時ならぬ、御中元が届きました。
少し変わった形をした「パイナップルゼリー」が、2つです。0xF9F8
というのは冗談で、とある作業に使う便利グッズです。
この“凸”の形状に、大きな意味があります。
こちらは、Porsche 911の底面に前後左右4ヶ所あるジャッキアップポイントです。(車体前方左側)
ご覧のとおり、特殊な形状をしていて、普通のジャッキを咬ますことができません。
ということで、Porsche 911を安全・確実にジャッキアップするため、ジャッキそのものを改造することにします。
こちらは、BMW 530iやM3 CoupeのDIYでも大活躍の、シザーズジャッキです。
なぜ同じモノが2つあるかというと、ジャッキを左右に掛けて、左右同時にジャッキアップするためです。
これは、いかに剛性の高いPorsche(やBMW)といえど、1点だけでジャッキアップしてしまうと、シャシーに無理な力が掛かり、シャシーが微妙に歪んでしまうのではないか、と考えたためです。
(さすがに、これしきでは歪まないと思いますが、シャシーに不用意に「左右方向の捻れの力」を掛けたくなかったため、昔からこの方法を取っています)
加えて、なぜ普通のフロアジャッキを使わないかというと、フロアジャッキとシザーズジャッキの動作の違いを考慮したためです。
フロアジャッキ(ガレージジャッキ)は、ジャッキヘッドの上昇に伴って支持位置が微妙に前後しますが、シザーズジャッキ(パンタジャッキ)は、ジャッキヘッドが上昇しても支持位置は変わらず、ジャッキの設置位置において純粋に垂直に上下するだけです。
こちらは、シザーズジャッキのジェッキヘッドです。BMWのジャッキアップポイントにぴったり嵌まる大きさになっています。
このジェッキヘッドは、ジャッキ本体にリベットで固定されています。
ドリルでリベットのアタマを揉んで、ジャッキヘッドを取り外します。
ジェッキヘッドを取り外したところです。
中央には、φ8mmの穴が開いています。
ジャッキアームを沈めた際、ジャッキ上面が当たる部分には、φ13mmの穴が開いてます。
こちらは、先ほどのパイナップルゼリー、いや「ジャッキアタッチメント」を、ジャッキ上面に固定するための部材です。
M8のステンキャップボルトとM8ボルト用のタップ、および超強力両面テープ(住友3M製)です。
M8のボルトを締め込むための穴を開けます。
ジャッキアタッチメントの中心を正確に割り出し、フライス盤を使って切削します。
M8のボルトの下穴は、φ6.7mmです。
ハンドタップを使って、M8のボルトのネジ山を切ります。
ネジ山のピッチは、1.25mmです。
ネジ山を切ったところです。
ジャッキアタッチメントの素材は、ウレタン樹脂ですが、見掛け以上に硬度があり、ネジ山がしっかり立ちます。
サークルカッターを使って、両面テープをφ50mmに切り出します。
両面テープの厚さは、1.14mmです。
両面テープの左右にある2つの穴は、ジャッキ上面にあるノッチを避けるためのものです。
今回、「超強力両面テープ」を使っていますが、この両面テープ自体にジャッキアタッチメントを固定する意味はありません。(1t近い荷重が掛かれば、ひとたまりもありませんので)
単にノッチを避ける厚みを稼ぐためだけの意味で使っています。
ジャッキ上面が当たる部分、油圧シリンダーの上面には、前述のとおり、φ13mmの穴が開いてます。
今回、ジャッキアタッチメントを固定するためにM8のボルトを使っていますが、通常の六角ボルトでは、アタマが大き過ぎてこの穴に入りません。
キャップボルト(ヘキサレンチで締め込むタイプのもの)は、アタマがφ12.8mmのため、この穴にギリギリ収まり、ジャッキアームを沈めた時に、干渉することなく収納することができます。
ジャッキアタッチメントを、ジャッキ上面に固定したところです。
ここでのポイントは、キャップボルトを必要以上に締め込まないことです。これは、ジャッキアタッチメントに荷重が掛かった際、前後左右に微妙に動けるようにすることで、無理な力を逃がせるようにするためです。
(そのために、キャップボルトのアタマ側に、スプリングワッシャーを入れておきます)
ということで、シザーズジャッキの改造、完成です。0xF9F8
〔おまけ〕
世界初(?)の「Porsche 911 Carrera S Type 997 Phase 2専用シザーズジャッキ」(長い)の完成に気を良くしていたところ、思わぬ事態が発生っ!!0xF9FC
なんと、ジャッキアタッチメントのアタマが大き過ぎて、収容ボックスに収まりません。
(ここまでは、なにもかも計算どおり、バッチリだったのに・・・)
仕方がないので、収納ボックスの天板を加工して、なんとか収まるようにしました。0xF9C8
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