前回の続きです。
Asus「WS C621E Sage」の起動が確認できたところで、性懲りもなく、主要な発熱源を水冷化することにします。
CPUがデュアルということで、ウォーターブロックもデュアルに。
EK Water Blocksの「EK-Annihilator Pro - Square ILM」(167.99ドル×2個)です。
LGA3647用ということで、予想以上に大きいです。
まさに「金属削り出し」という感じで、ずっしりと重いです。
前モデルに「EK-Annihilator EX/EP Square」というものがありましたが(すでにディスコン)、新モデルでは、クーラントのインレット/アウトレットのポート数が増え、パイピングの自由度が増しています。
GPUもデュアルということで、ウォーターブロックもデュアルに。
EK Water Blocksの「EK-Quantum Vector Strix RTX 2080 Ti D-RGB - Nickel + Plexi」(173.99ドル×2個)と「EK-Quantum Vector Strix RTX 2080 Ti Backplate - Black」(46.99ドル×2個)です。
前者が、ウォーターブロック本体で、後者が、そのバックプレートになります。
ウォーターブロック本体には、今回購入した「クリアタイプ」と「ブラックタイプ」(167.99ドル)があります。また、バックプレートには、「ニッケルタイプ」(56.99ドル)と、今回購入した「ブラックタイプ」があります。
こちらは、ある意味、今回最も重要なパーツです。
nVIDIAの「RTX NVLink HB Bridge 2-Slot」(79.99ドル)です。
(画像は、Asusより拝借)
Asusの「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」は、スロット幅が2.7あり、実効的に、2枚のビデオカードは、3スロット以上の幅を開けて実装することになります。
これに対応するため、Asusの「ROG-NVLINK」も、3スロット版と4スロット版の2種類がランナップされています。(画像は、3スロット版)
一方、「WS C621E Sage」は、PCI Express(Gen3.0)スロットが7本用意され、最大4-WayまでのnVIDIA SLIに対応していますが、ビデオカードは、2スロットおきに実装するよう指定されています。(3, 5, 1, 7スロットの順)
「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」を水冷化すれば、スロット幅が2以下となり、「WS C621E Sage」の実装上の条件を、一応、満たすことになります。
しかし、前述のとおり、Asusの「ROG-NVLINK」には、2スロット版がラインナップされていません。(ELSAほかのサプライヤからも、ラインナップされていません)
どうしたものかと考えあぐねていたところ、海外のサイトで、Quadro RTX 6000用の「NVLink HB Bridge」で、GeForce RTX 2080 Tiが並列動作できたとの記事を発見しました。
(画像は、ELSAから拝借)
かなりの賭けだったのですが、「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」を2本も買ってしまい、このままでは単なる金属の塊となってしまうため、急ぎ、個人輸入することにしました。
ちなみに、Quadro RTX用の「NVLink HB Bridge」には、リンク速度(帯域幅)50GB/sのQuadro RTX 5000用のものと、リンク速度100GB/sのQuadro RTX 6000用のものと、同100GB/sのQuadro RTX 8000用のものがあります。
間違って不適合のものを購入してしまわないよう、注意が必要です。
こちらは、Quadro RTX 6000用の「NVLink HB Bridge」で、2スロット版(P3394)になります。
#ディスコン前に手に入れられて、よかったぁ。0xF9C7
こちらは、上記に連動したパーツです。
EK Water Blocksの「EK-Scalar Dual 2-slot - Acetal」(32.99ドル)です。
ビデオカード用のウォーターブロックを、2スロット幅で連接する際に必要となるものです。
こちらにも、「クリアタイプ」(34.99ドル)と、今回購入した「ブラックタイプ」があります。
なお、連接用のアダプタには、「EK-FC Terminal」シリーズと、今回購入した「EK-Scalar Dual」シリーズがあります。
前述のビデオカード用のウォーターブロック、「EK-Quantum Vector」シリーズは、クーラントのインレット/アウトレットの形状が見直されており、連接用のアダプタとしては、後者の「EK-Scalar Dual」シリーズが適合します。
間違って不適合のものを購入してしまわないよう、注意が必要です。
CPUがデュアルということで、ラジエーターもデュアルに。
EK Water Blocksの「EK-CoolStream SE 240 (Slim Dual)」(69.99ドル)と「EK-CoolStream PE 240 (Dual)」(77.99ドル)です。
その名のとおり、120mm角のPCファンを、2つ並列にセットできます。
「SE 240 (Slim Dual)」(下段)は、ラジエーターの厚さが28mm、「PE 240 (Dual)」(上段)は、40mmとなっています。
当然、厚みがある分、後者の方が放熱性能が優れています。前者は天板用に、後者は前面用にと、使い分けます。
また、細かいですが、「EK-CoolStream」シリーズには、「Classic」というサブシリーズがあり、購入したものとは、クーラントのインレット/アウトレット部の形状が異なります。
同じ240サイズのラジエーターでは、「EK-CoolStream Classic SE 240」(58.99ドル)と「EK-CoolStream Classic PE 240」(75.99ドル)がありますが、FPI値が、SEモデルでは「旧:16、新:18」、PEモデルでは「旧:13、新:20」となっています。
FPI値とは、「Fin Per Inch」のことで、単位長さ当たりのフィン(ひだ)の数を示します。このFPI値が、ほぼほぼ放熱性能に比例すると考え、最新のモデルを購入しておきました。
こちらは、クーラントのリザーバーとDCポンプです。
EK Water Blocksの「EK-DBAY D5 MX - Acetal」(生産終了)と「EK-Loop D5 G3 PWM Motor」(94.99ドル)です。
PCケースの前面、5.25インチのドライブベイに、組み込むことができるようになっています。
実は、こちらには、リザーバーとDCポンプがセットとなった「EK-DBAY D5 PWM MX - Acetal (incl. pump)」もあったのですが、発売が6年も前(2015年11月)ということもあり、すでにディスコンになっています。
どこかに在庫が残っていないかと、あちこち探し回った結果、やっとドイツのAmazonに、最後の1つが残っていることが分かり、速攻でポチりました。
#危なかった~!0xF9C7
最後の1つは、ポンプ無しのモデルであったことから、別途、PWM制御のポンプを購入することになりました。
セットで買うより、バラで買った方が高くなってしまいましたが、逆に良いこともありました。
ポンプ有りのモデルに付いていたものは、第二世代のポンプ(EK-D5 PWM G2 Motor)で、現在購入できるものは、第三世代のポンプ(EK-Loop D5 G3 PWM Motor)となっています。
両者とも、XylemのDCポンプのOEMで、機械的性能には変わりがありませんが(最大揚程:3.5m、最大流量:1,500L/h)、配線ケーブルが、カラフルなものから「ブラック」に統一され、電源ケーブルが「SATAコネクタ」に変更されています。
#公式HPでは、“エレガントになった”と紹介されています。0xF9C7
なお、こちらにも、「クリアタイプ」と、今回購入した「ブラックタイプ」があります。
(画像は、EK Water Blocksから拝借)
ちなみに、現在購入できる5.25インチドライブベイ用のリザーバーは、第三世代のモデル(EK-DBAY Spin Reservoir (R3.0))となっています。
こちらは、フローインジケーターとして、小さなインペラーがクルクル回るようになっています。その意味では、だいぶ改良されています。
とても便利そうなのですが、残念なことに、こちらは、リザーバーにDCポンプを内蔵することができません。
もともと、本格水冷では、水冷ループの途中、PCケースの内部に、円筒形のリザーバーとDCポンプを配置する方法が、一般的になっています。
しかし、今回は、ミドルタワーのPCケースに、SSI-EEBのマザーボードを無理矢理押し込んでいるため、配置できるスペースに限りがあります。
いろいろ考えた末、クーラントの水量や水流の視認性の観点から、前回と同じ方法を踏襲することにしました。
「RAIDカードの水冷化(2)」(2014年8月30日)
堂々、完成です。0xF9F8
最終的には、このような感じになることを想定しています。0xF9F8
配管用のソフトチュープです。
EK Water Blocksの「EK-DuraClear 11,1/15,9mm 3M RETAIL」(16.99ドル)と「EK-DuraClear 9,5/15,9mm 3M RETAIL」(17.99ドル)です。
今回は、ハードチュープにしようと思ったのですが、配管の自由度の観点から、やはりソフトチューブに勝るものはないと考え、前回を踏襲しました。
前者が、外径16mm/内径12mmのフィッティング、後者が、外径16mm/内径10mmのフィッティングに適合します。
CPUがデュアルのため、水冷ループの経路上、CPU用のウォーターブロックで、二分岐するところがあります。
流速を落とさないよう、外径は同じにしつつ内径を絞ることにより、水圧の変化を大きくしないよう配意しています。
ソフトチューブ用のフィッティング類です。
必要数を見積もり、一部まとめて買った方がお得な場合は、セットで購入しています。
上段左は、水温センサーです。
ラジエーターから出た、最も冷やされた状態の位置と、2基のGPUのウォーターブロックから出た、最も温められた状態の位置に組み込みます。
ここまでは、すべてEK Water Blocksのパーツを選んできましたが、同社の水温センサーは、プラグから熱電対が飛び出た形状(EK-Loop Connect - Temperature Plug Sensor)をしています。
気持ちの問題ですが、なんとなく、水流を妨げる(乱流を起こさせる)気がするため、ドイツのAquacomputerの水温センサーにしました。
同社の「Temperature sensor internal/external thread G1/4」(16.49ドル)は、短いエクステンダーの形状をしていて、この円筒の中に、熱電対が仕込まれています。
さらに、水冷ループの途中に割り込ませるにあたり、「メス/メス」、「メス/オス」の2つのタイプがありますが、接続の容易性の観点から、後者を選定しました。
上段右は、ロータリーエクステンダーです。
前述の水冷センサーは、熱電対からの配線が2本出ていますが、短いエクステンダーのネジの切り始めの位置により、ネジを締め込んだ際に、この2本の配線が、あらぬ方向に飛び出てしまうことがあります。(前回の本格水冷化にて、経験済み)
そこで、EK Water Blocksの「EK-Quantum Torque Extender Rotary MF 14 - Black」(8.49ドル)を途中に入れ、狭いPCケース内でも、2本の配線を適切な方向に引き出せるよう、円筒の軸を回して調整することができます。
下段は、リザーバー内を照らすLEDを設置するための、メクラ栓(プラグ)です。
EK Water Blocksの「EK-PLUG G1/4 Plexi (LED 5mm)」(2.99ドル)で、その名のとおり、φ5mmのLEDをプラグ内に固定することができます。
最後は、クーラント類です。
EK Water Blocksの「EK-CryoFuel Acid Green (Concentrate 100mL)」(10.99ドル)です。
その名のとおり、濃縮100mLで、900mLの精製水で希釈して使います。
同じグリーンのクーラントには、希釈せずにそのまま使える1,000mLのもの(17.99ドル)もありますが、航空便の場合は、嵩が増えると輸送賃も上がるため、濃縮されたコンパクトなものを選択しました。
と、いうことで、これにて、水冷化のためのパーツが揃いました。
(つづく)
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