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研究開発力の将来について(その1) ~ものづくりの力~

 久しぶりの投稿です。

 総務省(竹中平蔵総務大臣・郵政民営化担当)主催の「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の第3回会合が、2月1日に霞ヶ関で開催されました。

  ・議事次第(出席者一覧)
  ・配布資料
  ・議事概要(現時点では未掲載)

 提出資料を見ると、各社それぞれのカラーが如実に表れていて、とても興味深いのですが、そんなことはさておき、会合の模様(の一部)がレポートされていましたので、オブジェクションします。

総務省の懇談会、NTT再編についてKDDIやソフトバンクらが熱弁を振るう
(2006年2月1日:INTERNET Watch)

 当然ながら、各社の思惑が複雑に絡み合っていますが、「危うい」と思ったのは、KDDI代表取締役社長兼会長のこの一言。
(某・損さんのムチャクチャな試算もすごいですが・・・)

●「技術開発の主導は通信事業者ではなくメーカーに」

 KDDIの小野寺氏は、 「重要なのは技術開発の研究主体は誰なのか、を考えること」とコメント。「海外の事例では、ほとんどの場合メーカーが技術開発を担当しており、オペレーターが開発するのはサービスレイヤーの部分」と指摘し、「日本の技術力、メーカーの力をつけるためには、技術開発はオペレーターがすべきではない。技術開発の観点を考えるべきだ」とした。

 世界に冠たるKDDIさん配する「KDDI研究所」の存在意義を、自ら否定するようなご発言ですが(もっとも、欧米のキャリアからすると、日本のキャリアのことなど、眼中にないみたいですが)、「技術開発はメーカーに任せておけばよい」などというお考えを、まさか一大キャリアの最高経営責任者がなさっていたとは・・・。

 もっとも、上記の発言は、長丁場の議論の断片を切り取ったものであり、発言の前後の状況を聞いてみない限り、真意の程は計れませんが(また、私のような若造が、こちゃこちゃとオブジェクション申し上げることすら憚られますが)、

 と、その前に、「KDDI研究所」では、どのようなご研究をなさっているのか、見てみましょう。

  ・マルチメディア・アプリケーション分野
  ・モバイル・ワイヤレス分野
  ・IP・ネットワーク分野
  ・フォトニック・ネットワーク分野
  ・ユビキタス・ネットワーク分野
  (KDDI研究所のHPより)

 私の理解が間違っているのかも知れませんが、どう見ても「サービスレイヤーの部分」だけに留まらないような気が・・・。

 この発言は、現在の状況を述べているのではなく、将来の研究開発の方向性を示しているのだ、ということにしておきましょう。

 さて、

(以下、まだ書き掛けです)

〔読んでみると面白いかも書籍〕

  「通信崩壊―IT革命と規制緩和の結末

 3年ほど前の本です。少々刺激的なタイトルですが、ある意味、現在の状況を予見していたような興味深い本です。

 皆さんは、その昔、インターネットが繋がらなくなって、プロバイダや電話局に電話したら、何だかんだとたらい回しにされた挙げ句、けっきょくは原因がよく分からなかった、という経験はありませんか? 端的に言うと、そういうことです。

 たしかに、規制が新規参入の障壁になっている分野では、規制を撤廃(または緩和)すべきです。ただし、規制があるからといって、何でもかんでも撤廃すればいい、という単純なものではありません。

 現在の規制撤廃・改革推進論者たちの立ち居振る舞いを見ていると、どうも規制撤廃による「見掛けの」利得よりも、規制撤廃自体が目的化しているように見えてなりません。

 ここで「見掛けの」といったのは、たしかに通信料金という、大部分の国民にとっては最も分かり易い、表層的な面でのメリットはありましたが、その結果としての縦割り(正確には、サービスの「横割り」による一貫性の喪失)による質的な面でのデグレード(デメリット)が大きく現れてしまっている、ということを意味しています。

 見掛けの「国民益」だけでなく、これまでの日本の発展を支えてきた研究開発能力を削ぎ落とすことによって、さらには「国益」まで損ねようとしています。

 規制緩和の「影」の面が、すなわち今回のホリエモン騒動やアネハ事件だ、というのはいささか論理の飛躍がありますが、ただ、誰しも、あながち無関係だとは言い切れないでしょう。

(その前に、もっと根幹にあるのは、「ゆとり」という見せ掛けの甘い言葉で、教育の質を落としてしまったことです。いまさら押っ取り刀で手綱を引き締めたところで、失われた「国民の質」は、そう簡単には回復できません(というか、もはや回復は無理でしょう)。これが現在の「格差拡大」の大きな要因の一つだと考えています)

 この本の著者がどのような方かは存じ上げませんが、同じ著者にこのような本もあります。前著からのその後の状況を述べたものですが、現在の規制撤廃・改革推進論者たちと業界人たち(特定の)との蜜月関係なども、鋭く述べられています。
(握手までしてしまった某大臣は、苦しい答弁を迫られていましたが・・・)

〔言いたかったこと〕

 で、何が言いたかったかというと、やはり、
   「ものづくりの力を弱めてはいかん」
ということです。

 額に汗して労働もせず、人の作ったものを右から左に流して中間をかすめ取ったり、価値の分からないものに価値を付けて儲けを得ようとしたり、あるいは人の舵取りを端から眺めてあれこれ偉そうに指図するというような、まったく生産性の欠片もないヒトたちにイニシアティブを取られていたのでは、この国はダメになってしまう、ということです。

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Comment(1)

ものづくりの力は大事だと思います。
資源がない国で世界を相手に戦ってくることが出来たのは研究・開発・生産の各技術を高め競争してきたからですよね。
必要なときに必要な技術をどこからでも調達すればいいという考え方ではうまくいったケースがないように感じます。
えらく高い導入コストが発生するか、調達する側が技術を解釈できず、顧客満足が得られないかのどちらかです。
といっても、東伏見の人々がなにやってるか知らない営業担当です。

posted by  ネコ次郎 at 22:04:57 2006/02/16 | reply

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