(初のトリニトロン管カラーテレビKV-1310(1968年)。画像は、SONYさんから拝借)
●ソニー、トリニトロン生産を3月末で終了-1968年から累計2億8,000万台出荷
(2008年3月3日:AV Watch)ソニーは、ブラウン管「トリニトロン」の生産を3月内に終了する。
すでに国内におけるブラウン管生産は終了しており、海外市場向けにシンガポールの工場で生産を続けていた。なお、ブラウン管テレビの国内販売は、2006年度で終了しているが、中南米などの一部市場向けの販売は継続する。
1968年からのソニーの累計生産台数は2億8,000万台(テレビやコンピュータ用モニタを含む)。2000年にピークを迎え、テレビ向け出荷で1,100万台を超えた。なお、2007年度の出荷見込みは全世界で約280万台。
ソニーでは、今後、液晶や有機ELを中心にディスプレイデバイスを手掛けていく方針。「2007年度の液晶テレビ出荷見込みが約1,000万台で、CRTのピークに迫っている。薄型への完全移行の時期としてはいいタイミングではないか」としている。
(まだまだ現役。我が家のWEGA KW-32HDF9(1997年))
●2010年度に3000万台!“テレビのソニー”壮大な野望
(2008年3月3日:DIAMONDO online)液晶パネルの安定調達先として、ソニーはシャープを選んだ。シャープが堺市に建設中の新工場を分社化、その34%を出資する。投資額は1000億円以上に上る。
すでにソニーは、韓国サムスン電子との合弁会社、S-LCDからパネルを調達している。シャープとの合弁設立を発表した席では明らかにされなかったが、S-LCDへの1000億円規模の追加投資も内定した模様だ。
S-LCDに累計で約3000億円、シャープに約1000億円という大枚をはたいて、ソニーが是が非でもパネルを確保するのには訳がある。テレビで世界ナンバーワンシェアのサムスンを蹴散らし、ブラウン管「トリニトロン」時代の王座を奪還しようというのだ。
じつは、5月に発表される中期経営計画において、ソニーはサムスンも恐れる壮大な構想を描いていると見られる。2007年度に年間1000万台としている世界の販売台数を、2008年度に2000万台、2010年度に3000万台まで増やそうというのだ。
対するサムスンは、今年度1800万~2000万台を見込んでいるが、「ソニーの計画次第では、上方修正する」(サムスン関係者)見込みで、まさに一騎打ちの様相を呈してきた。
ソニーがそれほどまで執着するテレビ事業は、いまだ通期の赤字から脱却できない。今後、シェアの拡大によって規模の経済を発揮できること、サムスンとシャープを天秤にかけることによってコストダウンを期待できることで、利益を押し上げはするだろうが、液晶テレビの価格破壊は止まらない。
一時は米国を中心に3000億円を売っていたリアプロジェクション(背面投射型)テレビも、市場から退場しつつある。
もっとも、仮にテレビ事業が赤字を続けても、ソニーには、ビデオカメラ、デジタルカメラなど、稼ぎ頭の周辺機器がある。その強さを維持するためにも、“家電の顔”であるテレビで席巻、「SONY」ブランドの強さを見せつけようという狙いもあるのだろう。
ソニーの総資産はパネルへの投資約4000億円を含め、13.5兆円にふくらんでいる。金融事業を抱えているとはいえ、現預金を除けば、松下電器産業の倍の規模だ。“テレビのソニー”の覚悟を決めたからには、半導体事業に続く次のアセットライト(資産圧縮)が必要だろう。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)
(壁掛け工事中の、我が家のBRAVIA KDL-52X5000(2007年))
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