳ですが、「Mirrorcam 3」には、車内用と車外用の取付ブラケットが付属しています。
んが、しかし、これが「いかにも後から取り付けました」的な、安っちぃ~代物なのです。
と、いうことで、
Audi R8 V10 5.2 FSI quattro S-tronicの側面図から、リヤウィンドウのスラント角を割り出します。
上方では、だいたい11°ぐらいでしょうか。スラント角が深いと、カメラの目線が上向きとなってしまうため、少し浅いぐらいが、ちょうど良いと思われます。
#多少ズレたとしても、取り付け後、ミラーカム本体からチルト角を調整できますし。
「Fusion 360」で、リヤカメラの形状にぴったり合う、取付ステーを設計します。
側面には、微妙にテーパー(7.5°)を付けてあります。
「TPMS(AS-CV2)の取付(1)」(2022年12月10日)
このような感じで、三次元曲面を持った取付ステーが設計できました。
TPMSの時は、ステアリングコラム近傍の、コンソールパネルの形状に合わせたため複雑な三次元曲面となりましたが、今回は、比較的単純な形状になります。
「Snapmaker 2.0 A350」で、アクリル板を切削加工します。
取付ステーは、出来形が高さ約9.4mmになりますが、あいにく10mm厚のアクリル板の持ち合わせがありません。
いつものとおり、5mm厚のアクリル板を2枚重ね、アクリル樹脂用の接着剤で溶着したものを使用します。
#アクリル板は、作製中の「タイニー・ファランクス」の端材を再利用しています。
切削したパーツの表面やエッジを、サンドペーパーで整え、リヤカメラ専用の取付ステーができあがりました。
「せっかくSnapmaker持ってるんだから、3Dプリントすればいいじゃん!」というハナシもありますが、リヤウィンドウ上方、エンジン直上に設置されることから、耐熱性・耐候性を考慮し、アクリル板を削り出したものとしました。
住友3Mの超強力両面接着シートで固定した後、TAMIYAのサーフェイサーを吹いて、下地を作ります。
「前後2カメラドラレコ(Vantrue X4S Duo)の取付(1) - Audi R8編」(2023年12月16日)
フロントカメラ本体は、Audi R8のボディーカラーである「アイスシルバーM」に近い、「シルバーメタル」(AS-12)にしました。
レンズの寸胴の部分は、レンズ部を目立たせるため、あえてボディー同色とせず、「セミグロスブラック」(TS-29)にしました。
こちらは、「X4S Duo」のフロントカメラ。筐体を、シルバーとブラックで塗り分けています。
「Mirrorcam 3」でも同様に、カメラ本体と取付ステーとを、2色に塗り分けました。
この形、なんとなくNorthrop Grummanの「B-2 Spirit」(または「B-21 Raider」)っぽくて、好きなんですけど。
まぁ、機体形状や機構(可変翼)としては、Rockwellの「B-1 Lancer」の方が美しいと思いますけどね。
閑話休題、
こちら、いつも使用している超高輝度赤色LED、OptoSupplyの「OS5RKE56C1A」です。
1つのパッケージに、発光素子が3つ、並列に封入されています。よって、定格電流は60mAで、最大75mAまで流すことができます。
順電圧2.1Vで12,000mcdという、「お前は目潰しか?」と思うぐらいの輝度を持っています。
しかも、半値角は120°で、広い範囲から視認することができます。
パッケージは、一般的な「砲弾型」ではなく、φ4.8mmの「帽子型」といわれているものです。
左側の2つは、オリジナルの状態ですが、このままだとカメラ内部に埋め込みにくいため、帽子の「ブリム」(つば)の部分を、削り取ってしまいます。
右側の2つが、加工したものです。フライス盤の軸に固定し、回転させながら、棒ヤスリで切削しました。
カメラ内部に、超高輝度赤色LEDを、超強力接着剤で固定します。
光漏れを防ぐため、LEDの底面を、「シルバーメタル」で塗装しておきます。
CMOSイメージセンサの基板などを、慎重に元に戻します。
「FIA準拠・超高輝度LEDレインライトの製作(2) - Audi R8編」(2023年8月15日)
プラスチックケースに、プリント基板を収めたところです。
寸分違わず、ぴったり収まっています。
超高輝度赤色LEDが正常に点灯するか、「セキュリティLED制御回路」(FIAレインライト対応版)で確認します。
(自動再生しない場合は、右クリックでメニュー)
とりあえず、「Mirrorcam 3」のリアカメラの改造、完了。
(つづく)
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