前回の続きです。いよいよ、最終段階に近付いてきました。
前回は、RAIDコントローラーを水冷化し、系に組み込みましたが、今回は、ディスクアレイを収めるボックスを作製し、巨大なRAIDストレージを構成することにします。
こちらは、今回使用する、3.5インチのハードディスクドライブです。
Western Digitalの「HUS728T8TALE6L4」(8TB、SATA 6Gbps、7,200rpm)です。
同社の「WD Gold」シリーズで、データセンターなど、エンタープライズ向けのストレージとなっています。
元を辿れば、HGST(Hitachi Global Storage Technologies)の「Ultrastar」シリーズで、さらに元を辿れば、IBMのストレージ部門であった時代から、脈々と受け継がれた技術が使われています。
今回は、このHDDを6本(48TB)使用し、RAID6を組んで32TBのストレージを構成することにします。
作製中の「デュアルCPU/デュアルGPU」マシンの上部です。
今回の自作水冷PCのコンセプトは、“ミドルタワーケースに、すべての機能を押し込む”、です。
ちょうど、その昔、ミドルサイズのボディーに、V10ツインターボエンジンを押し込んだ「Audi RS6 Avant」のように。
それにしても、6本のHDDを収納するには、かなりスペースが限られています。さらに、ケース内部の放熱についても、考慮しなければなりません。
と、いうことで、考慮すべき事項を念頭に置きつつ、パーツの作製に入ります。
いつものとおり、AutodeskのFusion 360で、モデリングします。
こちらは、別パーツ。
さらに、別パーツ。
いつものとおり、Snapmaker 2.0 A350で、アクリル板をミリングします。
削り出した3つのパーツを、ジクロロメタン(アクリル樹脂用の接着剤)を使って“溶着”します。
素材として一体となっているため、滅多なことでは外れ(割れ)ません。
作製したプレートを、PCケースの天板、PCファンの固定穴を使って、6本のボルトで共締めします。
勘の良い方はご推察だと思いますが、ディスクアレイを、天板からハングオン(ぶら下がり)させるようにします。
スペースの関係で、ディスクアレイの奥側(画像では下側)には手が入らず、ボルトで固定することができません。
そこで、受け側(天板側)のプレートにスリットを切って、ディスクアレイ側のプレートをスライドイン(填め込む)するようにします。
ディスクアレイの手前側(画像では上側)は、ボルトで固定するようにします。
本来であれば、天板側のプレートは、8本のボルトで固定したいところですが、ATX電源のケーブルが思っていた以上に硬く、逃げられなかったことから、画像のような、左右非対称の特殊な形状としています。
画像では分かりにくいですが、サイドパネルを填め込むツメを避けるように、プレートの一部に「切り欠き」を入れてあります。
HDDは、1本で約650gあり、これを6本組み込むと、およそ4kgもの重量となります。
これだけの荷重を、PCファンと共締めした6本のボルトで支えるのは、かなり心許ないことから、PCケースのフレームにも、荷重を逃がすことにしました。
プレートの端面(手前側)が、PCケースのフレーム部の「折り返し」に、面として接しており、プレート全体を使って荷重を分散させるようにしています。
つづいて、ボックス本体をモデリングします。
こちらは、上面のプレート。
HDDの固定に皿ボルト(インチねじ)を使うため、皿ザグリを入れてあります。
φ2.0mmのフラットエンドミルで荒削りし、φ1.0mmのボールエンドミルで仕上げています。
側面のプレート。
側面のプレートには、ケーブリングを容易にするため、透明のアクリル板(ミスティスモーク)を使ってみました。
画像では見えにくいですが、強度を損なわない範囲で、プレートを組み合わせる部分にスリットを入れてあります。
このスリットに、プレート同士を噛み合わせることにより、全体の成型精度を上げます。
中面のプレート。
PCファンを固定するためのプレート。
NECの「N8103-178」(LSIの「MegaRAID SAS 9362-8i」)には、「フラッシュバックアップユニット」が付いています。
こちらは、そのバッテリーパックです。サーバーのシャーシに固定できるよう、固定金具が付いています。
分解してみたところです。
せっかくなので、この固定金具を流用して、ボックス本体に取り付けることにします。
下面のプレートをモデリングします。
バッテリーパックの固定金具を支持するためのパーツをモデリングします。
切り出された、底面のプレートです。
別に切削したパーツを使って、固定金具のツメの部分を引っ掛けるようにして、ボルトで固定します。
切削したパーツを、ジクロロメタンで溶着します。
固定金具は、タミヤスプレーに近似色(ライトグリーン)があったため、塗装しておきました。
このような感じで、しっかり固定できるようになりました。
削り出したパーツを組み合わせ、ジクロロメタンで溶着します。
(つづく)
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