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デュアルCPUマシンを作る(12) - RAIDアレイの作製

2022/03/26

 前回の続きです。いよいよ、最終段階に近付いてきました。

 前回は、RAIDコントローラーを水冷化し、系に組み込みましたが、今回は、ディスクアレイを収めるボックスを作製し、巨大なRAIDストレージを構成することにします。

Making of RAID Disk Array HUS728T8TALE6L4

 こちらは、今回使用する、3.5インチのハードディスクドライブです。

 Western Digitalの「HUS728T8TALE6L4」(8TB、SATA 6Gbps、7,200rpm)です。

 同社の「WD Gold」シリーズで、データセンターなど、エンタープライズ向けのストレージとなっています。

 元を辿れば、HGST(Hitachi Global Storage Technologies)の「Ultrastar」シリーズで、さらに元を辿れば、IBMのストレージ部門であった時代から、脈々と受け継がれた技術が使われています。

 今回は、このHDDを6本(48TB)使用し、RAID6を組んで32TBのストレージを構成することにします。

Making of RAID Disk Array for Water Cooling PC

 作製中の「デュアルCPU/デュアルGPU」マシンの上部です。

 今回の自作水冷PCのコンセプトは、“ミドルタワーケースに、すべての機能を押し込む”、です。

 ちょうど、その昔、ミドルサイズのボディーに、V10ツインターボエンジンを押し込んだ「Audi RS6 Avant」のように。

 それにしても、6本のHDDを収納するには、かなりスペースが限られています。さらに、ケース内部の放熱についても、考慮しなければなりません。

 と、いうことで、考慮すべき事項を念頭に置きつつ、パーツの作製に入ります。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 いつものとおり、AutodeskのFusion 360で、モデリングします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 こちらは、別パーツ。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 さらに、別パーツ。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 いつものとおり、Snapmaker 2.0 A350で、アクリル板をミリングします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 削り出した3つのパーツを、ジクロロメタン(アクリル樹脂用の接着剤)を使って“溶着”します。

 素材として一体となっているため、滅多なことでは外れ(割れ)ません。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 作製したプレートを、PCケースの天板、PCファンの固定穴を使って、6本のボルトで共締めします。

 勘の良い方はご推察だと思いますが、ディスクアレイを、天板からハングオン(ぶら下がり)させるようにします。

 スペースの関係で、ディスクアレイの奥側(画像では下側)には手が入らず、ボルトで固定することができません。

 そこで、受け側(天板側)のプレートにスリットを切って、ディスクアレイ側のプレートをスライドイン(填め込む)するようにします。

 ディスクアレイの手前側(画像では上側)は、ボルトで固定するようにします。

 本来であれば、天板側のプレートは、8本のボルトで固定したいところですが、ATX電源のケーブルが思っていた以上に硬く、逃げられなかったことから、画像のような、左右非対称の特殊な形状としています。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 画像では分かりにくいですが、サイドパネルを填め込むツメを避けるように、プレートの一部に「切り欠き」を入れてあります。

 HDDは、1本で約650gあり、これを6本組み込むと、およそ4kgもの重量となります。

 これだけの荷重を、PCファンと共締めした6本のボルトで支えるのは、かなり心許ないことから、PCケースのフレームにも、荷重を逃がすことにしました。

 プレートの端面(手前側)が、PCケースのフレーム部の「折り返し」に、面として接しており、プレート全体を使って荷重を分散させるようにしています。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 つづいて、ボックス本体をモデリングします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 こちらは、上面のプレート。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 HDDの固定に皿ボルト(インチねじ)を使うため、皿ザグリを入れてあります。

 φ2.0mmのフラットエンドミルで荒削りし、φ1.0mmのボールエンドミルで仕上げています。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 側面のプレート。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 側面のプレートには、ケーブリングを容易にするため、透明のアクリル板(ミスティスモーク)を使ってみました。

 画像では見えにくいですが、強度を損なわない範囲で、プレートを組み合わせる部分にスリットを入れてあります。

 このスリットに、プレート同士を噛み合わせることにより、全体の成型精度を上げます。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 中面のプレート。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 PCファンを固定するためのプレート。

MegaRAID SAS 9362-8i Flash Battery Backup Unit

 NECの「N8103-178」(LSIの「MegaRAID SAS 9362-8i」)には、「フラッシュバックアップユニット」が付いています。

 こちらは、そのバッテリーパックです。サーバーのシャーシに固定できるよう、固定金具が付いています。

MegaRAID SAS 9362-8i Flash Battery Backup Unit

 分解してみたところです。

 せっかくなので、この固定金具を流用して、ボックス本体に取り付けることにします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 下面のプレートをモデリングします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 バッテリーパックの固定金具を支持するためのパーツをモデリングします。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 切り出された、底面のプレートです。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 別に切削したパーツを使って、固定金具のツメの部分を引っ掛けるようにして、ボルトで固定します。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 切削したパーツを、ジクロロメタンで溶着します。

 固定金具は、タミヤスプレーに近似色(ライトグリーン)があったため、塗装しておきました。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 このような感じで、しっかり固定できるようになりました。

Disk Stacking Plate for Water Cooling PC

 削り出したパーツを組み合わせ、ジクロロメタンで溶着します。

(つづく)

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