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デュアルCPUマシンを作る(9) - RTX2080Tiの水冷化

2022/01/30

 前回の続きです。

 いよいよ、グラフィックボード(ビデオカード)を水冷化します。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 こちらが、水冷化するグラフィックボード、Asusの「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」です。

 購入からほとんど稼働させていないのに、いきなり分解です。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 インストレーションマニュアル通りに分解すれば、特段難しいところはありません。

 改良に改良が進んだヒートシンクは、トリプルファンと相まって、かなりの重量でした。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 丸裸になったグラフィックボードです。

 GPUに塗布されていたサーマルコンパウンドや、メモリに貼付されていたサーマルバッドから染み出したオイルなどを、丁寧にクリーニングしておきます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 せっかくなので、ちょうど11年前に購入し、これまたちょうど10年前に水冷化した、Asusの「ENGTX580/2DI/1536MD5」と比較してみます。

 「GTX580」は「Fermi」アーキテクチャで、いまとなっては何世代前か分かりませんが、シェーダープロセッサ数(CUDAコア数)は512基。

 対する「RTX2080Ti」は、「Turing」アーキテクチャで、シェーダープロセッサ数は4,352基。単純計算では、8.5倍のパフォーマンスを持つに至っています。

#先頃のCES 2022で発表された最新の「RTX3090Ti」では、CUDAコア数は10,752基となり、実に21倍。

 技術革新の速さに驚きながら、作業を先に進めます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 グラフィックボード用の水冷ブロック、EK Water Blocksの「EK-Quantum Vector Strix RTX 2080 Ti D-RGB - Nickel + Plexi」です。

 インストレーションマニュアルでは、サーマルパッドをメモリなどの大きさに合わせてカットするように書かれていますが、職人は例によって天邪鬼なので、水冷ブロック側に貼り付けています。

 これは、サーマルパッドをメモリなどに貼り付けてから水冷ブロックを被せると、水冷ブロックを固定するために位置を調整した際、サーマルパッドが微妙にズレる可能性があるためです。

 さらには、サーマルパッドを貼り付けた水冷ブロックを裏返し、これにグラフィックボードを裏返して重ね合わせれば、ネジ穴の具合から、精確に位置決めができるためです。

 キットには、EK Water Blocks純正のサーマルパッドが付属しますが、マザーボードの時と同様、より熱伝導率の高い、Thermal Grizzly社製の「minus pad 8」を使います。

 3種類の厚み(0.5mm、1.0mm、1.5mm)のものを、対象物との隙間に合わせて使い分けます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 水冷ブロックの方が重量があるため、裏返した水冷ブロックに、裏返したグラフィックボードを重ね、付属のボルトで締め込み、圧着させます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 バックプレート、EK Water Blocksの「EK-Quantum Vector Strix RTX 2080 Ti Backplate - Black」も、同様です。

 バックプレート側に、サーマルパッドを貼り付け、圧着させます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 ひとまず、1枚目、完成。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 同様に、2枚目も。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 Asusの「WS C621E Sage」に、2枚のグラフィックボードを組み込みます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 グラフィックボードを2スロット幅で連接するため、EK Water Blocksの「EK-Scalar Dual 2-slot - Acetal」を取り付けます。

 画像は、連接ブロックを裏返した状態のものです。給水側・排水側それぞれのスロットに、長細い「Oリング」が填まります。

 水冷ブロックの標準の状態(シングルプレーン)において、給排水のブロックを取り外した際には、このOリングに、少量のグリスが塗られていました。

 水冷ブロック本体に給排水のブロックを取り付ける際には、このOリングが適度に滑って、適切な位置に填まることが非常に重要であると考えられます。

 よって、Oリングにグリスを塗布したいところですが、クーラントに影響を与えないようなグリスが、あいにく手元にありません。

 そこで、フィッティングを取り付ける際にシール剤として使用した「Loctite 572」に、適度な潤滑性があったことから、これをグリス代わりとして使うことにしました。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 連接ブロックを取り付けたところです。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 水冷ブロック付属の、トップカバーを取り付けたところです。

 アドレサブルLEDが組み込まれていて、「GeForce RTX」のロゴが、浮かび上がるようになっています。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 さらに、2枚のGeForce RTX2080Tiを同期させるため、「NVLink HB Bridge」を取り付けます。

 以前に紹介したとおり、RTX2080Ti用の2スロット版は提供されていないため、Quadro RTX6000用のものを流用しています。

 リンク速度100GB/sで、高速動作します。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 フィッテングを追加して、水冷ループを構成し直します。

 この状態で精製水を注入し、24時間程度稼働させ、漏水などが起きないことを確認します。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 漏水がないことが確認できたところで、クーラントを注入します。

 EK Water Blocksの「EK-CryoFuel Acid Green (Concentrate 100mL)」を、指定量の精製水(900ml)で希釈し、クーラントとします。

 最初の1回目は、ラジエーター内に少量の精製水が残っていることを想定し、少し濃いめに作りました。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 クーラントを注入し、稼働させてみます。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 DCポンプから送出されたクーラントは、1段目のラジエーター(天板にて放熱)を通った後、2つのCPUを冷却し、グラフィックボードへ。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING Water Cooling

 CPUを出たクーラントは、2枚のグラフィックボードを冷却し、2段目のラジエーター(前面にて放熱)へ戻ります。

(つづく)

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