SOARISTO工房、いよいよ二輪のチューンナップに進出です。0xF9CF
ここは、某・超高層マンションの地下駐車場。
初めての素材は、DUCATIの「1199 Panigale S」という、SS(スーパースポーツ)バイクです。
#二輪のことはよく分かりませんが、Porsche 911 Carrera Sと同様、「S」が付くか付かないかで、動力制動などが大きく違う模様。
カーボン化し、超軽量化したサイドカウルに、純正ライクに、伊の「Tricolore」(トリコローレ)を入れたいという、贅沢なご要望にお応えします。0xF9C6
ちなみに、ご依頼主は、bimotaの「DB8」というSSもお持ちで、SS 2台体制という、なんともまぁ、贅沢なお方です。
#bimota DB8は、「Testastretta Evoluzione」(テスタストレッタ・エヴォルツィオーネ)という、DUCATI 1198用のエンジン(1,198cc)を積んでいる模様。
(画像は、Audi AG.から拝借)
別件ですが、Audiは、DUCATIを買収し、2012年に傘下に収めています。
ということで、両社は、非常に近しい関係であるということが、窺い知れます。
さて、本題に戻ります。
サイドカウルは、スロベニアの「FULLSIX」というメーカーの、ドライカーボン製です。
#スロベニアと言えば、軽量チタンマフラーで有名な「AKRAPOVIC」も、同じ国ですね。(同社のチタンマフラーは、職人のAudi R8に装着しています)
このサイドカウル、装着してみると、そんじょそこらのカーボンパーツとは明らかに違うことが、すぐに分かります。
カウルのボルト穴が、純正のボルト穴の位置にピッタリ合うだけでなく、カウルの外周と純正パーツの内周との隙間が、どこを取っても、ピッタリ合うのです。
さすがはスロベニア、旧ソビエト連邦時代の軍需産業で培われた精密金属加工技術が、最大限に活かされているようです。よくある中華製の安悪のパーツとは、別次元のクオリティーです。
と、いくら精度の高いパーツとはいえ、アフターパーツでここまでピッタリ合うのは、かなり不思議な感じがします。金型(CAD情報)を知らないと、ここまで精巧なカウルを作るのは難しいのではないかと。
これは職人の勝手な想像ですが、実はFULLSIXはレース用のカーボンパーツなどをDUCATIに供給していて、DUCATIから自社製品への二次利用を許可されているのかも知れません。
#実際、PorscheにおけるBILSTEINの「DampTronic」(ダンプトロニック)の例もありますし。(こちらも装着してました)
ところで、職人の“貼りモノ”好きには、かなり年季が入っておりまして、
TOYOTA SOARER 2.5 GT-T L(1996年~)
古くは、TOYOTA SOARER(JZZ30)において、中期型で標準となっていたピンストライプの上に、「TWINCAM SEQUENTIAL TWINTURBO」のロゴを入れ、
TOYOTA ARISTO V300 VE(1999年~)
TOYOTA ARISTO(JZS161)では、東京モーターショーで展示されていた「ALPINA B10V8」を採寸し、このデザイン比から「ALPINA風デコライン」を作製し、
BMW 530i M-Sport(2005年~)
BMW 530i(E60)では、ルーフとリヤアンダーディフューザーに「カーボン調シート」を貼り込み、
BMW M3 Coupe(2008年~)
BMW M3 Coupe(E92)では、純正部品をドイツから個人輸入し、「Performance Strips」と「M Performance Side Strips」とを施工し、(当時としては、日本初?)
Porsche 911 Carrera S(2013年~)
Porsche 911 Carrera S(Type997 Phase2)では、採寸までしたものの、時間切れにて途中で断念し、(つぎのクルマを買っちゃった)
Audi R8 V10 5.2 FSI quattro(2017年~)
Audi R8 V10 5.2 FSI quattro(42CTYF)では、「Quattro Side Logo」、「Quattro Gecko Icon」、「Quattro Side Panel」のQuattroデコラインシリーズを作製するとともに、「Akrapovicリヤステッカー」を作製し、
そして、今回のDUCATI 1199 Panigale Sとなります。
#どんだけ好きやねん。0xF9C7
と、いうことで、まずは準備に掛かります。
はじめに、純正カウルの意匠を確認しておきます。
純正では、アッパーカウルの前方から上方に向かって、伊の象徴であるトリコローレが、力強いラインで流れています。
サイドラインのデザインにあたっては、3色のラインのバランスを、太すぎず、細すぎず、微妙な調整が必要そうです。
ヘッドランプ下端のライン。
ここのエッジが、かなり鋭利になっています。サイドラインの終端の処理が、少し難しそうです。
取り外して預かってきた、純正のサイドカウルです。
サイドラインの素材は、いつものとおり、3Mジャパン(旧住友3M)の「スコッチカルフィルム」(屋外耐候性5年)を使います。
色見本から、DUCATIの赤と緑に最も近い色を、慎重に選びます。赤だけでも20種類ぐらいありますが、幸いにして、色味がほぼほぼ同じものが見つかりました。
いつもの業者さんから、素材が届きました。
Adobe Illustratorを使って、サイドラインをデザインします。
赤+白+緑のトリコローレですが、濃い色味のカーボンの上では、赤と緑のエッジが沈んでしまうことが想定されます。
そこで、赤と緑の周囲に、白で3mmのマージンを取り、2色を浮き立たせることにしました。
また、サイドラインを構成するパーツ(赤および緑)は、右用と左用とを共通のデザインにしておけば、作製上は楽になります。
しかし、傾斜を考慮してカットラインを微妙に違えているため、赤および緑とも、右用・左用の専用パーツとしています。
つづいて、「1199 Panigale S」のロゴをデザインします。
本来なら、DUCATIが使っているフォントタイプを調べれば良かったのですが、少し近道をして、「899」のベクトルデータから、「1199」を作っています。(「9」の縦の傾斜から、「1」を作製)
Panigale Sの「S」も、「9」をベースに、切り貼りして作っています。(「9」を180°回転させて合成し、切り込みを作る)
完成イメージは、このような感じ。
STiKA(SV-12)にて、切り出し。
「1199 Panigale S」のロゴも。
大きさは、現車に合わせて選択できるよう、3種類作ってみました。
「S」は、上記同様、赤の周囲に、白で1.5mmのマージンを取り、文字を浮き立たせるようにしています。
なお、各文字のエッジには、洗車した際にスポンジやウエスなどが引っ掛からないよう、「quattro side logo」の時と同様、微少な“丸み”を持たせてあります。
カッティングシートの切り出し、完了。
赤と緑のパーツには、左右を識別できるよう、番号を振ってあります。(補修用のパーツとして、計2セット、作ってあります)
(つづく)
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