前回の続きです。
bimota TESI H2のカーボンパネルを切削する準備ができたところで、ブーストメーターの入るベゼル(リング)を作製します。
まずは、実物と合わせてみます。
#日曜朝の辰巳PAです。0xF9F8
前回、いきなり所定の大きさ(φ52mm)に切削しなかったのは、このためです。
ブーストメーターのお尻(寸胴の下部)が、灰色のカプラーと干渉しますが、このカプラーは、取り外しができ、少しずらして移設できることが分かりました。
青色の線は、TESI H2の前後方向の軸と平行な線です。この線は、カーボンパネルの左端の一辺と、平行であることが分かりました。
この左端の一辺を目安とし、ブーストメーターを、青色の線と直角に交わる、水色の線の方向に傾かせると良さそうです。
実物での様子が分かったところで、いつものとおり、Fusion 360で設計します。
内径は、Defiのブーストメーターが入るφ52mmとし、傾きは、5mm厚のアクリル板から切り出せるギリギリの角度の4.5°としました。
Snapmaker 2.0 A350で切り出したところです。
んが、しかし、
たしかに、傾いてはいるのですが、いまいち傾きが足りないような気がします。
#性格がナナメなもんで。0xF9CF
と、いうことで、
アクリル板の厚さを10mmとし、傾きは少し強めの7.5°としてみました。
10mm厚とかいう分厚いアクリル板は、持ち合わせがないため、5mm厚のものを重ねて溶着します。
ちなみに、このアクリル板は、「タイニー・ファランクス」の端材です。なので、色はグレーです。
まずは、内周(φ52mm)から切り出します。
つづいて、φ2mmのエンドミルで、斜めの面を荒削りします。
その後、φ1mmのエンドミルで、切削ピッチを細かくして仕上げます。
仕上がるまで2時間ぐらい掛かりますが、ただの平面だったものから、徐々に意図した形が浮かび上がってくるのは、眺めているだけでも楽しいものです。
削り出されたメーターベゼルです。
#イ~ィ感じに傾いています。0xF9CE
厚さ10mmをすべて使わず、最も高い端点で9mm、最も低い端点で1.6mmとなっています。
いったん、カーボンパネルに当ててみて、具合を見てみます。
位置的には、“御仁”が指定した位置より、もう少しセンター側に偏心した方が、収まりが良さそうです。
ベゼルの底面がパネルから浮いてしまわない、ギリギリの位置まで寄せることにしました。
ここで、ちょっと工夫を。
気休めですが、ベゼルの外周には、カーボン調シートを貼っておきます。
ちなみに、このカーボン調シートは、「クワトロ・サイドロゴ」などを作製した時の端材です。
3M Japanの1080シリーズで、「カーボン調ルーフラッピング」にも使用されている、屋外耐候性「約3年」のものです。
前回述べたとおり、円筒を斜めに切断しているため、片方の端点は、サインカーブになります。
Adobe Illustratorで作図し、Roland DGのSTiKA(SV-12)で切り出し、ベゼルの外周に貼り込みます。
ベゼルの表面(おもてめん)は、ブーストメーターを取り付けても少し見えることから、塗装しておきます。
サーフェイサーを吹いてから、「マットブラック」(TS-6)で仕上げました。
なお、エッジが立っている状態だとカーボン調シートが剥がれ易くなることから、サンドペーパー(神ヤス)を少し当て、角を落としてから塗装しました。
左側が、傾き4.5°のベゼル、右側が、傾き7.5°のベゼルです。
ナナメ度合いの違いは、一目瞭然です。
メーターベゼルができたところで、いよいよカーボンパネルを切削します。
7.5°に傾いていた表面(おもてめん)を、「面の回転」で水平に戻して、カーボンパネルの切削面を起こします。
普通の円のように見えますが、前回述べたとおり、円筒を斜めに切断しているため、びみょ~に楕円になっています。
こればっかりは、手設計ではできません。
#まさに、Fusion 360サマサマです。0xF9CB
一度にいきなり所定の大きさに切削せず、「仕上げ代(しろ)」を残して何度か切削し、中心位置の当たりを付けてから、本削りします。
Snapmaker 2.0 A350で、切削します。
前回同様、送り速度は、200mm/minとし、軸方向(Z軸方向)の切り込みピッチは、0.2mmとしました。
カーボンパネルの切削が完了しました。
寸分の狂いなく、非常に綺麗に切削されています。
繰り返しになりますが、普通の円のように見えますが、びみょ~に楕円になっています。
ホールソーでの手加工では、出せない加工精度です。
裏面も、このとおり。
エッジが立ち過ぎているので、サンドペーパーで角を落としておきます。
いよいよです。
出来上がったメーターベゼルを、カーボンパネルに溶着します。
冒頭に書いたとおり、基準線を元に、メーターの傾きを、ライダーの目線に合わせるよう調整しています。
カーボンパネルのテカリ具合とは少し異なりますが、言われてみなければ分からないぐらいの違いです。
ちなみに、メーターベゼルの外周に貼ったカーボン調シートは、途中で継いである(左回りと右回りとを合わせてある)のですが、どこで継いであるのか分かりますか?
これは、以前にホームシアターをDIYした際、壁のクロスを貼り直した時に編み出した技です。
#単にクロス屋さんに、コツを教えてもらっただけですが。0xF9C7
Defiのブーストメーターを、仮組みしたところです。
ブーストメーターのフェイス(文字盤)の色調と、カーボンパネルの色調とが、なかなかに上手く調和しています。
#イ~ィ感じになりました。0xF9CB
いや~、我ながら、よくできました。
「これ純正です」と言ってもいいぐらいのクオリティーに仕上がりました。
(つづく)
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