前回の続きです。
いよいよ、取り付け(貼り付け)に入ります。
こちらは、フロントフェンダーの「V10」エンブレム。
こちらは、エンジンルーム内の「V10」エンブレム。
フロントフェンダー用の「V10」エンブレムと比較すると、文字自体は同じものですが、文字のピッチが異なることが分かります。
本当は、エンジンカバー用の「V10」エンブレムだけ取り寄せたかったのですが、Assyの図表を見る限り、難しいようです。(エンジンカバーと一体で、別注不可)
よって、フロントフェンダー用の「V10」エンブレムを取り寄せ、工夫して取り付けることにしました。
エンジンカバー用の「V10」の文字ピッチを、ノギスを使って計測しておきます。
まずは、ボディーの中心線を出します。
フォーリングの中心や、リヤカメラの中心に基づいて、中心線を卦書きます。
つづいて、水平線を出します。
「/ /R8」の文字が、ボディーに対し、正確に水平に貼り付けられていることを前提とし、直線定規を使って、水平線を出します。
#Audi R8は、ドイツ・ネッカーズルム工場にて、特別な訓練を受けた熟練工によって、1台につき10日ほど掛けて、ほぼ手作業で組み立てられています。
#エンブレム類は、その最終工程において、それぞれの部位に合わせた専用の治具を使って、正確に貼り付けられているものと思われます。
「/ /R8」の平行四辺形の底辺の延長線と、ボディーの中心線とが交差する点を、マークしておきます。
マークした点に向けて、マスキングテープで水平線を出します。
微妙にラウンド(湾曲)していますが、このラウンドこそが、重要なのです。
人間の眼とは不思議なもので、たびたび錯覚を起こすこともありますが、注視したものについては、その僅かなズレや歪みを敏感に感じ取ることができる、優れた能力を持っています。
この場合、ただ単純に、リヤゲートの下端からの距離を一定とする直線に沿ってエンブレムを貼り付けてしまうと、下方向に窪んで(歪んで)いるように見えることでしょう。
「/ /R8」の平行四辺形の底辺(ボトムライン)と、文字の底辺とのオフセット(ずれ)を考慮し、マスキングテープでベースラインを出します。
さらに、「V10」の文字のキャップハイトを考慮し、マスキングテープでキャップラインを出します。
「V10」の文字を、エンジンカバー用と同じ文字ピッチで、正確に貼り付けていきます。
通常であれば、エンブレムの裏面のアプリケーションシートを剥がし、表面のアプリケーションシート(透明な方)に付けたまま位置決めすれば、簡単に貼り付けることができるのですが、今回は、文字のピッチを調整(再現)しているため、少し難易度が高くなります。
少しでも水平や垂直が出ていないと、すべてが台無しになってしまうため、慎重に慎重を重ねます。
とりあえず、左側だけ完成。
#ふ~ぅ。神経を使う作業です。0xF9C8
つづいて、右側です。
「2.5」の文字ピッチを、ノギスを使って計測しておきます。
「/ /R8」の平行四辺形の底辺の位置に基づいて、左右シンメトリーとなるよう、正確にベースラインを出します。
この画像からも、ベースラインが、微妙にラウンドしていることが、お分かりいただけるかと思います。
マスキングテープの下端がボトムライン、上端がベースラインです。
「/ /R8」の平行四辺形の左辺が、ベースライン(ボトムラインではない)と交差する位置と、リヤゲートのエッジとの距離を、計測しておきます。
左側と同じ距離を置いて、「FSI」を貼り付けます。
「5.2」の文字を、「2.5」の文字ピッチに基づいて、正確に貼り付けていきます。
「.(小数点)」と「2」との間隔は、2mmとしましたが、「5」と「.(小数点)」との間隔は、少し狭めて、1.5mmとしました。
これは、「5」の文字の右端下部がアールを持っているためで、単純に他と同じ間隔にすると、少し間の開いた感じ(不自然な空白)となるため、「カーニング」の技法を使ってみました。
施工前です。
施工後です。
標準の状態では、「/ /R8」しかなく、あっさりした状態ですが、エンジンの配列形式と排気量を得て、イイ感じになりました。0xF995
#賛否両論あるとは思いますが、まぁ、Mモデルでもないのに「///M」バッジを付けたり、廉価グレードが恥ずかしいのかモデル名を外したり(「525i」とか)とは、ちと違いますし。0xF9D1
〔おまけ〕
上手く仕上がったことをいいことに、後日、「quattro」ロゴも追加してみました。0xF9C6
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