前回の続きです。
PSE(Porsche Sport Exhaust System)の制御回路の作製、事前の配線・配管を終え、いよいよPSE本体の取り付けです。
取り付けをお願いするのはここ、大阪府は堺市にある、「とあるマフラー屋さん」です。
そう、
「音に、乗れ。Gに、乗れ。改に、乗れ。」
の“柿本改”(カキモトレーシング(株))さんです。
夜中に東京を発ち、夜通し高速をつっ走って、あっという間に着いてしまいました、やたら早朝に。0xF9C7
左右のタイコ(サイレンサー)は、緩衝材でぐるぐる巻きにして、リヤに積んできました。
こんな感じ。
いよいよ、走り屋の聖地に潜入します。
ぬぅお~~~っ!!(パーツ萌え)0xF9CF
と、感激しているばやいではありません。
PSEの取り付けだけであれば、都内のショップでもできるところですが、わざわざ“柿本改”さんまで来た目的は・・・、
これです、これ。
ワンオフで、「センターパイプ」を作っていただきました。(詳しくは、後述)
まずは、リヤバンパーを始め、どんどん外していきます。
こちらが、標準のセンターマフラーです。(Porscheの正式呼称は、「Front Muffler」)
Type 997 Phase 2(後期)へPSEを取り付けた場合の価格・納期を確認した際、PCの部品課の担当者さん(いつも売る気マンマン0xF9C7)を以てして、
「価格の割には『音が変わらなかった』というお客様が多く、あまりお薦めいたしません」
と言わしめたのは、このセンターマフラーに因るところが大きいようです。
取り外した標準のセンターマフラー。
(画像は、SharkWerksさんから拝借)
海外のサイト(主に北米)の情報によると、センターマフラー内部は、このように4つの区画に分かれているようです。
(以下の説明の都合上、それぞれの区画を、勝手に命名しています)
片バンクから出てきた排気は、触媒を通って、まず第一膨張室に入ります。第一膨張室の出側のパイプは、メッシュ状になっており、ここで排気を膨張させ、圧力や熱などを調整しています。
第二膨張室では、細部の形状が確認できないため、内部で圧力を調整しているかは、分かりません。
また、左右の第二膨張室は、中央の隔壁で分けられているように見えますが、実はここに小穴が開けられていて、左右の脈動を同調させているようにも考えられますが、これも分かりません。
いずれにしても、左バンクから出た排気は左のメインサイレンサーへ、右バンクから出た排気は右のメインサイレンサーへ、かなりの“曲げ”を伴って、それぞれ導かれていることが分かります。
(画像は、Fabspeed Motorsportさんから拝借)
この形状に準じて、海外では、このような形状のセンターパイプが、アフターパーツとして出されています。
その名も、「Center Muffler Bypass X-Pipe」。
左右のパイプが接している部分は、バンドのような形状の金属で固定されています。この部分は、左右のパイプが独立しているようにも見えますし、若干、重なっているようにも見えます。
もしかすると、左右のパイプが重なっている部分で、左右の脈動を同調させているようにも考えられます。
いずれにしても、現物の形状が確認できないため、何とも言えません。
ところがですね、取り外した標準のセンターマフラーを真横から覗き込んでみると、向こう側が見えることが分かりました。
どうやら、北米向けと日本向けでは、内部構造が異なるようです。
(正確には、部品コードからすると、北米向けと(主に)欧州/日本向けとがあり、輸出先の保安基準等に応じて、センターマフラーを使い分けているようです)
これより、欧州/日本向けの内部構造は、このようになっているのではないかと、勝手に想像したりしています。
左右の両バンクから出てきた排気を、センターマフラー全体で同調させ、左右のメインサイレンサーへ導いているようです。
#ということで、言わずもがなですが、ネットの情報は、そのまま鵜呑みにしてはいけない、ということですね。0xF9C5
この内部構造の違いが、(北米向けに比べて)欧州/日本向けのPSEの音が“大人しい”原因のようです。
この欧州/日本向けのセンターマフラーに対し、北米向けのセンターマフラーの形状に準じて、「センターパイプ」を作ってもらおうと考えた訳ですが・・・、
どうもですね、左右の両バンクから出た排気を、センターマフラーの中央部で大きく“曲げ”ている形状が気に入りません。(画面上段)0xF9C5
素人考えですが、この大きく“曲げ”ている部分で、排気の流速が落ちるというか、外周と内周で流速が異なることにより、排気効率が落ちてしまうように思えてなりません。
(まぁ、純正でもそうなっているので、まったく問題ないのだとは思いますが)
そこで、「せっかく、一から作ってもらうなら」ということで、180°折り返すのではなく、左バンクから出た排気は右のメインサイレンサーへ、右バンクから出た排気は左のメインサイレンサーへ、それぞれそのまま“ストレート”に導かれるようなセンターマフラーを作ってもらうことにしました。(画面下段)
その名も、「Center Muffler Bypass Straight X-Pipe」。(と、勝手に命名)0xF9F8
前置きが長くなりましたが、つぎつぎ作業を進めていきます。
標準のセンターマフラーと左右のメインサイレンサーを、取り外したところです。
心配していた、触媒の出側のスタッドボルトも、折れることなく取り外すことができました。
ワンオフのセンターパイプを取り付け。
どうです? この美しい“曲げ”。0xF9CF
いつまで見ていても、飽きません。
惚れ惚れするような美しさです。0xF9CB
メインサイレンサーを取り付け、リヤバンパーを元に戻し、チタンカラーに塗装し直した「デュアルテールパイプ」を取り付けます。
最後は、店長御自らの手によって、左右のデュアルテールパイプが完全にシンメトリーとなるよう、調整してくださいました。
各部の取り付け状態について、最終チェックをして、
完成っ!!0xF9CF
さっそく、PSEがONとOFFとでの音の違いが分かるよう、動画を編集してみました。(海外用に英語表記)
いや~、まずいです、これ。0xF9FC
「常時PSEスイッチ」をON(エンジン始動時からPSEがON)にしてイグニッションキーを回すと、アイドリングの状態でも、とんでもなく“野太い音”がします。
アイドリングだけでなく、アクセルを煽った時の音も録ろうと思ったのですが、自宅駐車場ではさすがにこの音量では気が引けたので、止めました。0xF9C8
何と言っても圧巻なのは、アクセルを煽った状態から、急に抜いた時のエキゾーストノートです。
「ブォ~ン、ブォ~~~ン!」と煽ってから急に抜くと、「バリ バリ バリ バリ!」という“バブリング音”がします。0xF9CB
まさに、泡が弾けるような音。
し、しかしですねぇ、いいんでしょうか、純正マフラーでこんな派手な音がして。0xF999
(Lamborghiniの「Huracan」かっちゅ~の!)
この“バブリング音”、今回ワンオフで作っていただいた「センターパイプ」の形状に因るところが大きいと考えます。
標準のセンターマフラーは、左右の両バンクから出てきた排気を、センターマフラー内部で交差・同調させ、左右のメインサイレンサーへ導いています。
一方、今回の「センターパイプ」は、排気を交差・同調させず、左バンクから出た排気は右のメインサイレンサーへ、右バンクから出た排気は左のメインサイレンサーへ、それぞれ独立したまま導いています。
いわゆる、「ストレート構造」です。(というか、直管?)0xF9C7
これにより、左右の両バンクの排気音が“丸まらず”、そのままメインサイレンサーに送り込まれるため、標準の状態では考えられないような“勇ましい音”が奏でられます。
しかも、この音は、水平対向6気筒エンジンならではのものです。まさに、「耕運機サウンドの追求」にぴったりです。
で、肝心の“バブリング音”の動画は、次回、また改めて!0xF9CE
〔おまけ〕
Carrera Sの標準のマフラーシステムと、PSE+センターパイプの組み合わせでの重量を比較してみます。
まず、標準のセンターマフラーです。6.38kgありました。
センターパイプは約2.0kgでしたので、約4.4kgの軽量化になります。
つづいて、標準のメインマフラーです。9.32kgありました。
PSEのメインマフラーは10.56kgでしたので、約1.2kgの重量増となっています。
PSEは、3本のパイプ(INが1本、OUTが標準と直管とで2本)が出ていることと、バタフライバルブやアクチュエーターなどが取り付けられていることにより、標準より重くなっています。
これらにより、センターパイプで約4.4kgの軽量化、左右のメインマフラーで約2.4kgの重量増により、都合、約2.0kgの軽量化となりました。
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