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レーシングコックピットの製作(1)

2024/05/05

 前回の続きです。

 Fanatecのペリフェラルを改造し、GT7をマルチモニターで稼働することができるようになったところで、いよいよ本題に入ります。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 イメージを元に、ササッと図面に起こして、木材を機械加工してもらいました。

 材料は、15mm厚のベニヤ板(シナ合板)です。

 この手のレーシングコックピットは、ステンレスやアルミニウムを使ったものが多いですが、職人の場合は、PlayStation 5(PlayStation 3)を格納するベースボードからして、木材で作製しています。

シアターパネルの製作 ~フレームの組立~」(2007年12月16日)

Theater Panel

 木材が大量に届きました。設計図どおり、NC加工により寸分の狂いもなく仕上げられています。これらを組み合わせて、シアターパネルを作成します。

#我が家のホームシアターも、木材で作製しましたし。0xF9F8

 よってからに、今回も、加工の自由度の高い、木材で作製することにします。

 そうそう。Fanatecからは、少し前に「CSL Cockpit」が発売されましたが、注文殺到のようで、しばらくは手に入らないようです。

 さてと。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 まずは、ハンコン(Gran Turismo DD Pro Wheel Base (8Nm))を設置する、デスク本体から作り始めます。

 側面の板です。2枚の短冊状の板の側面を、木工用ボンドで貼り合わせています。

 このままだと、ねじれ方向の力に弱いですが、この後、複数の板を直角に組み合わせることにより、強度を出します。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ボール盤を使って、垂直に精確に穴を開けます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 右側は、ボール盤が使えない時に、垂直に穴を開けるための「ドリルガイド」です。

 左側は、木ネジ(皿ネジ)の頭を逃がす加工をするための「皿取錐」(さらとりきり)です。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 このような感じで、綺麗に皿取りすることができます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 デスク本体は、このような感じ。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 つづいて、ベースボード。

 ホールソーを使って、所定の位置に、φ70mmの穴を開けておきます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ベースボードにデスク本体を組み合わせたところ。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 先ほどの穴は、このためのものです。

 ゲーミングチェアの脚を入れ、固定します。

 座面の回転は固定することはできませんが、チェアの前後左右の動きは、がっちり固定することができます。

 一般的なレーシングコックピットは、ハンドル支持部とチェア部が一体となっていますが、この構成だと、ゲーム時“しか”使うことができません。
(しかも、多くのスペースを要します)

 ハンドル支持部とチェア部を分離し、チェアは既存のものを流用することで、「普段使い」(ゲームをしていない時やリモート勤務時など)もできるようにしてみました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 引き続き、ベースホード。

 Audi R8 V10の着座位置に倣って、ペダルの設置位置を、少し嵩上げします。

Audi R8 V10 5.2 FSI quattro S-tronic Cockpit

 実際のAudi R8 V10 5.2 FSI quattro S-tronicのコックピットです。

#純正シートは、RECAROの「Sportster(CL210H)」に置換済み。

 シートの座面の最下部とペダルとの位置関係は、このような感じです。

 着座した感覚では、極端に言うと「ほぼ水平に脚を投げ出している」ような感じです。

 これを元に、嵩上げの高さを設計しました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 まだ作製の途中なのですが、居ても立っても居られず、ハンコンとペダルを仮組みしてみました。

#う~ん、イイ感じです。0xF9CF

 ゲーミングチェアの座面を最も低くした状態で、Audi R8 V10の着座位置に近い形になりました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ペダル(CSL Pedals LC)を固定できるよう、所定の位置にφ7mmの穴を開けておきます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 AC/DCコンバーター(Boost Kit 180 (8Nm))は、ベースボードの内部に固定しておきます。

 大電流用の強化型だけあって、けっこうな重量があります。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 所定の位置にφ13mmの穴を開け、ペダルの接続ケーブル(RJ-45コネクタ)を通しておきます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ペダルを天板に設置し、M6のボルト(5ヶ所)で固定します。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 かなりがっちり固定できました。

 最も踏力が必要となるブレーキペダルを思いっ切り踏み込んでも、びくともしません。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ベースホードの背面には、固定キャスターを取り付けておきました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ベースホードの手前には、オーバル取手を取り付けました。

 このレーシングコックピット、全体としてはかなりの重量となることが予想されますが、固定キャスターとオーバル取手とを組み合わせることにより、簡単に移動させることができるようになりました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 と、ここへ来て、ふと閃いてしまいました。0xF9A0

 このまま木材の素地を活かしても良いのですが、もう少し工夫してみることにします。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 まずは、ベースホードの端面を、水性塗料の「ダークグレイ」で塗装します。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 AC/DCコンバーターの太いケーブルは、ナイロンサドルを使って、ベースホード内に固定しておきます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ベースホードの外周に、「パンチカーペット」を貼り付けてみました。

#見た目的には、車内とクリソツです。0xF9F8

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 綺麗に貼り付けるポイントとしては、いくつかあります。

 まず、サイズは、貼り付ける幅に対して1mm少なくなるよう、精確に切り出すことです。

 また、貼り付けは、変性シリコーン樹脂製のボンドを使いますが、速乾性のものではなく、塗布してから5~10分程度静置して貼り付けるタイプのものを使います。
(塗布する面積が広いことから、速乾性のものだと途中で接着力が失われてしまうため)

 エッジの部分(凸部)は、ヒートガン(またはヘアドライヤー)を使って温めながら曲げると、クセが付きやすくなります。

 画像の下端のように、凹部になっているところは、無理して曲げようとせず、分割して貼り付けます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 天板の、ペダルを固定するための穴は、少し手間が掛かりますが、パンチカーペットを貼り付けた後、改めて裏面からドリルで穴(φ7mm)を開け直します。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 ペダルの接続ケーブルも、穴(φ13mm)を開け直してから引き出しておきます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 で、ですね。ここが今回の一番の難関でした。

 ゲーミングチェアの脚を入れるために開けた穴の処理です。

 まず、ベースホードの表面の半分だけパンチカーペットを貼り付けて固定し、残りの半分(穴を開ける部分)は、カーペットを浮かせられるようにしておきます。

 つぎに、カーペットを穴のある位置まで戻してから、裏面からマスキングテープ作った型紙(φ70mmの円)を貼り付け、穴の中心を割り出します。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 割り出された中心から、サークルカッターを使って、半径が1mm大きい穴(φ72mm)を開けます。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 このような感じに切り出されました。

 自分で言うのもなんですが、恐ろしいほど綺麗に仕上がりました。

 どうやったら精確に加工できるかを考えながら作業するもの、愉しいものです。0xF9C6

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 裏面も同様に加工し、パンチカーペットを貼り付けます。

 穴の処理は、手加工とは思えないほどの精度に仕上がりました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 裏面にパンチカーペットを巻き込むことにより、期せずして、フローリングの傷防止の役割も果たすことになりました。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 凸部も凹部も、しっかりエッジが出ています。

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 固定キャスターを取り付け、

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 オーバル取手も取り付けて、

Fanatec Racing Cockpit DIY Building

 完成しました、レーシングコックピットのベース部分。

#う~ん、我ながら、なかなかにイイ感じに仕上がりました。0xF9CF

(つづく)

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