前回の続きです。
ドライブレコーダーの改造ができたところで、つづいて電源制御回路の設計に入ります。
(画像は、DataSystemさんから拝借)
DataSystemのドライブレコーダー「DVR3000」には、そのオプションパーツとして、「センサースイッチコントローラー」(SWC295Ⅱ)なるものが出ています。(定価:13,824円)
この製品は、車内に設置した「ドップラーセンサ」により、駐車中に物体(不審者などの人体)の接近を検出した場合、一定時間、ドライブレコーダーに電源を供給し、ドライブレコーダーを「防犯カメラ」として機能させる、というものです。
価格もそれほど高くないですし、そのまま購入しても良かったのですが、せっかく「セキュリティLED制御ユニット」を作製したので、ドップラーセンサを用いた電源制御回路も、自作してみることにしました。
SWC295Ⅱは、ドップラーセンサを最大4つ接続することができますが、狭小の2シーターですから、それほど多くのセンサは必要ないですし、いつものとおり、PICを使って、もう少しコンパクトなユニットに仕立てることを目指します。
こちらが、いつもお世話になっている秋月電子通商の、「NJR4265使用 24GHz帯ドップラーセンサキット」(価格:3,800円)です。
左側が、JRC(新日本無線)製、超小型ドップラーセンサモジュール「NJR4265 J1」、右側が、USB経由でシリアル通信するためのインターフェース基板です。
型番の末尾の「J1」は、日本国内仕様のことです。24GHz帯の電波を使っていることから、監督官庁の認証を得て、ちゃんと技適マークが付いています。
これにより、屋内でも、屋外(車内)でも、使うことができます。
さっそく、部品をハンダ付けして、動作確認をしてみます。
手の平を、近付けると、「接近」の赤色のLEDが、遠ざけると、「離反」の緑色のLEDが点灯します。動きを止めると、LEDが消灯します。(青色のLEDは、電源です)
ドップラーセンサモジュールの、指向特性です。
「ドップラー」のその名のとおり、動きの差分に反応しています。24GHz帯の電波を一定間隔で発射し、反射波と、その1つ前の反射波との僅かな周波数の違いから、物体が接近しているのか、離反しているのかを、検知しています。
モジュールの中にはマイコンが内蔵されており、IQミキサからの信号を、ディジタル処理しています。
屋外(車内)に設置すると、樹木の揺れや雨滴の流れなど、さまざまな環境雑音が想定されますが、これらにフィルタを掛け、有意な信号(人体の動きなど)のみを出力してくれます。
評価用のツールも添付されていて、PCに接続後、モジュールの動作を、すぐにチェックすることができます。
動作確認ができたところで、ブレッドボード用に、少し工夫をしてみます。
秋月電子通商からは、前述のキットから、インターフェース基板を除いた、「ドップラーセンサーモジュール(24GHz)DIP化セット NJR4265 J1」(価格:2,300円)というものが出ています。
しかし、このDIP化セットは、1.27mmピッチの1×10Pを、2.54mmピッチの2×5Pに変換しているため、信号が重なってしまい、ブレッドボード上で扱うことができません。
よって、ピッチ変換基板と1×5Pのピンヘッダとを上手く組み合わせて、ブレッドボード上に挿すことができるようにしてみました。
このような感じで、ブレッドボード上に挿すことができました。
モジュールは、PICなどとシリアル通信することもできますが、それ単体で動作させることもできます。
試しに、「接近」と「離反」の出力が「H」になると、LEDが点灯するようにしてみました。(LEDは、Optosupply社の超高輝度白色LED、「OSWX4E56F1A」)
モジュールからの出力電流は、最大5mAで、超高輝度白色LEDの順電流は、60mAですので、そのままではオーバードライブになってしまいます。
そこで、途中にデジタルトランジスタを挟んで、定格いっぱいの60mAで点灯させています。
モジュール単体でも動作することから、PICとシリアル通信しつつ、ローカルで、動作確認用のLEDを点灯させることができます。
あえて超高輝度白色LEDとしたのは、モジュールをダッシュボード上に設置した際、動作確認用のLEDとしてだけでなく、暗所照明用のLEDとしても機能させるためです。
暗所照明用としても機能させるため、手持ちのPICで、遅延回路(状態維持回路)を作製してみました。
モジュールからは、動きがある時のみ信号が出力されることから、「接近」または「離反」の信号を検出してから、一定時間(現状では、4秒間)、LEDを点灯するようにしています。
#しかも、PIC10Fシリーズではなく、PIC12Fシリーズ(PIC12F609)を使って、わざわざタイマー割り込み(1kHz)を用いて、正確に時間を計っています。
LEDの点灯制御は、モジュール側でローカルで処理させることにより、電源制御回路との間は、4芯(+5V, Tx, Rx, GND)の、細径のケーブルを適用することができます。
(自動再生しない場合は、右クリックでメニュー)
以前に設計したセキュリティLED制御回路をさらに改良し、「エマージェンシーモード」を追加しました。
ドップラーセンサが人体の接近を検知すると、白色LEDが周囲を明るく照らすとともに、ドライブレコーダーに埋め込まれた赤色LEDがフラッシングし、不審者を威嚇します。
(同時に、前後に設置したドライブレコーダーの電源が入り、録画を開始します)
(つづく)
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