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「Thumb Shifter」への道(その2)

 前回の続きです。

 「ヒントは、逆流防止です」などという、もったいぶった言い方をしましたが、原理は非常に簡単です。0xF9C6

Thumb Shifter

 具体的な方法を説明する前に、ステップトロニックの制御についてお話しします。これまた、非常に簡単です。

 ステップトロニックのコントロールユニットには、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が入力されています。この2つの信号は、負論理になっています。例えば、シフトダウンさせようと思ったら、対応する信号線を、グランド(アース)に落としてやれば良いのです。
(これは、トランスミッションが、ステップトロニックでもSMGでも同じです)

 今回は、ハンドル内に取り付けたスイッチ(パドル)によってシフトチェンジさせようとするため、ハンドルの回転を考慮する必要があり、機構が若干複雑になる訳ですが、
 2つの信号線を取り出せて、かつアースの確保さえできれば、ハンドル内だけではなく、車内どこにでもスイッチを取り付けて、パコパコとシフトチェンジさせることができます。

 さて、今回は、マルチファンクションスイッチの左側の「ボイスコントロール・スイッチ」(以下、スイッチ)を使って、左右パドルの同時操作を模擬させようとする訳ですが、
 基本的には、スイッチを押下することにより、シフトアップ・シフトダウンに対応する信号が、同時にアースに落ちるようにしてやれば良いのです。

 しかしながら、ただ単純に2つの信号をスイッチに繋いでしまうと、シフトアップの信号がシフトダウン側に流れてしまうため(逆も同じ)、コントロールユニットがブッ壊れます。

 よって、片方の信号が、それぞれもう片方の信号に流れ込まないようにすれば良い訳です。

 ということで、わざわざ回路図を起こすほどのことでもないのですが、「Thumb Shifter」を実現するための回路図を、つぎに示します。

Thumb Shifter

 単に、スイッチの前に、ダイオードを2つかますだけです。部品代だけであれば、100円もかからずできてしまうと思います。

 ただし、電気屋さんとしては、「信号線にどの程度の電流が流れるのか(ダイオードの電流規格は)?」とか、「信号がチャタっても大丈夫なのか?」とか、「信号の最低保持時間は何10msなのか?」とか、いろいろ余計なことを考え始めてしまいます。(理系の悲しい性)0xF9C7

 まぁ、ステップトロニックのコントロールユニットには、その程度の入力マージンはあるだろうということで、あまり深く考えないことにします。0xF9CD
(チャタリング除去のためシュミットトリガ入れても良いのですが、ロジックICの電源確保がめんどくさいので止めときます。おそらく途中にかまされる「Active Shifter」が吸収してくれるだろうという安易な予測で)0xF9AB

 ということで、回路的にも、おサイフ的にも、非常に簡単にできてしまいます。

 あとは、純正のマルチファンクションスイッチを、どうハッキングするかです。

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