SOARISTO工房 Logo
2006年2月 Archive
2006/02/25
[ Car, News ]

 おっ、なにやら新しい光モノの兆しが。0xF8F2

自動車メーカーも興味津々、高知県産業振興センターなどが電子放出源を利用した車載向けの面光源を展示
 (2006年2月22日:Automotive Technology)

 高知県産業振興センターや富士重工業などのグループは、電子放出源から電子を放出し、蛍光体に当てて発光させる光源「Field Emission Lamp(FEL)」を開発し、2006年2月21日から開催中の「nano tech 2006」で展示している。

 今回の光源は、FEDパネルなどの技術を応用しているという。特徴は消費電力が小さい点。展示場では、電球や発光ダイオードを利用したテール・ランプと比較していた。これらの光源が同じ光束の場合の消費電力は、電球が38W、LEDが5.2Wなのに対し、試作品の光源は3.7Wと小さかった。

 これまでにも、薄膜EL(Electro Luminescence)という光素子がありました。これは、蛍光体物質が励起源から受け取ったエネルギーを、自ら発光して放出する「ルミネセンス」という現象を応用したものです。
(簡単な原理としては、電子を電界により加速して発光中心に衝突させ、この発光中心を励起して発光させます(真性EL))

 この薄膜ELは、その名のとおり、薄いフィルム上に生成でき、かつ表面全体を発光させる(面発光)ことができますが、単位面積あたりに得られる光量が、自動車用光源として適用するには低すぎる、という問題がありました。

 対して、LED(Light Emitting Diode)は、ここ数年で光変換効率が飛躍的に上がり、自動車用光源としての利用が拡大してきましたが、いかんせん「点光源」であるため、光の指向性が高く、光が目に入るとまぶしい、という問題がありました。
(正確には、LEDもEL(注入型EL)の一つですが)

 今回のFELは、LEDとELの“いいとこ取り”をしたような光素子ですね。今後の動向が楽しみです。0xF9EB

2006/02/25

 替わって、少し寂しいニュースが。0xF997

大賀、出井両氏も退陣 ソニーらしさ失う?業界波紋 顧問制度3月廃止
 (2006年2月24日:産経新聞)

 ソニーが元役員で構成する顧問制度を三月末で廃止し、かつてトップをつとめた大賀典雄・名誉会長や出井伸之・最高顧問が退任することが決まった。ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者)や中鉢良治社長ら現経営陣はスリム化による経営改革を急ぐが、経営を主導してきた“カリスマ経営者”が一斉に退くことで、「ソニーらしさがなくなるのでは」という声が業界内で広がっている。

 大賀氏は、東京芸大とベルリン国立芸大を卒業した音楽家で、デザイン部門などで活躍。洗練されたソニーのブランドイメージの構築に手腕を発揮した。映画や音楽といったエンターテインメント(娯楽)部門を世界的な事業に育てた。

 春の夜長に、大賀典雄名誉会長の記された「SONYの旋律~私の履歴書~」など読んでみると、面白いかと。

 経営陣は替わっても、「ソニースピリット」は脈々と後続に伝わっており、業界の憶測は杞憂に終わることを、SONYファンの一人として、強く願っております。

〔関連リンク〕
   ・顧問制度廃止について
   (2006年2月22日:ソニー株式会社)

2006/02/24

 Sonyファンには嬉しいニュースが。0xF9CF

液晶テレビ:世界出荷台数でソニーが初めて首位 米調査
(2006年2月24日:毎日新聞)

 米調査会社のディスプレイサーチは24日、05年10~12月期の液晶テレビの世界出荷台数で、ソニーが初めて首位に立ったと発表した。

 同社が統計を取り始めた01年4~6月期以来、ずっと首位を維持してきたシャープは初めて3位に後退した。ソニーが新ブランド 「ブラビア」を世界発売した一方で、シャープは需要に供給が追いつかなかったため。

ソニーが初めてトップ・シェアに,液晶テレビでシャープが首位を譲り渡す
(2006年2月24日:Nikkei Tech-On!)

 大型品に対する需要増を追い風にしたのが,ソニーである。2005年度第4四半期は出荷台数,出荷金額ともに初めてトップ・シェアに躍り出た。出荷台数は前期比164%増となり,シェアは9%から15%に上昇した。前年同期の出荷台数のシェアは4位だった。第7世代のガラス基板を利用する「S-LCD」の立ち上がりにより,40インチ型台の製品の品揃えが拡充したことが奏効した。

 「BRAVIA」、好調のようですね。
(ちなみに、BRAVIAとは、「Best Resolution Audio Visual Integrated Architecture」の略とのこと)

 なお、世界シェア2位は、オランダRoyal Philips Electronics社だそうです。ソニーとフィリップス、いい組み合わせですね。

〔関連リンク〕
   ・Q4’05の液晶テレビ出荷、Sonyが第4位からトップに躍進
   (2006年2月24日:DisplaySearch)
   ・「BRAVIA」で勢いづくソニー、その“巻き返し”戦略を聞く
   (2006年1月23日:ITmedia +D LifeStyle)

2006/02/19
[ Car, News ]

 BMWの新世代ストレート6エンジン(N54)に、ついに「Bi-Turbo」(ツインターボエンジン)が発表になりました!0xF9CF

 世界で初めて乗用車用のターボエンジンを産み出したBMWが世に送る、「次世代のターボエンジン」ってところでしょうか。

 同じツインターボエンジンでも、TOYOTAの2JZでは、6つのシリンダーに対してプライマリとセカンダリの大小2つのタービンが配されていましたが、BMWのN52では、3つのシリンダー毎に1つのタービンが組み合わされています。

 新開発のターボエンジンは排気量3.0Lの直噴ツインターボで、3気筒ごとにターボチャージャを配する。最高出力は225kW(306PS)で、最大トルクは400N・m。同排気量の同社製自然吸気エンジンよりも出力が15%、トルクが30%増している。また、直噴化によってポート噴射のターボエンジンよりも燃費を10%改善でき、エンジン質量は出力が同程度のV8自然吸気エンジンに比べて70kgほど軽量という。

 3シリーズにこのエンジンを搭載した場合、スタートから100km/hまでの加速は330iよりも0.5秒ほど早く、また80~120km/hまでの加速(2番目に高いギアを使った場合)は8.2秒から6.3秒に短縮できる。

bi-turbo01.jpg

bi-turbo02.jpg

bi-turbo03.jpg

bi-turbo04.jpg

〔関連リンク〕
   ・BMW officially announces new N54 Turbo Engine
   (2006年2月17日:Leftlane News)
   ・BMW Unveils New Biturbo Petrol Straight Six Engine
   (2006年2月20日:WorldCarFans.com)
   ・BMW社、Z4クーペや直6直噴ターボエンジンを出展
   (2006年2月21日:Automotive Technology)

 久しぶりの投稿です。

 総務省(竹中平蔵総務大臣・郵政民営化担当)主催の「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」の第3回会合が、2月1日に霞ヶ関で開催されました。

  ・議事次第(出席者一覧)
  ・配布資料
  ・議事概要(現時点では未掲載)

 提出資料を見ると、各社それぞれのカラーが如実に表れていて、とても興味深いのですが、そんなことはさておき、会合の模様(の一部)がレポートされていましたので、オブジェクションします。

総務省の懇談会、NTT再編についてKDDIやソフトバンクらが熱弁を振るう
(2006年2月1日:INTERNET Watch)

 当然ながら、各社の思惑が複雑に絡み合っていますが、「危うい」と思ったのは、KDDI代表取締役社長兼会長のこの一言。
(某・損さんのムチャクチャな試算もすごいですが・・・)

●「技術開発の主導は通信事業者ではなくメーカーに」

 KDDIの小野寺氏は、 「重要なのは技術開発の研究主体は誰なのか、を考えること」とコメント。「海外の事例では、ほとんどの場合メーカーが技術開発を担当しており、オペレーターが開発するのはサービスレイヤーの部分」と指摘し、「日本の技術力、メーカーの力をつけるためには、技術開発はオペレーターがすべきではない。技術開発の観点を考えるべきだ」とした。

 世界に冠たるKDDIさん配する「KDDI研究所」の存在意義を、自ら否定するようなご発言ですが(もっとも、欧米のキャリアからすると、日本のキャリアのことなど、眼中にないみたいですが)、「技術開発はメーカーに任せておけばよい」などというお考えを、まさか一大キャリアの最高経営責任者がなさっていたとは・・・。

 もっとも、上記の発言は、長丁場の議論の断片を切り取ったものであり、発言の前後の状況を聞いてみない限り、真意の程は計れませんが(また、私のような若造が、こちゃこちゃとオブジェクション申し上げることすら憚られますが)、

 と、その前に、「KDDI研究所」では、どのようなご研究をなさっているのか、見てみましょう。

  ・マルチメディア・アプリケーション分野
  ・モバイル・ワイヤレス分野
  ・IP・ネットワーク分野
  ・フォトニック・ネットワーク分野
  ・ユビキタス・ネットワーク分野
  (KDDI研究所のHPより)

 私の理解が間違っているのかも知れませんが、どう見ても「サービスレイヤーの部分」だけに留まらないような気が・・・。

 この発言は、現在の状況を述べているのではなく、将来の研究開発の方向性を示しているのだ、ということにしておきましょう。

 さて、

(以下、まだ書き掛けです)

〔読んでみると面白いかも書籍〕

  「通信崩壊―IT革命と規制緩和の結末

 3年ほど前の本です。少々刺激的なタイトルですが、ある意味、現在の状況を予見していたような興味深い本です。

 皆さんは、その昔、インターネットが繋がらなくなって、プロバイダや電話局に電話したら、何だかんだとたらい回しにされた挙げ句、けっきょくは原因がよく分からなかった、という経験はありませんか? 端的に言うと、そういうことです。

 たしかに、規制が新規参入の障壁になっている分野では、規制を撤廃(または緩和)すべきです。ただし、規制があるからといって、何でもかんでも撤廃すればいい、という単純なものではありません。

 現在の規制撤廃・改革推進論者たちの立ち居振る舞いを見ていると、どうも規制撤廃による「見掛けの」利得よりも、規制撤廃自体が目的化しているように見えてなりません。

 ここで「見掛けの」といったのは、たしかに通信料金という、大部分の国民にとっては最も分かり易い、表層的な面でのメリットはありましたが、その結果としての縦割り(正確には、サービスの「横割り」による一貫性の喪失)による質的な面でのデグレード(デメリット)が大きく現れてしまっている、ということを意味しています。

 見掛けの「国民益」だけでなく、これまでの日本の発展を支えてきた研究開発能力を削ぎ落とすことによって、さらには「国益」まで損ねようとしています。

 規制緩和の「影」の面が、すなわち今回のホリエモン騒動やアネハ事件だ、というのはいささか論理の飛躍がありますが、ただ、誰しも、あながち無関係だとは言い切れないでしょう。

(その前に、もっと根幹にあるのは、「ゆとり」という見せ掛けの甘い言葉で、教育の質を落としてしまったことです。いまさら押っ取り刀で手綱を引き締めたところで、失われた「国民の質」は、そう簡単には回復できません(というか、もはや回復は無理でしょう)。これが現在の「格差拡大」の大きな要因の一つだと考えています)

 この本の著者がどのような方かは存じ上げませんが、同じ著者にこのような本もあります。前著からのその後の状況を述べたものですが、現在の規制撤廃・改革推進論者たちと業界人たち(特定の)との蜜月関係なども、鋭く述べられています。
(握手までしてしまった某大臣は、苦しい答弁を迫られていましたが・・・)

〔言いたかったこと〕

 で、何が言いたかったかというと、やはり、
   「ものづくりの力を弱めてはいかん」
ということです。

 額に汗して労働もせず、人の作ったものを右から左に流して中間をかすめ取ったり、価値の分からないものに価値を付けて儲けを得ようとしたり、あるいは人の舵取りを端から眺めてあれこれ偉そうに指図するというような、まったく生産性の欠片もないヒトたちにイニシアティブを取られていたのでは、この国はダメになってしまう、ということです。