まったく、この手の愉快な話題には、事欠かない。
(いつも楽しませていただきまして、ありがとうございます)0xF9D1
各社の社説を紹介する前に、この話題。
●ソフトバンク、システム障害「ドコモとauのせい」
(2006年10月30日:ZAKZAK)携帯電話会社を変えても番号がそのまま使えるモバイルナンバーポータビリティー(MNP)で、「予想外割」を打ち出したソフトバンクモバイル(SBM)。まさに予想外のトラブルの最中、都内の一部SBM販売店では、トラブルを「NTTドコモとKDDI(au)のシステム障害によるもの」と説明していたことが30日、明らかになった。システムトラブルで他社への乗り換え業務を止めただけでなく、責任まで転嫁する事態に、SBMの企業姿勢が問われそうだ。
【虚偽説明】
「お客様各位 NTTドコモとKDDI(au)においてシステム障害が発生しております」
「その影響により、ナンバーポータビリティー(番号継続制)を利用したソフトバンクへの新規ご契約が不可能となっております」
都内・新宿のSBM販売店で29日夕、こんな張り紙が出された。
SBM広報部は「販売店単位の情報は現時点で把握していないが、情報の行き違いで混乱している状態だった。トラブルは当社のシステムが原因であり、間違った説明があったとすれば、申し訳ない」としている。
(中略)
【利用者にツケ】
一連のトラブルの背景には、孫正義社長が新料金プランを「社内のごく一部にしか知らせていなかった」ため、社内はおろか、販売店への周知が不十分だったことがあげられる。
また、システムがパンクした28、29日にも「0円」を強調したテレビCMは流され続けた。SBM広報部は「29日中にシステムを復旧するつもりでいたので、CM中止の判断には至らなかった」と説明するが、「直前発表で話題性を優先させたツケが、利用者や販売店などに回った格好」(アナリスト)と指摘する声もある。
ソフトバンクグループでは過去にも、「ヤフーBB」の格安料金などで利用者を大量に集めた結果、回線開通という肝心の作業が間に合わず、大幅に遅れる失態を演じている。今回の一件は過去の教訓がまったく生かされていないことになり、その“確信犯”的な業務態勢に、通信業者としての資質も問われそう。
携帯電話業界に詳しいジャーナリストの石川温氏は「SBMでは孫社長の一存で物事が決まり、反対できる人がいないといわれている。携帯電話のプロもおらず、このままなら、本分の通信分野でも今後こうした“事故”が頻発する可能性がある」と指摘している。
(下線部は、筆者追記)
もはや、コメントの価値なし。
(そもそも、某社は「電気通信事業者」だったんでしょうかね)0xF9D1
さて、本題に戻ります。まずは日経から。
●【社説】番号継続制の信頼損ねたソフトバンク
(2006年10月31日:日本経済新聞)24日から始まった携帯電話の番号継続制度で、受付システムの故障から変更手続きができなくなるというトラブルが起きた。原因となったソフトバンクは「申し込み多数のため」と説明しているが、実際には制度開始直前に大幅な料金割引プランを発表するなど、準備不足が否めない。新制度は携帯電話市場に競争を持ち込むと期待されているだけにその信頼を損ねた責任は大きい。
番号継続制度は携帯電話番号を変えずに通信会社を変更できるという仕組みで、総務省が2年前に導入を決めた。欧米やアジア諸国ではすでに採用が進んでおり、日本の携帯電話料金が相対的に高いのは、番号が障害となって顧客が固定化されているからだという批判に応えた。
通信会社を変更するには現在の契約を終了し、別の会社と新たに契約を結ぶ必要がある。ソフトバンクがトラブルを起こしたのはその変更を受け付けるシステムだ。新規の加入申し込みだけでなく、他の通信会社に移りたいという申し込みも受けられなくなったため、NTTドコモやKDDI(au)も一時、変更手続きを中断する必要に迫られた。
今回のトラブルは起こるべくして起きたようにもみえる。ソフトバンクは自社の加入者同士なら通話もメールも定額というプランを設けたが、発表したのは前日のことで、各営業所にも事前に知らせていなかった。しかも割引内容を途中で変更するなど、システムだけでなく、対応窓口にも相当な負担をかけた。
新プランの発表は利用者にも戸惑いを呼んだ。大幅割引を受けるには一定時期までに申し込む必要があるとしたため、顧客が殺到した。通話料も自社内なら定額だが、他の通信会社へかけるとむしろ高くなる場合があり、端末も割賦販売で購入する必要があるなど制約条件が多い。
ソフトバンクは2001年秋にADSL(非対称デジタル加入者線)サービスを始めた際にも市場で混乱を招いた。ボーダフォンの日本法人を買収して携帯電話事業に参入した孫正義社長は「大人になったソフトバンク」を強調していたが、反省は生かされなかったといえる。
番号継続制度に便乗したソフトバンクの攻勢に対し、NTTドコモとKDDIは特に料金の引き下げはせず、共同歩調をとっている。携帯電話業界の寡占体質を崩すにはソフトバンクの参入は好ましいことだが、通信という社会インフラ事業には信頼感と安定感は欠かせない。ソフトバンクには本当の意味で消費者の利益となるサービスを期待したい。
(下線部は、筆者追記)
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」と言います。
(これじゃ、愚者以下ですな)0xF9D1
つづいて、読売新聞。
●【社説】[ソフトバンク]「社内も混乱させた『極秘作戦』」
(2006年10月31日:読売新聞)携帯電話の料金を価格破壊しようとした志は買えるが、社内体制がお粗末だった。
携帯電話会社を変えても、番号をそのまま引き継げる「番号持ち運び制度」が、開始早々、トラブルに見舞われている。
業界3位のソフトバンクモバイルの事務処理システムが、多数の申し込みに対応できず、契約切り替え業務の停止に追い込まれた。
窓口まで出向いたのに切り替えができず、週末の貴重な時間を無駄にした消費者も少なくない。ソフトバンクはシステムの拡充を急ぎ、顧客に迷惑をかけない社内体制を構築する必要がある。
混乱のきっかけは、ソフトバンクが制度開始の前日に、「基本料が要るだけで自社間の通話とメールは通話料がゼロ」という「通話定額制」など、複数の新料金制度を発表したことだ。
劇的な発表で宣伝効果を高めるため、この作戦は極秘とされた。代理店はおろかシステム担当など社内の大半も、計画を知らされていなかったという。
百貨店やスーパーは特売をする時に販売員を増強する。「画期的な低価格」と銘打って、新料金制度を導入する以上、ソフトバンクも計画の概要を、事前に担当者に伝え、それに応じた準備をさせておくべきだった。
ソフトバンク・グループは、ADSL(非対称デジタル加入者線)でも似たようなトラブルを起こしている。格安料金と接続用機器の無料配布で契約を集めたが、回線を通す体制が追いつかなかった。一部では開通まで数か月かかり、契約者の苦情が総務省などに相次いだ。
とはいえ、ソフトバンクの格安料金がADSLの普及を加速し、日本を世界でも指折りの高速大容量(ブロードバンド)通信大国に導いたのは確かだ。
日本の携帯料金は、欧米諸国より割高とされる。番号持ち運び制度は、業界に新たな刺激を与え、料金引き下げを含むサービス向上への競争を巻き起こすことを狙っている。
ソフトバンクの「通話定額制」は、その目的に沿った新サービスと言える。
NTTドコモとKDDIは、実際に払う料金が「定額制」で安くなるのは、ごく限られたケースで、大半の利用者には自社の方が安い、と主張している。
それが事実だと確信するなら、比較広告などで堂々と訴えればいい。
もし自社の料金が見劣りし、顧客が流出すると判断するなら、基本料と通話料で対抗策を打ち出すべきだろう。両社の料金割引制度は、多くの利用者が「分かりにくい」と感じていることだ。
(下線部は、筆者追記)
「敵を欺くには、まず味方から」ですか。
(ちと行き過ぎたようで)0xF9D1
さて、いよいよ朝日新聞。
●【社説】携帯トラブル しっかりせよ、孫さん
(2006年10月31日:朝日新聞)鳴り物入りで始まった携帯電話の番号ポータビリティー(持ち運び)制度が、とんだ混乱に揺さぶられている。
震源地は業界3位のソフトバンクモバイルだ。同社の携帯同士ならば通話料やメール代を原則として「0円」とすることを打ち出した矢先に、電話会社を変える申し込みが予想以上に増えて、契約変更を処理できなくなったのだ。
番号持ち運び制度は、すでに携帯を使っている人が電話番号を変えずに電話会社を乗り換えることができるものだ。携帯業界に新たな競争を持ち込むのが狙いで、特に期待されていたのが通話料などの値下げだった。
ソフトバンクはライバルのNTTドコモやKDDIに先駆けて、通話料やメール代で価格競争を仕掛けた。この点は評価したい。
しかし、その直後に起きた混乱は、社会のインフラを担う電話会社としては、あまりにもお粗末だ。ソフトバンクはADSL(非対称デジタル加入者線)の「ヤフーBB」を売り込んだ時も、工事が遅れた。新しい分野に挑戦するたびにトラブルを起こすようでは、信頼を失ってしまうだろう。
ソフトバンクはボーダフォンなどを買収して、売上高が2兆円を超えようかという大手通信会社となった。かつての知名度の低い駆け出し企業とは違うのだ。その自覚を持ってもらいたい。
今回のトラブルに対する孫正義社長の態度にも納得できない。
記者会見で、契約変更の処理能力が足りなかったことを認めたが、それ以上の説明を拒んだ。そもそも処理能力がどれだけあったのか。新たに契約を結んだ人と契約を解除した人はそれぞれ何人なのか。そうした肝心のことが明らかにされなかった。不利な情報だからといって公表を避けるようでは困る。
今回の問題では、携帯電話の料金体系が複雑すぎるという実態も浮き彫りになった。トラブルの引き金になった料金「0円」は本当に得なのかどうか。無料になるには細かな条件がいくつもついている。複雑さを表に出さずに衝撃的な数字だけで利用者を引きつけようとしているなら、見すごせない。
公正取引委員会は広告の表示が適切かどうかについて調査を始めた。ソフトバンクは公取委の判断を待つまでもなく、新しい料金体系の全体像がきちんと伝わるようにすべきだ。
業界全体を見ても、携帯の料金体系は複雑になるばかりだ。NTTドコモとKDDIもご多分に漏れない。
大手3社は今回のトラブルを料金体系を分かりやすくするきっかけにしてほしい。例えば、一般的な利用者の実際の負担額を比べるような方法で料金が高いか低いかを示す。そうした工夫を急いだ方がいい。
まず料金を見えやすくする。それが価格競争の地ならしになる。
(下線部は、筆者追記)
まるで某社を叱咤激励し、エールを送るようなサブジェクト。他の主要紙とは、ちと書きっぷりのニュアンスが異なる。
某社に閉じた失態を責めるべきを、なぜか競合他社全体の問題にまで拡大させている。
さすがは、現「広報室長」が、元「論説解説委員」であらせられたことだけはある。
(元上役のいる会社に、批判的記事は書けないか・・・)0xF9D1
ttp://www.softbank.co.jp/lecture/outline/08.html
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