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デュアルCPUマシンを作る(3) - マザーボードの組込

2021/11/13

 前回の続きです。

 マザーボードを確実に固定するバックプレートができたところで、いよいよマザーボードをPCケースに組み込むことにします。

Intel Xeon Gold 5220R BOX for Dual CPU Machine

 Intelの「Xeon Gold 5220R BOX」です。(希望小売価格:$1555.00~/個)

 開発コード「Cascade Lake」、ソケット形状「LGA3647」、TDP「150W」で、24コア(48スレッド)が、2.2GHzで動作します。

Corsair CMK128GX4M8Z2933C16 for Dual CPU Machine

 CPUがデュアルということで、メモリもデュアルに。(というか、全16枚のうち、使うのは12枚ですが)

 Corsairの「VENGEANCE LPX」(CMK128GX4M8Z2933C16)です。

 2,933MHz動作(C16)のDDR4メモリで、1枚16GBのメモリが、8枚セットになっています。

#ギンギラギンの、チンドン屋みたいな自作PCにはしたくないので、あえて「光らない」メモリを選んでいます。0xF9D1

 このメモリを、1つのCPUに6枚セットし、2つのCPUで12枚、合計192GBの物理メモリになります。

Asus ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING for Dual CPU Machine

 CPUがデュアルということで、GPUもデュアルに。

 Asusの「ROG-STRIX-RTX2080TI-O11G-GAMING」です。

 その名のとおり、nVIDIAの「GeForce RTX 2080 Ti」を搭載、ビデオメモリ11GBで、4,352基のCUDAコアが、1,665MHz(ブースト時)で動作します。

Corsair Force Series MP510 CSSD-F1920GBMP510 for Dual CPU Machine

 M.2 SSD。

 Corsairの「Force Series MP510」(CSSD-F1920GBMP510)です。

 性懲りもなく、主記憶と同じCorsairのメモリにしました。「Type2280」のSSDで、その名のとおり、記憶容量は、1,920GBあります。

 すでに、より高速で安価な、PCI-Express Gen4対応の「3D QLC NAND」のSSDが出ていますが、Asusの「WS C621E Sage」はGen3までしか対応していないため、価格が落ち着いてきた、一世代前の「3D TLC NAND」のSSDを選びました。

#無駄に最新規格を選ぶのは、その昔、普通のBetamaxのビデオデッキなのに、Hi-Band Beta用のテープを買って喜んでいるようなものなので。
(「普通のVHSのビデオデッキなのに、S-VHS用のテープを買って喜んでいるようなものなので」の方が、分かりやすいかも)0xF9C7

 上段の白い箱は、EK Water BlocksのSSD用ヒートシンク、「EK-M.2 NVMe Heatsink - Black」です。(12.99ドル)

 ご推察のとおり、いずれ、こちらの自作PCも、水冷化します。

 ということで、主要な材料があらかた揃ったところで、マザーボードを組み付けます。

 まずは、CPUを1つだけ組み込んで、システムが正常に起動することを確認します。

Intel Xeon Gold 5220R BOX for Dual CPU Machine

 「LGA3647」というだけあって、接点が3,647個あります。壮観です。

Intel Xeon Gold 5220R BOX for Dual CPU Machine

 静電気防止用の手袋(SB-03A)をして、慎重に、CPUをマザーボードに組み込みます。

 と思ったのですが、手順が違いました。

Noctua NH-U12S DX-3647 for Dual CPU Machine

 Noctuaの「NH-U12S DX-3647」です。

 その名のとおり、「LGA3647」用のCPUクーラーで、同社の静音PCファン「NF-A12x25 PWM」が2つ組み込まれています。

 将来的には水冷化しますが、まずは空冷で動作を確認した後、水枕などを組み込むことにします。

#空冷から水冷化への流れは、Porsche 911と同じです。0xF9C6

Noctua NH-U12S DX-3647 for Dual CPU Machine

 CPU1側に、ヒートシンクを組み込んだところです。

 「LGA3647」の場合は、マザーボードにCPUをセットして、ヒートシンクを被せるのではなく、専用のアダプターを使って、先にヒートシンクにCPUをセットしてから、マザーボードに被せるようです。

#知らんかった。0xF9C7

Corsair CMK128GX4M8Z2933C16 for Dual CPU Machine

 ヒートシンクにPCファンを取り付けてしまうと、メモリが挿入できなくなってしまうため、先にメモリを取り付けます。

Corsair CMK128GX4M8Z2933C16 for Dual CPU Machine

 「VENGEANCE LPX」6本を、メモリスロットに挿入します。

Noctua NH-U12S DX-3647 for Dual CPU Machine

 ヒートシンクに「NF-A12x25 PWM」を取り付けます。

 吸気方向・排気方向を、間違えないようにします。

Corsair Force Series MP510 CSSD-F1920GBMP510 for Dual CPU Machine

 「CSSD-F1920GBMP510」です。

Corsair Force Series MP510 CSSD-F1920GBMP510 for Dual CPU Machine

 M.2 Socket3スロットに、M.2 SSDを取り付けます。

 この段階では、PCI Express(Gen3.0)スロットに取り付けるGPUカードとのクリアランスが確認できていないため、SSD用のヒートシンクは、取り付けません。

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 デスク上で、メモリの挿入状態が適正かどうかなど、最終確認をします。

Dual CPU Machine Asus WS C621E Sage

 バックプレート付きのPCケース(CoolerMaster「CM 690 III」)に、Asus「WS C621E Sage」を組み込みます。

 10ヶ所のボルトで、PCケースにガッチリ固定できました。

 固定には、M3の「ワッシャーヘッドミリネジ」(PB-027A-BK)と「グラスワッシャー」(PB-020)を使いました。

Corsair Force Series MP510 CSSD-F1920GBMP510 and EKWB EK-M.2 NVMe Heatsink

 マザーボードにGPUカードを取り付け、M.2 SSDとのクリアランスを確認した上で、M.2 SSDへのヒートシンクの取り付けに掛かります。

 M.2 SSDには、シールが貼られていて、このシールを剥がすとワランティーが効かなくなってしまいますが、そんなセコいことは気にしません。

 放熱性(熱伝導性)、最優先です。

#貼ったままでも放熱性には「ほぼ差が無い」という検証結果もありますが、まぁ、ここは気持ちの問題ということで。0xF9C7

Corsair Force Series MP510 CSSD-F1920GBMP510 and EKWB EK-M.2 NVMe Heatsink

 「EK-M.2 NVMe Heatsink - Black」には、M.2 SSDとヒートシンクとの間に挟み込むサーマルバッドが付属していますが、いまいち特性が不明のため、より熱伝導率が高いモノを使います。

 新和産業が扱っている、ドイツ、Thermal Grizzly社製の「minus pad 8」を使います。その名のとおり、「8.0W/m・K」の熱伝導率を持っています。

 

 上面用に1.0mm厚、下面用に0.5mm厚のモノを用意しました。

EKWB EK-M.2 NVMe Heatsink

 「EK-M.2 NVMe Heatsink - Black」に付属のクリップが、金属の素地剥き出しで、すぐに錆びそうだったため、下地処理してから、TAMIYAの「セミグロスブラック」で塗装しておきました。

#何でもプラモ感覚という・・・。0xF9C7

HD Audio Cable on Motherboard

 あとは、多数あるケーブルについて、配線上の工夫をします。

 CoolerMasterの「CM 690 III」ですが、フロントパネルから伸びるオーディオ用のケーブルの先に、Intelの「High Definition Audio」用のコネクタに加え、わざわざ旧規格の「Audio Codec 97」用のコネクタが付いています。

 AC97用のコネクタは、今後も使うことはないですし、マザーボード近傍で遊ばせておくのも危険なため、この際、取り払ってしまいます。

HD Audio Cable on Motherboard

 で、ですね、

 HD Audio用のコネクタから分岐されている配線を、単純にカットすればよい、という訳ではなさそうです。

 これはどこにも書かれていないようなのですが、気付いたことがあります。

 HD Audio用のコネクタの2番ピン(GND)は、AC97用のコネクタの2番ピン(GND)に接続されていますが、ここから分岐されて、HD Audio用のコネクタの4番ピンに戻ってきています。

 HD Audio用のコネクタの4番ピンは、信号名でいうと「Presence#」で、マザーボード側で10kΩの抵抗でプルアップされています。

#ちなみに、末尾に「#」が付いているのは、「負論理」という意味。

 なにを“センス”しているかというと、「インテル HD オーディオ・ドングルが接続されているかどうかを確認する信号です」だそうです。(Intel技術資料より)

HD Audio Cable on Motherboard

 よって、単純にカットするだけではなく、4番ピンに戻る配線を、元々あった配線を使って作り直しました。

 コネクタに適合するコンタクトピンを調達し、精密圧着ペンチを使って、かしめてあります。

 この「戻り配線」をしないと、「Presence#」信号がプルアップされたままとなり、HD Audioがディテクト(検出)されず、正常動作しないものと考えられます。

#わざわざ検証してませんけど。

HD Audio Cable on Motherboard

 このような感じで、余計なコネクタを排して、シンプルに接続できました。

Front Panel Cable on Motherboard

 さらにですね、

 この配線たちも、意外と面倒くさいのです。

 フロントパネルにある、電源/リセットスイッチと、電源/ディスクアクティブLEDです。

Front Panel Cable on Motherboard

 こちらも、ピンアサインを確認し、

Front Panel Cable on Motherboard

 秋月電子で、20P(2×10)のコネクタを調達し、コンタクトピンを所定の位置に挿入します。

 また、コネクタの向きを間違えないよう、他のコネクタに準じ、TEPRA Proでラベルを作り、貼っておきました。

Front Panel Cable on Motherboard

 このような感じで、シンプルに接続できました。

 今後は、フロントパネルにあるケーブルの挿抜が、ピンの位置や向きに悩むことなく、簡単にできるようになりました。

 さて、いよいよ立ち上げです。

Xeon Gold 5220R BOX Dual CPU Machine

 ケーブル類の接続の最終確認をし、ドキドキしながら“火入れ”をしてみました。

 かなりの“変態マザーボード”のため、立ち上げは一筋縄ではいかないと覚悟していたのですが・・・、

 あっさりBIOSが立ち上がり、すんなりWindows 10 Proまでインストールできてしまいました。

#拍子抜けです。0xF9CF

 と、いうことで、まだ「片バンク」しか動かしていませんが、これにて、24コア/48スレッドマシン(最終的には、48コア/96スレッドマシン)が、起動することが分かりました。

(つづく)

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