#タイトルは、橘 玲氏の同名の著書から。
2012年のロンドン・オリンピック開会式は、記憶に残るオープニングであった。
サーの称号を持つサイモン・ラトル氏が率いるロンドン交響楽団が、ヴァンゲリスの「炎のランナー」を奏でる。
冒頭、あの有名なイントロ(のベース部)をエレピで弾く奏者の手元がアップで映し出されるが、カメラが徐々に引いていくと、なんとその奏者は、Mr.ビーンのローワン・アトキンソンだったのだ。
何10小節にも及ぶ単調なフレーズを、退屈そうに、面倒くさそうに弾いていて、観客の大きな笑いを誘った。
#故エリザベス女王が、ジェームス・ボンドと登場するシーンも良かった。
対して、今回のパリ・オリンピックはどうか。
すでに各国主要メディアでは、「悪趣味すぎる」「史上最悪の開会式」「フランスは世界に恥をさらした」などの論評が出始めている。
#これも、紳士の国・イギリスと、革命の国・フランスとの違いかも知れないが。0xF9D1
開会式の数日前、総監督を務める演出家とやらが、TVで紹介されていた。
小生、フランス語は分からないまでも、その言葉尻や物腰から、明らかに“あっち系”の気配を感じたが、それが的中した。
#芸術家に“あっち系”が多いのは、いまに始まったことではないが。0xF9D1
マリー・アントワネットの生首が歌ったり、「最後の晩餐」を模したテーブルで、筆舌にし難い連中が乱痴気騒ぎをしたり、豊胸手術を施したヒゲ面のオッサンが、艶めかしいダンスを踊ったり・・・。
人種や性別、性的指向などによらず、誰もが「自分らしく」生きられる社会は素晴らしい。お互いがお互いを尊重し、多様性を認めていくことは重要だ。
しかし、マイノリティーにばかり“光”を当て過ぎ、マイノリティーが幅を利かせる世界は、将来、どうなってしまうのか。
光が強くなればなるほど、それが大きな“陰”を生み、マジョリティーにとっては、いずれ世界は住み難い社会、「ディストピア」となっていくのではないか。
すでにその兆候は、フランスやイタリアなどの都市部で起きている。日本ではほとんど報道されていないが。
遠からず、日本でもそうなっていくであろう。
興味深いのは、狂乱の「史上最悪の開会式」が終わった、翌朝のことだ。
いつもは“あっち系”に格別の配慮を示すNHKであるが、開会式のダイジェストでは、“あっち系”のシーンが、ばっさりカットされていた。
#NHKにとって、よほど不都合なことでもあったのか、訊いてみたい。0xF9F8
唯一の救いは、セリーヌ・デュオンさんが、闘病中の身を押して「愛の讃歌」を歌われたことだ。
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