IntelのLGA-3647ソケットが2基搭載され、Xeonプロセッサをデュアルで動作させることができます。
さらに、Asusのマザーボードだけあって、ワークステーション用でありながら、オーバークロックにも対応しています。
PCI Express(Gen3.0)スロットは、7本用意され、最大4-WayまでのnVIDIA SLIに対応しています。
#さすが、サーバー向けスペック。0xF9CF
ビデオカード用の4本のPCIeスロット(すべてx16動作)は、電源供給が強化され、ノイズ対策も施されているようです。
(画像中の、シールドが施されているグレーのスロット)
で、ですね、
ワークステーション用ということで、フォームファクタ(マザーボードの規格)も特殊です。
一般的には、「ATX」や「E-ATX」などですが、「WS C621E Sage」は、「SSI-EEB」という規格で、12inch x 13inch(304.8mm x 330.2mm)もあります。
当然、ミドルタワーの「CM 690 III」には、一筋縄では取り付けられません。
最初の関門として、マザーボードの取り付け穴の位置が、もともと用意されている位置とは、大きく異なるところがあります。
(画像中の、赤色の○の位置)
取り付けイメージを合成したところ。
取り付け穴の位置どころか、底面の大きさがまったく異なるため、このままではマザーボードを適正に支えることができません。
マザーボード単体でもかなりの重量ですが、CPU用の水冷ブロック(2基)やフル実装したメモリ(12枚)、GPU用の水冷ブロック(2基)などを装着するとなると、相当な重量になると想定されます。
マザーボードに無理な応力が加わることで、予期せぬ障害が発生することの無いよう、マザーボードを確実に固定する方法を工夫することにします。
(画像は、SNIA Internationalより拝借)
と、いうことで、
SSI(Server System Infrastructure)のEEB(Enterprise Electronics Bay)の仕様に基づいて、ATX(E-ATX)用のPCケースに、SSI-EEBを取り付けるための「バックプレート」を設計し、作製します。
いつものとおり、Fusion 360を使って、モデリングします。
2mm厚のアクリル板を、Snapmaker 2.0 A350でミリングします。
こちらは、マザーボードの固定位置の確認、PCケースへの固定位置の確認のための、プロトタイプとなります。
アクリル製のバックプレートをPCケースに固定した上で、マザーボード(WS C621E Sage)を設置し、取り付け穴(10ヶ所)の位置が一致するかどうか、確認します。
#怖いくらい、バッチリでした。0xF9F8
プロトタイプに基づいて、金属加工屋さんに、レーザー加工してもらいました。
素材は、1.5mm厚のステンレス(SUS304)板です。
#Snapmaker 2.0にも「レーザーモジュール」がありますが、こんな分厚いステンレス板は切れないので。
事情があって、1mm厚のものではなく、1.5mm厚のものを使いましたが(後述)、バックプレートだけでも、ずっしりと重いです。かなりの剛性感。
PCケースに仮組みし、アタリを見ます。
#当然ながら、カンペキです。0xF9CE
バックプレートは、PCケースに、ボルトとスペーサーを組み合わせて(後述)、合計11ヶ所のポイントでガッチリ固定されます。
11ヶ所のうち3ヶ所は、前回に5.25inchのドライブベイを固定していたリベットを、ドリルで揉んで外した穴を利用します。
マザーボードは、バックプレートに、7ヶ所のM3ボルトで固定されます。(全体では、10ヶ所)
10ヶ所のうち、5ヶ所が新設となるため、タップでネジ山を切っておきます。(ピッチは0.5mm、下穴はφ2.5mm)
マザーボードを固定するボルト・スペーサーを、別途調達します。
マザーボードを固定する元々のスペーサーは、スペーサー長6.5mmで、雌ネジ側がミリねじ(M3)、雄ネジ側がインチねじ(#6-32)になっています。
バックプレートに新設する取り付け穴に使うスペーサーは、ステンレス板の厚み(1.5mm)を考慮して、スペーサー長5mmのものを選びました。
#インチねじを使うと面倒くさいので、雄ネジ側も雌ネジ側も、ミリねじに統一しました。
これで、PCケースに直接固定する位置と、バックプレートを挟んで固定する位置との高さが、ちょうど合うことになります。
バックプレートをPCケースに固定するボルトは、マザーボードの裏面に干渉しないよう、ステンレス製の超低頭ネジ(M3×5mm)を選びました。
サンドペーパーで足付けして、メタルプライマーを吹いてから、TAMIYAの「セミグロスブラック」で仕上げました。
バックプレートに組み込みます。
ボルトおよびスペーサーには、念のため、ネジ留め剤を塗っておきます。
Loctiteの「425」(左側)で、塗布したことが分かりやすいよう、紫色の液体になっています。酢酸系の液体なのか、ちょっと酸っぱいような独特の匂いがします。
Asus「WS C621E Sage」を組み込み、仮固定してみます。
とーぜんですが、マザーボードの10ヶ所の固定位置のツラは、ピタリと一致しています。基板に無用な応力などが掛かることもありません。
いや~、やっとここまで来ました。0xF9CF
(つづく)
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