2005年8月27日~28日の2日間、「富山巡礼の旅」に行って参りました。
SOARISTO号の隣りは、前日に納車となったばかりのtom_ari号。
この時点では、日本にまだ10数台しかデリバリーされていない、正真正銘の「M5」(車両価格:1,330万円~)です。0xF9CB
富山と言えば、行き先はもちろん、F1をはじめ、数々のレースシーンに世界最高水準のホイールを供給し続ける、「日本BBS」さんです。
(正確には、その製造元である「ワシマイヤー」さん)
今回は、juinさんとtom_ariさんのお取り計らいで、日本BBSさんの常務取締役じきじきにご案内いただけることになりました。
技術屋の端くれとしては、これまで履いてきた「Super-RS」や「LM」が、どのような環境で作られているのか、とても興味があるところです。
また、日本BBSさんのプレスリリースでは、このほど国内最大級の「9,000トンプレス機」が完成したとのこと。これは見逃すわけにはいきません!0xF8F2
残念ながら、機密保持の関係で工場内の設備を撮影することはできませんでした。
ということで、展示されていた「芸術品たち」をパチリ。0xF8E2
皆さん、これが何だか分かりますでしょうか?
これぞ、世界に冠たるBBSホイールの原点なのです。0xF99F
正解は、「糸巻き」です。
糸巻きといっても、工業用の繊維を巻き取っておくためのものです。
糸は常に一定のテンションで引っ張っておくため、糸巻き本体には相当な負荷が掛かります。しかし、20数年前の当時には、この高負荷に長時間耐えうる糸巻きがありませんでした。
そこで、鉄器などの金属加工の盛んな富山にある「とある工場」(こうば)が、自ら培ってきた「鍛造」(たんぞう)という技術を応用して、非常に耐久性の高い糸巻きを開発、完成させました。
一気に市場を寡占するに至りましたが、その耐久性ゆえ(軽く10~20年は保ってしまう)、しだいに取り引き数が少なくなってしまうという結果となりました。その工場では、この鍛造技術を何とか他の製品に活用できないものかと、頭を悩ませていました。
一方、彼の地、ドイツでは、二人の技術者が、軽量かつ強靱で、耐久性に優れた自動車用ホイールの開発を進めていました。しかし、当時のドイツ国内には、二人の条件を満たせる金属加工技術が無かったため、その技術を求めて世界中を探し回ってていました。
やがて、二人の技術者の熱き思いと、日本の優秀な金属加工技術が強く結びつき、世界最高峰の軽量ホイールが完成することになるのです。0xF9A0
この辺りについては、「日本BBS物語」という書籍に詳しく紹介されています。
#記憶を頼りに書いているので、ちょっと違うところがあるかも知れません。
ということで、「BBS」というとドイツのメーカーっぽいですが、ホイールは日本で作っているのです。
(一部のホイールはドイツでも作っていますが)
もひとつ、パシャっと。0xF8E2
何やら、どこかで見掛けたようなホイールがいくつか。
#歴代GT-R、NSX、impressa、etc.
右手前は、BMW純正ホイール(オプション)。
中央は、Ferrariのテンパータイヤ用ホイール。
#Ferrariは、スペアタイアも鍛造なのです!0xF999
左手奥は、TOYOTA F1用ホイールです。
TOYOTA F1に供給している「マグネシウム鍛造ホイール」(通称:マグ鍛)です。
実際に手に触れることができました。
片手ではちょっと怖い(お値段不明)ので、両手でおそるおそる持ち上げてみると、これが拍子抜けするくらい軽いのです!0xF9CF
(女性でも、手の平に載せたまま持ち上げられるくらい)
注目はその内部。0xF8F2
単なるラフメッシュスポークではなく、メッシュの間が、さらなる軽量化のために「肉抜き」されているのです。
強靱で力学的なバランスの取れたBBSホイールだからこそできる技ですね。
ここで、ホイール当てクイズ!
世界の超弩級スーパーカー&スーパーサルーンの足です。
(すべて20~21インチクラス)
#これだけで小型車が買えそう。0xF9C7
暮れゆく日本海、海岸べりに佇むE60ブラザーズ。
〔おまけ〕
- BBS ... 二人の創業者、Heinrich Baumgartner(ハインリヒ・バウムゲルトナー;現社長)とKlaus Brand(クラウス・ブラント;現副社長)、そして創業の地、Schiltach(シュルタッハ;ドイツ南西部の町)の頭文字に由来。
- BMW ... ドイツ語読みは「ベーエムヴェー」。Bayerische Motoren Werke(バイエリシュ・モトーレン・ヴェルケ)の略。日本語に訳すと「バイエルンエンジン製造会社」。
- KKK ... ドイツのターボチャージャーメーカー。Kuehnle(クーンレ)、Kopp(コプ)、Kausch(カウシュ)の頭文字に由来。
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