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M3 Coupeと911 Carrera Sとの比較(1)

2014/03/23

 ドイツ車の雄、2台を乗り継いだところで、両車を比較してみることにします。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 BMW M3 Coupe(E92)のV型8気筒4.0Lエンジン(S65B40A)。最高出力:420ps(309kW)/8,300rpm、最大トルク:40.8kg・m(400N・m)/3,900rpm。

 Porsche 911 Carrera S(997 Phase 2)の水平対向6気筒3.8Lエンジン(MA101)。最高出力:385ps(283kW)/6,500rpm、最大トルク:42.8kg・m(420N・m)/4,400rpm。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeは、アイドリング時はV8特有のドロドロとしたエンジン音を響かせますが、ひとたびアクセルを踏み込むと、レッドゾーンの8,200rpmまでよどみなく一気に吹け上がります。V8エンジンであっても、「さすがはBMW」と思わせる精巧さ、スムースさがあります。0xF9CF

 997は、Phase 2(後期型)からエンジンが直噴化されています。Phase 1(前期型)の発表(2004年)から、4年を経ての更新となりますが、単なるマイナーチェンジではなく、まったく別物のエンジンに生まれ変わっています。

 例えば、Carrera S用のエンジンでは、Phase 1(3,824cc)の99.0×82.8mmに対し、Phase 2(3,800cc)は102.0×77.5mmと、ボアアップ&ショートストローク化され、最高出力は、355psから385psへと、一気に30psも向上しています。
(最大トルクは、400N・m(40.79kgm)から420N・m(42.83kgm)へと、20N・m(2.04kgm)拡大)

 アイドリング時は、バタバタとした不等長な音がしますが(しかも直噴エンジンのため、カラカラというトラック(ディーゼルエンジン)のような音も加わっています)、回転が上がるにつれ、Porscheならではの、得も言われぬ機械音を響かせます。0xF9CB

Porsche 911 Carrera S

 余談ですが、997は、車速が120km/hを超えると、リアスポイラーが自動的にせり上がってきます。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 比べるのは酷ですが、両車のトランクルーム。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeは、日常的な使い方では、必要十分な広さを持っています。

 対して997は・・・、買い物袋3~4つぐらいで、一杯になってしまいます。

 Carrera Sは、素のCarreraにはない補機類がたくさん付いているので、ただでさえ狭い“バスタブ”が、さらに狭くなっています。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 さっそく乗り込んでみましょう。

Porsche 911 Carrera S

 余談ですが、997のサイドシルに貼ってあるタイヤプレッシャーのコーションステッカーです。

 よくよく読むと、「80km/hの最高速度を遵守してください」と書かれています。

#そりゃ~、無理ってもんですよ、Porscheさんっ!!0xF9C7

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 それぞれに、その気にさせるコックピット。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 まさに、オトコの仕事場。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeのセンタークラスターは、視線を大きく動かすことのないよう、一番上にナビのワイド画面が配されています。

 また、エアコンやオーディオのスイッチ類も、手を伸ばして操作するのにちょうど良い高さになっています。

 対して997は・・・、昔ながらの「絶壁インパネ」です。

#997には、クルマの“操縦性”という言葉はあっても、ドライバーの“操作性”という言葉はないようです。0xF9C7

Porsche 911 Carrera S

 余談ですが、この997には、オプションの「スポーツクロノパッケージ」(+216,000円高)が装着されています。センタークラスター上のクロノグラフは、周回コースのラップタイムを計測するためのものです。

 また、通常のCarrera Sでは、0-100km/h加速が4.5秒ですが、スポーツクロノパッケージを装着すると、ローンチコントロールが有効になり、0-100km/h加速が4.3秒にまで縮まります。

#1,400万円オーバーのクルマには、20万円など“誤差”の範囲ですから、ぜひともラインオプションで取り付けましょう。

BMW M3 Coupe M DCT

 M3 Coupeにも、オプションの「M Drive パッケージ」(+450,000円高)が装着されています。

 このオプションを装着すると、DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)、EDC(エレクトロニック・ダンパー・コントロール)、M サーボトロニック・パワー・ステアリング、およびエンジン・レスポンスの設定を変更/保存できるようになります。
(シフトゲートの右側にある三連のスイッチがそれです)

 また、この設定は、ステアリングホイールの右側にある「M Driveボタン」を押すことによって、簡単に呼び出すことができます。

#こちらも値段的には“誤差”のようなものなので、ラインオプションで取り付けましょう。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeの「M DCT Drivelogic」(Double Clutch Transmission)のシフトゲート(+470,000円高)と、997の「PDK」(Porsche Doppel Kupplung;ポルシェ・ドッペル・クップルング)のシフトゲート(+750,000円高)。

 以前にも書きましたが、M DCTは、レバーを手前に引くとシフトアップ、PDKは、レバーを引くとシフトダウンします。両車はまったく逆のシフト操作になっています。

 また、M DCTは、あくまでMTの自動変速版というコンセプトなのか、クリープはありませんが、PDKは、ATと同じようにクリープしてくれます。

 個人的には、クリープの無いコーヒー、いや、クリープの無いM DCTの方が運転しやすいように思います。
(停車中にブレーキを踏んでいる必要がないので。一方、奥さんがもし運転される場合には、クリープがあった方が車庫入れなどがしやすいと思います)

 なお、M3 Coupeは、右ハンドル車は右側にサイドブレーキがありますが(当たり前ですが)、997は、右ハンドル車であっても左側(助手席側)にサイドブレーキがあります。

#これは、偶然を装って、「あっ」とか言って助手席のヒトの太ももに触れられるという、Porscheのエンジニアならではの“気遣い”なのです。(ウソ)0xF9C7

Porsche 911 Carrera S

 997のセンタークラスター。

 Carrera Sは、「ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム(PASM)」が標準になっています。
(ショックアブソーバーのマークの入ったスイッチ)

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeのステアリングホイールは、ドイツから個人輸入して「BMW Performance Steering Wheel」に置換してあります。

 ホイール上端の小型ディスプレイには、油温・水温や、加速度(横G・縦G)、ラップタイムなどが表示され、その左右には、レブリミットのインジケーターが付いています。(動作状態は、こんな感じ

 997のステアリングホイールも、「パドルシフト付き3本スポーク・スポーツステアリングホイール」に置換してあります。

#さすがに個人で2台も(530i M-Sportも含めれば3台も)ハンドルを交換しているヒトはいないでしょう。0xF9C7

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 メータークラスターのアップ。両車とも、最高速度は330km/hまで刻まれています。

#両車とも、街乗り(一般道)では、スピードメーターの針がほとんど動かないので、スピード出し過ぎに注意が必要です。

 M3 Coupeのタコメーターには、面白いギミックが仕込まれています。タコメーターを取り囲むシルバーのリング上端にインジケーターが埋め込まれており、シフトアップポイントが近づいてくると、オレンジ色のLEDから赤色のLEDに変わり、シフトアップを促します。

 また、タコメーターの目盛の裏板(目盛の外側のリング)も、同心円状に可動するようになっており、エンジンの温度が低い状態では、レッドゾーン(オレンジラインとレッドラインの境目)が7,000rpm辺りを指していますが、エンジンが暖まってくると、8,200rpm辺りを指すように動きます。
(これに初めて気付いた時には、驚きました)

 対する997も、精巧に作られたクロノグラフを思わせる5連メーターで、左から油温、車速、タコメーター、油温・ガソリン残量、油圧となっています。

 ちなみに、素のCarreraは、文字盤が黒で文字色が黒、Carrera Sは、文字盤が白で文字色が黒となっています。

M3 Coupe vs 911 Carrera S

 M3 Coupeは、ハンドル左側にある(右ハンドル車の場合)スタータースイッチを押すことで、エンジンに火を入れます。

 標準で「コンフォート・アクセス」が装備されおり、リモート・コントロール・キーを車両側に差さなくても、携帯しているだけでエンジンを掛けることができます。

 対する997は・・・、リモコンキーにはなっていますが、いまだにハンドル右側にある(右ハンドル車の場合)シリンダーにキーを差し込んで、捻ってエンジンを掛けるという“旧世代”の方式です・・・、ではなく、これは「ルマン式スタート」を意識してのことのようです。

(ルマン式スタート: 初期のルマン24時間耐久レースで採用されていたスタート方式。スタートの合図とともに、ドライバーはメインストレートのメインスタンド側からコースを横切ってピット側に置かれたマシンに向かって走り、マシンに乗り込んでスタートするもの)

 そう考えると、ちょっとした操作にも、なにかルマンを、いや、ロマンを感じます。0xF9C6

(つづく)

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