前回の続きです。
Fanatecのペリフェラルを改造し、GT7をマルチモニターで稼働することができるようになったところで、いよいよ本題に入ります。
イメージを元に、ササッと図面に起こして、木材を機械加工してもらいました。
材料は、15mm厚のベニヤ板(シナ合板)です。
この手のレーシングコックピットは、ステンレスやアルミニウムを使ったものが多いですが、職人の場合は、PlayStation 5(PlayStation 3)を格納するベースボードからして、木材で作製しています。
「シアターパネルの製作 ~フレームの組立~」(2007年12月16日)
木材が大量に届きました。設計図どおり、NC加工により寸分の狂いもなく仕上げられています。これらを組み合わせて、シアターパネルを作成します。
#我が家のホームシアターも、木材で作製しましたし。0xF9F8
よってからに、今回も、加工の自由度の高い、木材で作製することにします。
そうそう。Fanatecからは、少し前に「CSL Cockpit」が発売されましたが、注文殺到のようで、しばらくは手に入らないようです。
さてと。
まずは、ハンコン(Gran Turismo DD Pro Wheel Base (8Nm))を設置する、デスク本体から作り始めます。
側面の板です。2枚の短冊状の板の側面を、木工用ボンドで貼り合わせています。
このままだと、ねじれ方向の力に弱いですが、この後、複数の板を直角に組み合わせることにより、強度を出します。
ボール盤を使って、垂直に精確に穴を開けます。
右側は、ボール盤が使えない時に、垂直に穴を開けるための「ドリルガイド」です。
左側は、木ネジ(皿ネジ)の頭を逃がす加工をするための「皿取錐」(さらとりきり)です。
このような感じで、綺麗に皿取りすることができます。
デスク本体は、このような感じ。
つづいて、ベースボード。
ホールソーを使って、所定の位置に、φ70mmの穴を開けておきます。
ベースボードにデスク本体を組み合わせたところ。
先ほどの穴は、このためのものです。
ゲーミングチェアの脚を入れ、固定します。
座面の回転は固定することはできませんが、チェアの前後左右の動きは、がっちり固定することができます。
一般的なレーシングコックピットは、ハンドル支持部とチェア部が一体となっていますが、この構成だと、ゲーム時“しか”使うことができません。
(しかも、多くのスペースを要します)
ハンドル支持部とチェア部を分離し、チェアは既存のものを流用することで、「普段使い」(ゲームをしていない時やリモート勤務時など)もできるようにしてみました。
引き続き、ベースホード。
Audi R8 V10の着座位置に倣って、ペダルの設置位置を、少し嵩上げします。
実際のAudi R8 V10 5.2 FSI quattro S-tronicのコックピットです。
#純正シートは、RECAROの「Sportster(CL210H)」に置換済み。
シートの座面の最下部とペダルとの位置関係は、このような感じです。
着座した感覚では、極端に言うと「ほぼ水平に脚を投げ出している」ような感じです。
これを元に、嵩上げの高さを設計しました。
まだ作製の途中なのですが、居ても立っても居られず、ハンコンとペダルを仮組みしてみました。
#う~ん、イイ感じです。0xF9CF
ゲーミングチェアの座面を最も低くした状態で、Audi R8 V10の着座位置に近い形になりました。
ペダル(CSL Pedals LC)を固定できるよう、所定の位置にφ7mmの穴を開けておきます。
AC/DCコンバーター(Boost Kit 180 (8Nm))は、ベースボードの内部に固定しておきます。
大電流用の強化型だけあって、けっこうな重量があります。
所定の位置にφ13mmの穴を開け、ペダルの接続ケーブル(RJ-45コネクタ)を通しておきます。
ペダルを天板に設置し、M6のボルト(5ヶ所)で固定します。
かなりがっちり固定できました。
最も踏力が必要となるブレーキペダルを思いっ切り踏み込んでも、びくともしません。
ベースホードの背面には、固定キャスターを取り付けておきました。
ベースホードの手前には、オーバル取手を取り付けました。
このレーシングコックピット、全体としてはかなりの重量となることが予想されますが、固定キャスターとオーバル取手とを組み合わせることにより、簡単に移動させることができるようになりました。
と、ここへ来て、ふと閃いてしまいました。0xF9A0
このまま木材の素地を活かしても良いのですが、もう少し工夫してみることにします。
まずは、ベースホードの端面を、水性塗料の「ダークグレイ」で塗装します。
AC/DCコンバーターの太いケーブルは、ナイロンサドルを使って、ベースホード内に固定しておきます。
ベースホードの外周に、「パンチカーペット」を貼り付けてみました。
#見た目的には、車内とクリソツです。0xF9F8
綺麗に貼り付けるポイントとしては、いくつかあります。
まず、サイズは、貼り付ける幅に対して1mm少なくなるよう、精確に切り出すことです。
また、貼り付けは、変性シリコーン樹脂製のボンドを使いますが、速乾性のものではなく、塗布してから5~10分程度静置して貼り付けるタイプのものを使います。
(塗布する面積が広いことから、速乾性のものだと途中で接着力が失われてしまうため)
エッジの部分(凸部)は、ヒートガン(またはヘアドライヤー)を使って温めながら曲げると、クセが付きやすくなります。
画像の下端のように、凹部になっているところは、無理して曲げようとせず、分割して貼り付けます。
天板の、ペダルを固定するための穴は、少し手間が掛かりますが、パンチカーペットを貼り付けた後、改めて裏面からドリルで穴(φ7mm)を開け直します。
ペダルの接続ケーブルも、穴(φ13mm)を開け直してから引き出しておきます。
で、ですね。ここが今回の一番の難関でした。
ゲーミングチェアの脚を入れるために開けた穴の処理です。
まず、ベースホードの表面の半分だけパンチカーペットを貼り付けて固定し、残りの半分(穴を開ける部分)は、カーペットを浮かせられるようにしておきます。
つぎに、カーペットを穴のある位置まで戻してから、裏面からマスキングテープ作った型紙(φ70mmの円)を貼り付け、穴の中心を割り出します。
割り出された中心から、サークルカッターを使って、半径が1mm大きい穴(φ72mm)を開けます。
このような感じに切り出されました。
自分で言うのもなんですが、恐ろしいほど綺麗に仕上がりました。
どうやったら精確に加工できるかを考えながら作業するもの、愉しいものです。0xF9C6
裏面も同様に加工し、パンチカーペットを貼り付けます。
穴の処理は、手加工とは思えないほどの精度に仕上がりました。
裏面にパンチカーペットを巻き込むことにより、期せずして、フローリングの傷防止の役割も果たすことになりました。
凸部も凹部も、しっかりエッジが出ています。
固定キャスターを取り付け、
オーバル取手も取り付けて、
完成しました、レーシングコックピットのベース部分。
#う~ん、我ながら、なかなかにイイ感じに仕上がりました。0xF9CF
(つづく)
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