前回の続きです。
とりあえず、センターコンソールに加え、助手席側のグローブボックスなどを、片っ端から取り外します。
話は逸れますが、内装を取り外すと、随所にアルミ素材が多用されていることが分かります。(ASF:Audi Space Frame Technology)
Audi R8は、「さすがはレーシングカーベースのものを、市販車にしたクルマだなぁ」と、つくづく感心します。0xF9C5
#Porsche GT3などは、「市販車ベースのものを、レーシングカーにしたクルマ」かと。
逆に分かったことですが、ボディアースが取れるポイントが決まっているため、引き回しに工夫が必要となりそうです。
センターコンソールの奥に、CANバスアダプターなどが隠されているため、ワイヤーハーネスを慎重に引き出します。
これだけのものが、隠されていました。
ワイヤーハーネスは、全部で10本もあります。
上段は、FM/AMアンテナブースター。
下段は、左からCANバスアダプター、HI/LOWコンバーター、リヤカメラアダプター。
CANバスアダプターは、CANバスから、イルミネーション信号(桃-白)、サイドブレーキ信号(若草)、リバース信号(紫-白)、車速信号(桃)、ステアリングスイッチ信号(茶)を、それぞれ取り出します。
HI/LOWコンバーターは、ナビのメインユニットからのアンプ出力を、車両側のパワーアンプへのライン出力に、レベル変換します。
リヤカメラアダプターは、リヤカメラからのビデオ信号に、CANバスから取り出したステアリングホイールの舵角情報を元に、後退時の予想進路の“枠線”を付加(スーパーインポーズ)します。
メインのワイヤーハーネス。
左側が車両側、右側がナビのメインユニット側です。
上段が、地デジアンテナ用のケーブル、下段が、GPSアンテナ用のケーブル。
地デジアンテナ用ケーブルのコネクタは、Clarionで使われている「GT13」というタイプ。
GPSアンテナ用ケーブルのコネクタは、Clarionで使われている「GT5」というタイプ。
「GT5」は、Panasonicでも使われているようなので、このまま「CN-F1X10BD」に接続できそうです。
上段が、DSRC(ETC)ユニットの電源と、AV入力のケーブル(接続する側)、中段が、DSRC(ETC)ユニットの信号と、AV入力のケーブル(接続される側)。
下段が、リヤカメラ入力と、マイク入力のケーブル。
ワイヤーハーネスの構成が分かったところで、各コネクタに出ている信号の解析に入ります。
こちらは、Audi R8の純正ナビ、Clarionの「J42AE2JP7A1」と同タイプのナビの配線図。
こちらは、Panasonicの「CN-F1X10BD」の配線図。
両者を比較し、ケーブルの色から、信号の意味に当たりを付けます。Clarion・Panasonicとも、ほぼ共通の色のため、それほど難しくはありません。
Audi R8の車両側から、ナビのメインユニット側へ接続するワイヤーハーネスを自作するにあたって、ケーブルを調達します。
せっかくなので、ケーブルの種類にも拘りました。
今回は、純正のワイヤーハーネスにも使われている、住友電装の「自動車用薄肉低圧電線」を使います。
スピーカー信号用は、0.5sqのAVSケーブル(外径φ2.0mm、導体7本)で、フロント左(白・白-黒ストライプ)、フロント右(灰・灰-黒ストライプ)、リヤ左(緑・緑-黒ストライプ)、リヤ右(紫・紫-黒ストライプ)を使用。
電源用は、少し太めの、1.25sqのAVSSケーブル(外径φ2.1mm、導体19本)で、バッテリー(黄)、アクセサリー(赤)、アース(黒)を使用。
ワイヤーハーネスの結束には、ドイツ、tesaの「ケーブルハーネス用フリース粘着テープ」(tesa 51608)を使います。
ドイツ御三家はじめ、自動車メーカー各社で純正採用されているものです。
PET(ポリエチレンテレフタラート)を基材とする起毛仕上げの繊維素材で、その名のとおり、フリースのような柔らかい手触りをしています。
これをワイヤーハーネスに巻き付けることにより、走行中の振動などによる“カタカタ音”を防止することができます。
#4ケタ万円のクルマですので、走行中にカタカタ・ミシミシと、軽自動車のようなチープな音がしないよう、しっかりと対策を施しておきます。0xF9C5
今回は、19mm幅のものに加えて、9mm幅のものも調達しました。比較的細い径のケーブルを束ねる際に、使いやすいサイズです。
あわせて、INOACの自動車用吸音材、「カームフレックス F-2」を調達しておきました。
5mm厚と10mm厚とを、場所に応じて使い分けます。
材料が揃ったところで、さっそく作業に入ります。
純正のClarionのケーブルを、Panasonicのケーブルに付け替えていきます。
スピーカーラインは、前述の4色8種類のAVSケーブルを用いて延長します。
やむなくハンダ付けした部分は、住友電気工業の「スミチューブ」(熱収縮チューブ)で保護しておきます。
灰色のスミチューブ(φ6mm)は、4線をまとめるため、白と赤のスミチューブ(φ3mm)は、L(左)とR(右)とを示すため、使い分けています。
最終的には、フリース粘着テープを巻くので見えなくなるため、ざわざわ色分けする必要はないのですが・・・。
#まぁ、気持ちの問題ということで。0xF9C7
細かいですが、ハンダ付けによる接合位置は、+線と-線で、同じ位置にならないよう、20mmほどずらしています。(純正のワイヤーハーネスも、接合位置をずらす工夫がしてありました)
なお、「CN-F1X10BD」の「車両・AVインターフェースコード」には、映像・音声入力コード、映像出力コード、サブウーファー出力コードが出ていますが、今回は使用しません。
余計なケーブルが付いていると異音の原因ともなるため、コネクタを分解してピンを引き抜き、ケーブルを間引いてしまいます。
加工の終わったワイヤーハーネスです。
左側が車両側、右側がナビのメインユニット側です。純正以上に、純正然としています。
また、余計なケーブルを間引いたことにより、純正の状態よりシンプルになっています。
ケーブルは、電源系、信号系、スピーカー系、それぞれに分けて束ね、フリース粘着テープを巻いてあります。
左上の白いコネクタは、「サウンドシャキット」に接続されます。
2つのRCAピンプラグは、リヤカメラと、ドライブレコーダーとに、それぞれ接続されます。
リヤカメラ入力と、マイク入力のケーブルは、ナビ側が一体となっています。
精密ドライバーを使って、コネクタからコンタクトピンを引き抜き、両者を分離します。
地デジアンテナ用ケーブルのナビ側は、Clarion用の「GT13」となっています。(上段)
これを、Panasonic用の「VR1」のコネクタに付け替えればよいのですが、いくら探しても、「VR1」のコネクタ(およびコンタクトピン)を見つけることができませんでした。
そこで、「GT13」を「VR1」に変換する、市販のケーブルを使うことにしました。(下段)
高周波用の同軸ケーブル同士を、下手に接続(延長)すると、インピーダンスが変わってしまうため、この方法を採りました。
上段から、マイク入力用ケーブル、リヤカメラ入力用ケーブル、地デジアンテナ用ケーブル、GPSアンテナ用ケーブル。
マイク入力用ケーブルは、ステアリングホイール近傍に仕込まれたマイクからの信号を、ナビのメインユニットに渡します。
リヤカメラ入力用ケーブルは、Clarionの5ピンコネクタを取り払い、RCAピンプラグに付け替えました。
地デジアンテナ用ケーブルは、「GT13 - VR1」変換ケーブルを4つまとめて両面テープで固定し、カームフレックスで包んでおききました。
GPSアンテナ用ケーブルは、車両側のコネクタの根元が折れ曲がっていたため、設置時に無理な力が加わらないよう、対策を施しておきました。
各ケーブルは、部位に応じて、フリース粘着テープを巻いておきます。
つづいて、ETC2.0ユニットの取り付けです。
左側が、純正のClarionのDSRC(ETC)ユニット、右側がPanasonicのETC2.0ユニット(CY-ET2500VD)。
純正のユニットは、グローブボックス内に、ごっついマウンタを使って取り付けられています。
このマウンタから、AV入力ケーブル(RCAピンジャック3口)と、USBケーブルとが引き出されているため、ある程度の高さがあることは仕方のないことですが、これがけっこう邪魔になります。
今回はAV入力やUSBを使用しないため、ETC2.0ユニット付属のマウンタを使って、シンプルに取り付けることにします。
センター寄りの奥まったところに、取り付けました。
元々あった純正のマウンタの取り付け位置(スリットが4本入っている)を参考に、Panasonicのマウンタを、タッピングビスで固定します。
これまで、分厚い車検証入れが、ぎりぎり収まるぐらいの天地でしたが、純正のマウンタを使わないことにより、グローブボックスの容量がかなり改善されました。
ETC2.0ユニットのワイヤーハーネスです。
電源系は、現物合わせで短縮加工し、信号系は、こちらも現物合わせで余長処理し、いずれもフリース粘着テープを巻いておきます。
ETC2.0ユニットの光ビーコンは、この位置に設置しました。
Audi R8のフロントウィンドウは、かなりスラントしているため、付属のスペーサーを介して接着しています。
なお、「CY-ET2500VD」の購入後、光ビーコンの形状を変更した「CY-ET2505VD」が発売されました。こちらは、ダッシュボードに置くことができ、背の高いクルマ用に対応しているようです。
助手席側のグローブボックスを、取り外したところです。
アースポイントは、青○のところにあります。
ETC2.0ユニットのワイヤーハーネスは、既存のワイヤーハーネスに沿わせて、フリース粘着テープで固定していきます。
(つづく)
〔関連情報〕
・10V型大画面ナビなのに400車種以上に対応!! パナソニック「ストラーダ F1Xプレミアム10」レビュー【前編】
(2020年1月20日:Impress Car Watch)
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(2020年1月27日:Impress Car Watch)
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(2020年2月3日:Impress Car Watch)
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