またも、だいぶ間が空いてしまいましたが、前回の続きです。
「マリオの土管」を斜めに切断し、「太めの門松」を作りました。
切り口が、かなり鋭角になっていますが、この角度こそ重要なのです。
#ノギスで基準点を測定してみましたが、左右完全にシンメトリーで、我ながら恐ろしいほど正確に切り出せました。0xF9CF
準備ができたところで、いよいよアルミメッシュの加工に入ります。
サイドグリル中央部にある縦の支柱を取り外し、上端部の形状を型取ります。
形状の型取りには、このような「曲線定規」を使います。
#大学の「電子工学実験Ⅰ」とかで、周波数特性を対数グラフか何かにプロットした時に使って以来、実に四半世紀ぶりぐらいに手にしました。0xF9C7
卓上電動糸ノコ。
RYOBIとありますが、PROXXONの「コッピングソー」(No.28089)と同じものです。
サイドグリル上端部の形状を、曲線定規を使って、ケント紙に写し取ります。
ケント紙の形状を元に、卓上電動糸ノコを使って、シナ合板(厚さ15mm)を切り出します。
切断面を正確に垂直にしておくことにより、シナ合板を裏返せば、そのまま左右反対側の形状を作り出すことができます。
さて、ここから先が、だんだんと手が込んでいきます。0xF9C5
まず、ケント紙の端点に、短冊状に切り込み(10mm間隔)を入れたものを用意します。
これを、先ほどのシナ合板の側面に沿わせ、マスキングテープで固定していきます。
これで、ケント紙に、サイドグリルの上端部の、“左右方向のアール”が写し取られました。
つづいて、先ほどのケント紙を、サイドグリルの上端部に固定します。
この状態で、ケント紙を、サイドグリルの“上下方向のアール”に合わせながら曲げつつ、左右および下端部の形状を写し取ります。
#画像では、ケント紙が微妙に浮いているように見えますが、これは撮影時のもので、型取りする際には、きっちり形状を合わせます。
ケント紙を取り外し、端点を固定していたマスキングテープを剥がします。
このケント紙の形状は、サイドグリルの“左右方向のアール”と、“上下方向のアール”の、両方を写し取り、平面に展開したものとなっています。
#素晴らしい!(と、自画自賛)0xF9CF
さてさて、いよいよアルミメッシュの「三次元曲げ」に掛かります。
ケント紙の形状を元に、金切バサミを使って、アルミメッシュを切り出します。
切り出し完了。
なお、アルミメッシュの切断面は、かなり鋭利になっていますので、加工中に手を傷つけないよう、十分注意します。
アルミメッシュを、シナ合板の側面に固定します。
シナ合板のエッジに、アルミメッシュの編み目がピッタリ重なるよう、微妙に位置を調整します。
加工中にアルミメッシュがズレないよう、M5のタッピングネジを使って、シナ合板の側面にがっちり固定します。
なお、タッピングネジの途中には、M5のゴムワッシャーを咬まし、アルミメッシュの目が潰れないギリギリの強さで締め付けています。
アルミメッシュの端点を、ヘラ(シナ合板の切れ端で代用)を使って、徐々に曲げていきます。
#ゴムハンマーなどを使って叩くと、アルミメッシュの目が潰れてしまうので、ヘラを使います。
一気に曲げるのではなく、中央部から両端に向け、シナ合板のアールに沿って、少しずつ絞るように曲げていきます。
#そういえば、金属加工の技術に、「ヘラ絞り」というものがありました。(もっとも、これに比べれば、遙かに難易度の高い技術ですが)
アルミメッシュを、緩やかなアールを描きつつ、端点を10mmの幅でL字に曲げます。
これにより、アルミメッシュをサイドグリルの上端部に固定するための、“のりしろ”を作ることができました。
曲げ完了。
まずは、サイドグリルの“左右方向のアール”に合わせた、「二次元曲げ」ができました。
つづいて、“上下方向のアール”に掛かります。
サイドグリル中央部にある縦の支柱の穴を目印として、アルミメッシュを両面テープで仮留めします。
縦の支柱の嵌合の形状に合わせて、アルミメッシュを、必要最小限の大きさだけカットします。
カットにあたっては、アルミメッシュの強度を保つため、できるだけ編み目の部分(交差しているところ)を残すようにします。
縦の支柱を仮組みしてみたところです。
これまでのチューニングショップなどでのアルミメッシュ加工は、アルミメッシュを、
「サイドグリルの裏から押さえ付ける方法」
でしたが、
工房では、サイドグリルを分解できるメリットを活かし、アルミメッシュを、
「縦の支柱との間に挟み込む方法」
を採ることができました。
これにより、多少の圧力(ケルヒャーなどのジェット水流)が掛かっても、アルミメッシュが外れるようなことはありません。
さらに、取り付けにあたっての隙間をなくすことができ、サイドグリルとアルミメッシュの一体感も増すことができました。0xF9C6
この状態で、アルミメッシュの周囲を、ヘラを使って、サイドグリルの形状に合わせて徐々に曲げていきます。
いったん取り外します。
このような感じで、“左右方向”にも“上下方向”にもアールを持つ、滑らかな「三次元曲げ」ができました。
で、ふつーのアルミメッシュ加工なら、これで取り付けて終わりですが、工房では、さらなる難題に取り組むことにします。0xF9CE
(つづく)
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