前回の続きです。
米国から個人輸入した「IPD Plenum」を、「ガーズレッド」(の近似色)に塗装し、準備万端整った訳ですが、
いよいよ取り付けます。
IPD Plenumの「取付説明書」は英語版で、しかも文章のみ(画像なし)ですので、文章に書かれていない(悩みながら取り付けた)部分を中心に、解説します。
エアクリーナーボックス(以下、エアクリボックス)の上下左右8ヶ所にあるトルクスネジ(T25)を外すと、「上部カバー」を取り外すことができます。
エアクリボックスの上部カバーの右側には、PSEの負圧配管をした際に説明した「ソレノイドバルブ」が固定されています。
嵌合で嵌まっているだけですので、上部カバーを引き上げる前に、取り外しておきます。
(画像は、取り外した後の状態)
#なお、このソレノイドバルブは、Carrera S / Carrera 4S用の「DFI 3.8Lエンジン」にはあり、Carrera / Carrera 4用の「DFI 3.6Lエンジン」にはありません。
エアフローセンサーのコネクタを外し、ホースクランプのボルトを緩めます。
エアクリボックスの本体は、1ヶ所のゴムブッシュで固定されているだけですので、真上に引き上げることにより、取り外すことができます。
エアクリボックスが、ぽっかり丸ごと取り外せました。
純正のエアクリを、K&Nのものに交換します。
エアクリは、1ヶ所のトルクスネジ(T20)で固定されていますので、これを外します。K&Nのエアクリには、ホースクランプが付いていますので、このボルトを締めて、固定します。
電子スロットルボディが見えました。
4ヶ所のボルト(M8)を外すと、電子スロットルボディが取り外せますが、その前に、電子スロットルボディに接続されているコネクタを外します。
このコネクタが、“とんでもなく”固く固定されていたため、取り外しにかなり難儀しました。
まず、コネクタを保護するコネクタカバーがありますので、これを取り外します。コネクタカバーは、表裏2つの部品で構成され、周囲数ヶ所の嵌合で嵌まっています。
コネクタカバーを外した後、コネクタ本体の両側面にそれぞれツメがありますので、このツメを押しながらコネクタ本体を引き抜きます。
かなり固いですが、ここを潰してしまうと、“とんでもなく”高く修理代が付きますので、慎重に作業を進めます。
取り外した、電子スロットルボディです。
ベンチュリー径(電子スロットルボディの内径)は、φ82mmでした。Type 997 GT3用と同じ経です。
ネットで少し調べたところ、Aston Martin DB7 Vantageも、この形状の電子スロットルボディでした。(ベンチュリー径は異なり、もう少し小径ですが)
#もしかすると、欧州車のほとんどは、いま話題(?)のBOSCH製なのかも知れません。
繰り返しになりますが、電子スロットルボディ(およびその周辺のエアフローセンサーなどの部品)の取り扱いは、くれぐれも慎重に。
電子スロットルボディを取り外し、純正のプレナムが見えるようになりました。
プレナムには、ブローバイホースなどが接続されていますので、これらを取り外します。いずれも、ツメで引っ掛かっていますので、このツメを押しながら引き抜きます。
(英語的には、「Squeeze and Pull」だそうです)
さて、ここからが難題です。0xF9C5
プレナムは、左右の吸気ポートに、上下2つの「半月状のクランプ」で固定されています。まず、このクランプを固定しているボルトを外し、上側のクランプを取り外します。
プレナムと左右の吸気ポートとの間は、気密性を確保するため、「ゴムブーツ」が入っています。このゴムブーツを吸気ポート側にずらして隙間を作ると、プレナムがなんとか動かせるようになります。
しかし、いかにエンジンのメンテナンス性が高いPorscheと言えど、そもそも「後付けでプレナムを交換しよう」などとは想定されていないようで、非常に狭いスペースで、“知恵の輪”的な作業が迫られます。
#メカニックグローブを填めて作業しないと、手が傷だらけになってしまいます。0xF999
“知恵の輪”が解けて、プレナムが動かせるようになりましたが、まだまだ難題は続きます。
プレナムの背後(車両の前方側)には、前回説明した、バタフライバルブを開閉させるための「アクチュエーター」が取り付けられています。
このアクチュエーターは、純正のバキュームラインに接続されていますので、このバキュームラインを、ゴムジョイントの部分で切り離し(引き抜き)ます。
#かなり狭いスペースでの作業になりますが、焦らず慎重に。
どうしてもバキュームラインを切り離せなかった場合の代替案としては、“先にアクチュエーターをプレナムから取り外す方法”があります。(詳しくは後述)
バキュームラインを切り離せたら、プレナム本体を、慎重に引き出します。
プレナムが取り外せました。
#画像では、前述の“先にアクチュエーターをプレナムから取り外す方法”を採ったため、バキュームラインに接続されたアクチュエーターが残っています。
なお、作業スペースを確保するため、画像左側のパワーステアリングフルードのフィラーキャップを外しておくと、若干、作業性が改善されます。
また、言わずもがなですが、現状、吸気ポート(インテークマニホールド)がむき出しとなっています。この状態で、吸気ポート内にゴミなどが侵入すると、エンジン本体に致命的なダメージを与える可能性があります。
作業中は、吸気ポートをウエスで覆うなど、十分な注意を払って、作業を進めます。
取り外した純正プレナムです。
試しに重量を計測してみたところ、純正プレナムは1.4kg(プラスチック樹脂製)でした。IPD Plenumは3.3kg(アルミニウム合金製)であったことから、1.9kgの重量増となっています。
以前に取り付けた、PSE(Porsche Sport Exhaust System)とワンオフのセンターパイプとの組み合わせで、約2.0kgの軽量化となっていましたが、これで元に戻ったことになります。
純正プレナムの内部です。
IPD Plenumは、左右の吸気ポートへ分岐する部分の形状が「Y字」で、なだらかな曲線を描いていましたが、純正プレナムは、「T字」で、直角です。
いかにも吸気抵抗になりそうな形状です。
純正プレナムの背後に固定されていたアクチュエーターを取り外し、IPD Plenumに取り付けます。
アクチュエーター本体は、2ヶ所のキャップボルト(M3)で固定され、アクチュエーターロッドの先は、ボールジョイントに嵌め込まれています。
まず、クリップリムーバーなどを使って、アクチュエーターロッドをボールジョイントから分離します。その後、ヘキサゴンレンチを使って、2ヶ所のキャップボルトを外し、アクチュエーター本体を取り外します。
取付説明書にも記載がありますが、このアクチュエーターロッドをボールジョイントから分離する作業は、ボールジョイントが非常に壊れやすい部品であることから、特に慎重に行います。
さて、いよいよIPD Plenumを取り付けます。ここから先は、さらに難しい“知恵の輪”を解くことになります。
その前に、前述の「半月状のクランプ」と「ゴムブーツ」について説明します。
プレナムと吸気ポートとの間は、数mm程度の隙間が開いています。ゴムブーツの内側には、この隙間にぴったり合うよう、「突起」が走っています。また、ゴムブーツの外側にも、半月状のクランプの形状にぴったり合うよう、「溝」が走っています。
まず、ゴムブーツの内側に、シリコングリスを適量塗り、指で薄く伸ばします。その後、左右のゴムブーツをIPD Plenumに嵌め込みます。
最終的な取り付け時には、ゴムブーツの半分の幅がIPD Plenumに、もう半分の幅が吸気ポートに架かるようになりますが、この時点では、ゴムブーツのすべての幅がIPD Plenumに架かるよう、しっかり押し込んでおきます。
この状態で、IPD Plenumを吸気ポートとの間に位置させ、片方の手でIPD Plenumを支えながら、もう片方の手でゴムブーツを吸気ポート側にずらしていき、プレナムと吸気ポートとの隙間に、ゴムブーツの「突起」が嵌まるようにします。
狭いスペースの中で、非常に難しい作業になりますが、悪戦苦闘する中で、上手い方法を編み出しました。0xF9A0
題して、「キャタピラー作戦」です。
(以下、編集中)
取付説明書には、エアコンのコンプレッサーを固定しているボルトを、キット付属のロングボルト(170mm)に交換するよう、記載があります。
(取り付け時、ボルトのアタマがIPD Plenumに干渉するため)
しかし、特段、交換しなくても問題がなかったため、純正のボルトのままにしました。
“知恵の輪”が解け、IPD Plenumが取り付けられたところです。
電子スロットルボディを元に戻し、コネクタやホース類を接続します。
エアクリボックス本体を元に戻します。
上部カバーを取り付けて、完成っ!!
Porsche純正ボディーカラーと同色の、鮮やかな「ガーズレッド」が、“熱い走り”を予感させます(?)。0xF9CB
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